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元ネタ解説 「ヴァルキリープロファイル」。

=前説明=

 「ヴァルキリープロファイル」とは…
 北欧神話に登場する戦乙女、「ヴァルキリー」(ヴァルキューレ、ヴァルキュリア等、呼び方さまざま)を主人公とした、北欧チックな世界観を持つゲーム。
 その主人公が、ちょうどオレが「ニーベルンゲンの指輪」にハマっていた時に、「ニーベルンク・リング(?)」なる指輪を身に付けて登場してくれたために魂に火がついた。そんな挑発的なアイテムを目にすることがなければ、このサイトには今でも北欧神話コーナーは無かったかもしれない、という、まさに「運命の指輪」。

 当時から、オレは神様より人間のほうが好きだったので、人間の英雄たちが活躍するこのゲームはかなり好みだった。ガノッサ・グレイ・蘇芳さんの声と技がお気に入り。しかしキャラ的には「一生懸命なのにすべっている不幸な人」カシェルが一番好きだ。


解説その1■ 指輪

 主人公ヴァルキリーがはめている封印の指輪。これをはずさないと、真のエンディングにたどり着けないというキーアイテム。
 「ニーベルンゲンの指輪」が元になっていることはモチロンだが、元ネタにおいて、この指輪に記憶を封印するという効能は無い。呪いがかかっているのは元の作品から同じだが、その呪いとは、「持ちぬしの身を滅ぼす」と、いう呪いである。
 また、この指輪は単独で存在するものではなく、小人の持つ莫大な黄金のうちの一つでもある。

 魔力を持つ指輪は、かの「The Lord of the rings」にも登場する。(THEを二回つけるのが原作ファンのポリシーらしい…。)
 キーアイテムは指輪で正解。これが首飾りとかだったら、盛り上がらないって(笑)


解説その2■ 戦乙女


 タイトルであり、主人公でもある戦乙女。戦死者の魂を天界ヴァルハラに運び、来るべき神々の最終戦争での戦闘要員にする、という魂運搬者の役割があるのはゲームと同じだが、それ以外に、「選ばれた勇者に勝利をもたらす」「手助けをする」と、いう役割も大きい。つまり、生きている間に、地上で戦っていただき、死んだあとは天界でも戦っていただくという寸法なのだ。
 ゲームのように、単に人間が死ぬのを傍観しているだけということは、あまり無い。
 また、戦乙女は選んだ勇者とマンツーマンで信頼関係を築くのが普通のようだ。(マラソン選手とトレーナーみたいなカンジで)

 彼女たちは、厳密には神ではなく半神である。オーディンの隠し子だったり、人間の王族だったりする。見方を変えればオーディンの私設軍隊であって、神々の世界のシステムや階級からは外れているようでもある。
 その人数は、本来は無数であり、姉妹関係はない。それぞれに名前はついているが、苗字は無い。(ゲルマン民族は苗字が無い)
 もっとも、17世紀ごろに作られた戯曲などでは、既に、この本来の設定は書き換えられているようなので、パロディとしてのヴァルキリーには苗字はある…の、かもしれない。


○これについて、指摘を受けましたので、回答します。
 サガで、「レイヴ・エイリークスソン」とか、苗字ついてる人が出てくるじゃないかって言われたんですが…「エイリークスソン」は苗字ではありません。「エイリークの息子」と、いう意味です。
 英語に直すと、「エイリーク’s son(息子)」です。

 女性だと、「ソールハラ・アースグリームスドーティル(アースグリームの娘、娘は”ドーター”)」と、いうふうに、なります。

 ちなみに、戦乙女が人間と結婚するというのは、元の神話でも可能だ。彼女たちは神ではない。「半分は人間」なので結婚OK。
 ただし、結婚した後、「やっぱり主婦生活なんて合わないワ。」と、勝手に出て行くことも在、ダンナが年取って戦えなくなったら「殺してあげるv」と無理心中をもちかけられることも在。嫉妬深く、捨てられるとキレる場合もあるので、戦乙女とのプライヴェートなお付き合いはあまりオススメしない。


