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タイトル 剣を湖に投じるシチュエーションについて
記事No 2064
投稿日 : 2005/03/17(Thu) 12:13
投稿者 高久夏雅
はじめまして。
オタ系ニュースサイトでエクスカリバーとい
う名前についての記事が取り上げられていましたので、のぞかせていた
だきました。

剣を湖に投じるシチュエーションに
ついてですが、ナルト叙事詩によく似た話があるということなのですが

これについてはどう思われますでしょうか。

http://www.chitanet.or.jp/users/10010382/htm03/p00345.html)<
br>
私はまだ未読なのですが『アーサー王伝説の起源―ス
キタイからキャメロットへ』という本に、この仮説が載っているようで
す。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4791756
665/250-4622263-5572222)

タイトル うーん。正直ちょっと難しいですが
記事No 2066
投稿日 : 2005/03/17(Thu) 21:00
投稿者 岡沢 秋
はじめましてー。

最近なんかアーサー王関連の質問が多いと思ったら
映画のDVD化以外にも影響があったんですか(笑

ナルト叙事詩と聞いて思わず週刊ジャンプのマンガ思い出すくらい何も知らなかったんですが。
「剣を水に投げ込む」というシチュエーションだけなら、探せば世界中に色々あると思うんですよ。それがアーサー王の剣が湖に投げ込まれるシーンに繋がるためには、あいだにある、伝播の道のりを埋めなきゃね。って思います。

「フランス流布本サイクル」に剣を水に投げ込むシーンが無く、
マロリーがアーサー王伝説を一本化して書いた物語にそのシーンがあるのなら、まずは、その間の時代に手がかりを見つけないと、何とも言えないのでは?

たとえば、15世紀にマロリーが「ナルト叙事詩」なるものを手に入れて感銘を受けた証拠。またはマロリーと同時代もしくは少し前くらいの時代の人で、その「ナルト叙事詩」から影響を受けた人・作品があったかどうか。

とか。

そのあたりって、どうなんでしょう。


>アーサー王とスキタイ人の話

うーん…それも一つの説に過ぎないですからね。
キング・アーサーの影響で、そういうもんなのだと思ってしまった方もいるみたいですが…ええ、明確な証拠はないです。他の説と似たり寄ったり。(専門の人すんません)

個人的には「映画はまだまだ作りこみが甘いっ。歴史の再現をウリにするなら、なぜ英語読みの名前を使った〜ッ」とか、色々ツッコミたいところが(笑

タイトル Re: うーん。正直ちょっと難しいですが
記事No 2069
投稿日 : 2005/03/18(Fri) 12:54
投稿者 高久夏雅
>最近なんかアーサー王関連の質問が多いと思ったら
>映画のDVD化以外にも影響があったんですか(笑

昨年発売された『Fate/stay night』というPCゲームの影響で、オタクの世界ではアーサー王伝説に興味を持つ人が増えました。
かくいう私も同様で、『キングアーサー』を観にいったのも恥ずかしながらそれが理由だったりします。

> たとえば、15世紀にマロリーが「ナルト叙事詩」なるものを手に入れて感銘を受けた証拠。またはマロリーと同時代もしくは少し前くらいの時代の人で、その「ナルト叙事詩」から影響を受けた人・作品があったかどうか。

これを調べるのは、専門的に研究しても難しそうですね。
前述した資料本でも言及されてるかどうか……。
品切・重版未定のようなので、そのうち図書館にいったときに探してみることにします。
ありがとうございました。

ついでに個人的な『キングアーサー』の感想を。
最初に貴族かなにかを救出にいく部分と、城壁を守って戦う部分のエピソードをひとつにまとめたほうが良かった気がしました。
二つに分けたために、どっちも薄くなってるように思いましたので。

それでは、失礼いたします。

タイトル Σ18禁もアリなの?!
記事No 2070
投稿日 : 2005/03/18(Fri) 17:59
投稿者 岡沢 秋
> 昨年発売された『Fate/stay night』というPCゲームの影響で、オタクの世界ではアーサー王伝説に興味を持つ人が増えました。

ひぇーーー
Hシーンあるんですけど、このゲーム(笑
使い魔は脱がせられるんですか? 使い魔は?
てかバーサーカーって北欧神話のような(^^;

いつも思うんですが、オタ系ゲームって知識の使い方がすごいですね。
頭の中でどのようにプティングをこねるのか。

しかしこれ、生粋のアーサー王ファンの人に見せたら殺されそうだ…(orz

タイトル スキタイからキャメロットへ
記事No 2071
投稿日 : 2005/03/18(Fri) 20:35
投稿者 toroia
『アーサー王伝説の起源』、とくに「剣を湖に投じる」ところがどういうものかというと


「アーサー王の死」
1.アーサー王、死ぬのを悟る
2.ベディヴィアにエクスカリバーを捨てに行かせる
3.ベディヴィア、もったいないので捨てない。隠す
4.「捨てたけど何も起こらなかった」というが、アーサー王はうそだと見抜く
(2〜4リピート)
5.ベディヴィア、エクスカリバーを遠くまで投げる。
6.水面から手が出て剣をつかみ、振って、水中に戻る。
7.アーサーにそのことが報告される

「バトラズの死」
1.バトラズ、死ぬのを悟る
2.ナルトたちに巨大な剣を捨てに行かせる
3.ナルトたち、重すぎて捨てられない。隠す
4.「捨てたけど何もなかった」というが、バトラズはうそだと見抜く
5.ナルトたち、なんとかして海に捨てる。
6.海は荒れ狂い、沸騰し、血の色に変わる。
7.バトラズにそのことが報告される


というわけでこれが「世界中に色々ある」シチュエーション、とは単純にはいえないです。
とはいえ、これはよーく似ているな説は以前から言われていたらしいのですけど。
また、別のバリエーションでは「ジフレがカリブルヌスを海に投げ入れる」というものもあるそうです。

で、このマロリーの元ネタは14世紀中英語のスタンザ詩『アーサーの死』であるといわれ、この物語は
北方の伝説に属すると考えられている、15世紀のこのスタンザ詩の写字生はイングランド中部地方頭部の出身だが、
此のころはフィッツアラン家の影響下にあって久しかった、なので北東イラン系の物語提供者が想定される、としています。


ナルト叙事詩についてなんですが、これ自体はコーカサスのオセット人(このまえ学校占拠テロ事件が起きたところ)の間に
伝わる叙事詩のことで、19世紀になって初めて外部に知られた物語にすぎません。なのでもちろん『アーサー王伝説の起源』でも
ナルト叙事詩がそのまま北西ヨーロッパに伝わっていたとは考えず、そのもととなった叙事詩なり伝説なりが昔から
あったのではないか、と想定しています。これはこの本以外でも普通に想定される説で、なぜなら一つにオセット人が
インド・ヨーロッパ語族のうち北東イラン諸語であるオセット語を話す人たちなのですが、この地域はほかのインド・ヨーロッパ語族と
比較してほとんど外部からの影響がなく、内的な発展が主軸となって現代にまで残っているからです(つまり保守的)。
では彼らの祖先はというと古代ギリシア時代の「スキタイ人」サウロマタイ人やアラン人だと考えられています。サウロマタイ人
(サルマティア、サルマート)にしてもアラン人にしても東ヨーロッパからヨーロッパに侵入してきて帝政ローマやゲルマニア、
ガリア人と激突し、そして傭兵になったり部隊長になったりして騎馬戦闘術を広めた遊牧民族として知られています。