解説その3■ ラグナロク

 ゲームではヴァン神族とアース神族が争ったことになっているが、神話では、この二つの神族はとうの昔に和解している。たとえば、フレイとフレイヤ、それに二人の父親であるニョルズはヴァン神族の出身で、現在はアース神族の一員として迎えられている。従って、ラグナロクで戦うのは、これら二つの神族ではない。神様連合軍と巨人族だ。
 かつて北欧の人々は、世界は丸いテーブル型をしていて、真ん中の大地の外にまるく海が取り囲んでいる、と考えていた。その海の外にある「未知なる世界」が、巨人たちの住む世界、ウトガルドである。ここの巨人たちが攻め込んできて全面戦争になること、それが、神々の黄昏「ラグナロク」である。
 神々はこの戦いに敗れ、炎の世界ムスッペルに住む、巨人スルトの放つ炎によって世界は焼き尽くされる、という終末思想がある。


解説その4■ 巨人族

 神と呼ばれている者たちの中にも、巨人族出身者は多くいる。
 たとえばロキは巨人族なのにオーディンと義兄弟(or養子縁組)の誓いを交わしアース神に仲間入りするし、戦神チュールの父は醜い巨人ヒュミルである。また、ニョルズの妻スカジも巨人の娘であり、その他、はっきりしないが「もしかして巨人族?」な神も何人かみうけられる。
 そのような状況なので、必ずしも巨人族が「敵」「悪」だとは、言えない。ほとんどの巨人出身の神々は、アース神族になったあとは、巨人族との交わりを絶っているからだ。
 ロキだけは、自分が巨人族であることを捨てきれず、巨人族の女性との間に子供をもうけたり、神々に悪さを働いたりしていたようだが…。

 ちなみに、ラグナロク時にオーディンやトールといった主要な神々を打ち倒す狼やヘビは、ロキの息子だったりする。
 巨人族が悪い、と、いうよりも、ロキが… いや、なんでもないです…。


解説その5■ アーティファクト

 魔法の工芸品のこと。
 ゲーム内では「発見したアーティファクトをオーディンに献上するか否か」という選択肢があったが、神々は、自分たちではコレを作ることが出来ないのでとっても欲しがっている。アーティファクトを作るのは、すぐれた技術を持つ小人たち、もしくは巨人たちである。北欧神話に登場する伝説の鍛治工、ヴェルンド(ヴィーラント)も、巨人の血を引くとされていた。
 有名な、雷神トールの持つハンマーなども、小人の手による作品である。


解説その6■ 人間世界の戦い

 オーディンは「勝利の父」と呼ばれる反面、戦いの勝敗のゆくえを気まぐれに決める、「敗北の父」でもあった。
 しかし、それはゲームに言われるように、ラグナロク用の戦力を集めるためではないし、何かのアイテムによって引き起こしていたのでもない。ひとえに、オーディンのワガママである。
 下界に下りていってコッソリ作った隠し子を勝たせるために汚い手を使ったり、そろそろ使い勝手が悪くなってきたと思われる人間をわざと殺したりする。自分で直接手を下さなくても、勝たせたいほうに武器を与えたり、負かしたいほうの武器を壊したりしているあたり、かなりエゲツナイお人と言えるだろう。
 もちろん、そのことに反感を抱く神もおり、ロキなどは、面と向かってオーディンを罵倒している。

 なお、フレイヤも同じ役目を持っていて、人間界に争いをバンバン引き起こしている。お気に入りの人間のために不正を働くことなど、しょっちゅうやってのける。彼女はオーディンと死者を折半する女神でもある。


解説その7■ エルフさんたち

 北欧神話には「エルフ」という単語は、出てこない。「アールヴ(Álfr)」である。似てるけど微妙に違うのだ…。
 妖精族には、アールヴのほかに、地下世界に住む小人たち(ドワーフ)がいる。光の小人たちは美しく、フレイ神によって支配される妖精たちの国、アールヴヘイムに住んでいるが、原始の巨人ユミルの死体にたかった蛆虫から生まれた醜い小人たちは、地下世界に住んで工芸品などを作っている。

 妖精族もオーディンが作ったものなので、オーディンがエルフの子ってことは、在り得ない…。
 人間界の端っこにエルフたちの森があるってのも、本当はおかしい…。
 本当はね。

 ついでに、妖精たちの森はフレイの支配下なので、エルフをひとり掻っ攫ったレザードは、本当なら即刻フレイ様の天罰によって冥界の霊柩に送呈されちゃってても、おかしくなかったわけだ(笑) 怖えェ。
 エルフからホムンクルスを作るってのも、激しくすっ飛んだオリジナル設定だと思う。一体どうやったら作れるんだろぅ…。



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