あれやこれや戦争に明け暮れた兵士たちですが、老後に自分たちの故地である東ヨーロッパに戻るわけにもいかず、ブリテンや
フランス北部などにコミュニティを使って暮らし、そこで現地の女性たちと結婚して子供をつくり、騎馬民族の流儀で
戦闘方法を教え込み、そして戦場に送り出す、なんてことをやっていたようです。そのとき戦士たちの伝説も当然伝えられたことでしょう。
貴族となったアラン人たちの集団は各地に残り、たとえばこの本では「アラン」という名前はアラン人に由来するとしています。
たとえばランスロットは「ロットのアラン」だ、とか。
んで、その彼らの伝承が「アーサー王伝説」の多くに残っていると。
「投げ入れられた剣」以外にも多くの類似点が指摘されています。もちろんスキタイの原ナルト叙事詩そのままではなく、
ブリテンやガリアの人々の伝承や史実とのすり合わせも多く行われたはずなので、そのまま残っているというわけではありません。

ナルト叙事詩(を含めたコーカサス地方)についてはバルドル殺しの伝説とそっくりなのやロキと似たような登場人物が現れることなどから
アクセル・オルリクはゲルマン民族大移動のときに接触があったのではないかとし、ジョルジュ・デュメジルは(この人は
オセット語を翻訳してナルト叙事詩を世界に知らしめた人でもあるのですが)インド・ヨーロッパ語族神話に共通の起源があるのでは
ないか、としています。また吉田敦彦は三種の神器説話などからスキタイ=イラン系騎馬民族がそれを日本に伝えたのではないか、と
いう説を長年主張し続けています。んでリトルトンはサルマティア人やアラン人が古代末期から中世盛期にかけてフランスやブリテンに
その末裔が存在したことから、彼らの伝説が直接アーサー王伝説の起源になったのではないか、としているわけです。
これらのうちオルリク説と吉田説は今ではほとんど支持者がいません。
私が『アーサー王伝説の起源』を持ってるのはアーサー王伝説に興味があったからではなく単にナルト叙事詩のことが詳しく書かれていたから
購入したに過ぎないので、アーサー王伝説に詳しい人からみてこの説がいったいどういう受け入れ方をされているのかは、知りません。

しかし『キング・アーサー』って見てないんですけどそんな話だったんですか。
検索してみると確かにちょこちょこスキタイ起源説が出てますね。

>他の説と似たり寄ったり。
この「他の説」のなかに「ケルト起源説」が含まれるとしたら、スキタイ起源説はそういう位置づけになるんでしょう・・・。

タイトル むむ?
記事No 2072
投稿日 : 2005/03/18(Fri) 22:58
投稿者 岡沢 秋
ナルト叙事詩についての解説さんくすです。
確かに、似てる点は多いようですね。

で、ちょっと気になった点なのですが…


> マロリーの元ネタは14世紀中英語のスタンザ詩『アーサーの死』であるといわれ

これは、マロリーの書いたものの元ネタそのもの、ということですか。それとも元ネタのひとつ、という意味ですか?

13世紀のフランス流布本サイクルから15世紀のマロリーまで、手元の資料に約二百年の空白があるのは確かですが、その間に入るものということでしょうか。(名前聞くのがはぢめてーなもんで)



> 貴族となったアラン人たちの集団は各地に残り、たとえばこの本では「アラン」という名前はアラン人に由来するとしています。
> たとえばランスロットは「ロットのアラン」だ、とか。

たぶん釣りだと思いますが信用する人がいるとアレなので。
ランスロットという名前は槍のランスからだと思います。
ランス初登場の物語「荷馬車の騎士」を見るに、作者が名前思いつかなかったので適当につけたっぽい雰囲気などが、そこはかとなく漂ってるんですよね…。
物語の中盤過ぎるまで、荷馬車の騎士は名前すら呼ばれないし。


> ナルト叙事詩(を含めたコーカサス地方)についてはバルドル殺しの伝説とそっくりなのやロキと似たような登場人物が現れることなどから
> アクセル・オルリクはゲルマン民族大移動のときに接触があったのではないかとし、ジョルジュ・デュメジルは(この人は
> オセット語を翻訳してナルト叙事詩を世界に知らしめた人でもあるのですが)インド・ヨーロッパ語族神話に共通の起源があるのでは
> ないか、としています。また吉田敦彦は三種の神器説話などからスキタイ=イラン系騎馬民族がそれを日本に伝えたのではないか、と
> いう説を長年主張し続けています。

壮大な話ですね、
ゲスタ・ダノールムの「オーディンたちアース神一族はコーカサスから〜」っていう記述思い出しますが。

> しかし『キング・アーサー』って見てないんですけどそんな話だったんですか。

バックにスキタイ説支持の学者さんがついてるんですよ。だから微妙なところで微妙にマニアックな描写があります。

あと去年のキネマ苦報8月上旬号など手にすると、あの方のあんな解説とか読めちゃいますよ〜

タイトル ロットのアラン
記事No 2073
投稿日 : 2005/03/20(Sun) 00:35
投稿者 toroia
>これは、マロリーの書いたものの元ネタそのもの、ということですか。それとも元ネタのひとつ、という意味ですか?
それはどうか、知らないです。
「アーサーの最後の戦いについての、マロリーの記述のもとになっているのは、14世紀の中英語のスタンザ詩『アーサーの死』であると言われている」p.103
とあるだけです。(ちなみにこの本、索引がおかしいです。私の持ってるのが初版だからなのかもしれませんが)
この本では、たぶん大陸系の流布本サイクルとは別にブリテンの「湖に投げ入れられた剣」伝説があった、としているようです。
詳しい文献情報については『新アーサー王百科』(Lacy, Norris J. et al., eds. 1991 The New Arthurian Encyclopedia)を参照のこと、とあります。
ですが私は持ってません。

>たぶん釣りだと思いますが信用する人がいるとアレなので。
>ランスロットという名前は槍のランスからだと思います。

釣りじゃないです〜。私は中立の立場(というか詳しく知らないだけ)ですが『アーサー王伝説の起源』では中核になってる仮説の一つなのです。
もともとリトルトンはランスロットはケルト起源じゃあと強硬に主張していたのが「ロットのアランだろ」といわれて
コロッと寝返ったということが序に書かれています。
できれば本書をじっくりと読んでほしいのですが、簡単にまとめると
ロットのランス(槍)説はルーミスという学者が提唱したものである。このロットというのはケルトのルーグ神のことである。
ルーグはウェールズではスゥフ(Llwch)でありフランス語にはいるとラック(Lac)になる(両方とも「湖」を意味する)。
なのでスァウウァンナウク(Lawwynnawc[Lhawynnawc])かスェンスェアウク(Llenlleawc)が正しい名前だと思われ、
1034年には知られているブルターニュのランスリン(Lancelin)という名前と同化してランスロット(Lancelot)となった。
アイルランドのルー神とランスロットの物語はよく似ているからルー(スゥフ)のランスだ。
反論は
ルー神やスゥフとランスロットの物語はよく似ていない。また、ランスロットといえば剣であって槍ではない。
スゥフはウェールズの名前だが、すべての資料がランスロットを大陸起源だとしている。古フランス語の「ロット」は
湖という意味ではない。また、ランスロットの古い語源解釈では、「この国のやり方に従って、ランスロットと呼ばれた」とある。
「この国のやり方」とは、地名が姓になった、という当時の一般的な命名方法ではないだろうか。
アランという地名がある。語頭のAは脱落することが多い。だとすればランスロットはもとはアラン・ロットだったのかもしれない。
(古スペイン語のランサローテは主人公の名前でもあり、また地名でもある)。アランはラテン語化されてアラヌスになったかもしれない。
その他いろんな証拠からアランがランツ(Lanz)になった可能性がある。だとすると初期のランスロット文学で名前がランツェレト(Lanzelet)
となってるのもおかしいことではない。どちらにしてもランスロットの語源がロットのアランという地名だった可能性は高い。
ロット川の周辺にアラン人たちが入植していたのでロットのアラン(アランス・ア・ロット)という名前が意味を成してくる。

んで、伝説の起源とかについては、
ランスロットという名前は12世紀の半ばにアーサー王の宮廷に名前が述べられる(だけ)ブルターニュの物語詩が初見である。
その後クレチアン・ド・トロワが『荷馬車の騎士』でランスロットを登場させる(1179年)。それから1205年にウルリッヒ・フォン・
ツァトツィクホーフェンが『ランツェレット』を書く@スイス。その直後に『散文ランスロ』が書かれた。作者は誰か議論されたが
ポワトゥー地方に詳しく南東ブリテンの地理の知識が皆無なことからブルターニュで成立したのだろうとされている。
それから誰かが1203-1213年ごろに古フランス語で『ペルレスヴォー』を書く。その他は『散文ランスロ』からの翻訳が多い。
14世紀、ようやくランスロットの名前がブリテンの文献に登場する。だからブリテンというよりはフランスあたりが起源なのではないか。
クレチアンもウルリッヒも『散文』も、おそらく同じソースによってランスロット物語を書いたのだろう。
各作品の類似点は多く、とくに以下の点が注目される。1.水の妖精に育てられた。2.魔法の指輪を持ってる。
3.最初は名無しで、しばらくして墓地で貴婦人に対して明かされる。4.臆病者のフリをする。5.ガウェインとの特別の友情。
6.グウィネヴィアを何が何でも守ろうとするが、さらわれる。そこで色々冒険して彼女を助け出す。
ブリテン起源説の人たちはスゥフllwchとロットlotが音としては似ていないことから、文字資料で伝えられたのだと推測し、
それをヒュー・ド・モルヴィルが運んできたものだとする。しかし年代的にこれだとクレチアンのほうが早いし、ウルリヒも
ヒュー・ド・モルヴィルに言及してはいるが全然重要視していない。クレチアンは何も言っていない。また、『ペルレスヴォー』では
ダム・デュ・ラックとの結びつきが言及されておらず、おそらく上記初期ランスロット資料を知らなかったのだと思われる。
それでも特別な女性たちは存在している。よってブルターニュの(アラン人たちの)口承伝承がこれらの資料のソースになったの
ではないか。


……かなり長くなってしまいましたが(私がこの時代のアーサー王文学をさっぱり知らないというのもあるのですけど)、こんなことが
第三章「ランスロットとロットのアラン」に詳しくかかれてます。

タイトル ちょっとランスロに言及してみる。
記事No 2075
投稿日 : 2005/03/22(Tue) 02:14
投稿者 岡沢 秋
一応、ランスロットという名前について。
…toroiaさん、最近、きよさんぽい語りになってきましたね^^;
(いろんな意味で)

んと、ランスロットという名前なんですが、
そういう名前の騎士が以前にいたかどうかはともかく、
円卓の騎士としての初登場はクレアン・ド・トロワの「ランスロまたは荷馬車の騎士」なんじゃないかと思います。
(成立は1170年代とされる)<間違ってたらゴメン>

ここでのランスロットの名前は、「ランスロ」です。

しかも物語中盤に入り王妃に「あれは湖のランスロ」と名指しされるまで名前が出てこないので、作者は主人公の名前が思いつかなかったんじゃないかと邪推されるほど。

…で、古フランス語の「ロット」は湖という意味ではないというんであれば、ここでのランスロはランスロットではない、と言っていいかと…。

あと一つ、このランスロ物語はご存知の通り王妃グニエーブル(つまり、グウィネヴィア)とランスロの不倫物語なわけですが、題材じたいはマリー・ド・シャンパーニュ奥様からの課題なんですよ。

なのでマリー奥様が何か指示していたのだとすれば、それを題材にしたという可能性は高くなると思う。

物語じたいは、いかにもフランス宮廷が好みそうな恋愛ロマンスものだと思うのですが、…
名前うんぬんよりも、ランスロが眠る魔法のベッドとか、王妃を助け出すくだりとか、冒険モチーフのほうがケルト的ですよ。

一部マビノギオンに登場する冒険とかぶってるなと思える部分もあるし。


…で私はランスロのケルト起源説は懐疑的です。
フランス生まれ、もっと言えばクレティアンが生み出したものだと思います。

初登場とされるクレティアンの作品でのランスロはまだ掘り下げが甘くて、一人の登場人物としては完成されていないし、その時点で、彼に言及される過去はない。(一緒に行動するガウェインには過去の武勲などがある)

ランスロの歴史は王妃との不倫に始まり、不倫に終わっているように思うんですよ。不倫のために生み出されたカンペキにカッコイイキャラ、みたいな…。

もしかしたら、一部、トリスタンとイゾルデ(王妃)との不倫ネタにイメージを借りたのかも?

タイトル Re: ちょっとランスロに言及してみる。
記事No 2077
投稿日 : 2005/03/22(Tue) 22:11
投稿者 toroia
>…toroiaさん、最近、きよさんぽい語りになってきましたね^^;
最近見ませんね。自分でもそうではないかと思っていたところです。
でも私のソースは日本語の資料だけでドイツ語やら英語やらオンラインリソースをバンバン翻訳して
紹介するようなことはとてもできません。
・・・修正をかけるとすれば、「これ以上は『アーサー王伝説の起源』を読んで下さい」
で済ませたいところではあるのですけどw

なので、ほんのいくつか。

>ここでのランスロットの名前は、「ランスロ」です。
つづりはlancelotです。

んでランスロがアーサー王との関連で登場するのはそのクレチアンの作品だったりするのですが、
『エレク』と『クリジェス』の宮廷の騎士のうち3番目の地位に位置づけられているそうです。

このあたりで退散〜

タイトル まろりい
記事No 2078
投稿日 : 2005/03/23(Wed) 00:16
投稿者 JD
> マロリーの元ネタは14世紀中英語のスタンザ詩『アーサーの死』であるといわれ

>これは、マロリーの書いたものの元ネタそのもの、ということですか。それとも元ネタのひとつ、という意味ですか?

たぶん皆さんご存知なはずで、知ってて、とぼけてるんだと思いますが‥‥。

マロリーが使用した原拠については、ちくま文庫のマロリー『アーサー王の死』のダイジェスト訳の巻末の解説にも書いてますです。

14世紀の中世英語の「アーサー王の死」は、第5巻「ローマ皇帝ルーシヤスを征服」した話の元ネタで、
それ以外は、
13世紀フランス語の「メルラン続編」「湖のランスロ」「トリスタン」
「聖杯の探求」「アルチュールの死」など、
やはり13世紀のフランス本がメインになってるそうです。

あと、マロリーというより、編集者のウィリアム・キャクストンが、
このアーサー王物語を一本化したもので、
マロリー自身は、別個の物語として書いた可能性もあるとか。

18禁といえば、1981年の映画『エクスカリバー』では、
ランスロットとグウィネヴィアの濡れ場がありましたねえ。
アーサーの父は、間男だし。

タイトル Re: まろりい
記事No 2079
投稿日 : 2005/03/23(Wed) 00:29
投稿者 JD
とと、
さきの書き込みと、

>「アーサーの最後の戦いについての、マロリーの記述のもとになっているのは、14世紀の中英語のスタンザ詩『アーサーの死』であると言われている」

とが食い違うので、付け加え‥‥。

14世紀の中英語の「アーサー王の死」は2バージョンあるそうで、
先に書いた第5巻の元ネタは「Morte Arthure」
第20〜21巻、つまり最後の戦いの部分の元ネタは「Le Morte Arhur」
なのだそうです。
こちらは八行詩句の連形(スタンザ)になってるとか。

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