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投稿時間:2002/07/11(Thu) 22:09
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
ワルター物語とシドレクスサガ
 …の、あたりの記述を書き直していて、気がつきました。

 ・ワルターの歌が書かれたのは、いつの時代?(6世紀以降、13世紀以前なのは分かるが)
 ・ワルターの婚約者ヒルデグントの国ブルガンディはどの辺り?

 もう一つ。
 シドレクス・サガのシドレクの仲間たちのうち、シドレクス・サガ本編以外で伝説を持たない人物がいます。

 シドレク、ハーゲン、グンター、ヒルデブラントはニーベルンゲン伝説など多くに登場。
 ヴィテゲはヴェルンド伝説。
 ファゾルドは叙事詩エッケンリート。
 ディートライプは叙事詩ビーテロルフ。

 ヴィルドベル、アマルングについては「本国では有名であり、シドレクス・サガ以外にも登場する」と書いてある本があったことから、他の登場もあると思っているのですが、

 ホルンボゲ
 ハイメ

の、二名については、他の話に出てこない…ことないですか?
 特にハイメ君、シドレクス・サガでは目立ちまくりなのに、他に彼の叙事詩があるというのを見た覚えがないんですが。

 この人は一体どこの英雄なのか…。

投稿時間:2002/07/12(Fri) 13:59
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: ワルター物語とシドレクスサガ
ずいぶん出ましたね。
>ワルターの歌が書かれたのは、いつの時代?(6世紀以降、13世紀以前なのは分かるが)
ご名答です。
ブリタニカ(http://www.britannica.com/eb/article?eu=78023&tocid=0&query=ekkehard%20i%20the%20elder)によると
ラテン詩『ワルタリウス』 Waltharius が書かれたのは9−10世紀のラテン語の英雄詩..作者はスイスの僧エッカルト Ekkehard I the Elder (973没)と思われていたが、1941年来の研究では作者はバイエルン人で、某ゲラルドゥス Geraldus またはゲラルト Gerald なる人物だとの説が有力である。
少なくとも韻文体の序文を書いたのはこの人物であると確定されている。

>ワルターの婚約者ヒルデグントの国ブルガンディはどの辺り?
うーん。これは、今のブルゴーニュと考えていんじゃないですか?というのは、ハガノ Hagano (=ハーゲン)やグンタリウス Guntharius (=グンテル)の出身は、ブルゴントじゃあなくてフランキア Francia つまりフランク王国だという設定ですから。
 つまり、ウォルマティア Wormatia(=ウォルムス)が、フランク王国の統一化におかれたあとの地図を反映しているのです。
だから『ワルタリウス』でいうブルグンディア Burgundia は、ゲルマン系部族のブルゴント族がフン族に壊滅せられた436年のそれでは
なくて、メロヴィング王朝以降(534年−)でいうところのブルゴント[独]/ブルゴーニュ[仏]/バーガンディー[英]ではないでしょうか。
(ちなみに、http://www.thelatinlibrary.com/waltarius1.html にラテン語原典がありました。)

そういや岡沢さんのワルター物語のページ(http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/niberunku/saga-index.htm)は、
だいぶ前に書かれたようですが、
>ヴォルスンガ・サガは「エッダ」に収められた
とありますが、「ヴォルスンガ・サガ」という散文文学と、『詩エッダ』にある幾つかのシグルズやグズルンのネタの歌と、
スノーリのエッダに書かれるファヴニール竜殺しのシグルズの逸話とは個別ですよね。

>ホルンボゲ ハイメ

MHDBDBで検索すると

ハイメ:
AT   BRF  DFL  RAB  ROD VIR
アルプ ビテロ デ逃 ラーベ バラD フィルギ
74回 40回 7回 1回 14回 7回

ホルンボルゲ:
BRF DFL NLB NLC RAB
ビテロ デ逃 ニ歌B ニ歌C  ラーベ 
6回 1回 2回 2回 1回

と出ます。まず、『アルプハルトの死』のストーリーは、ヒルデブランドのもうひとり甥のアルプハルト、つまり『二の歌』で死ぬウォルフハルトの(双子?)の兄弟が、卑怯にもウィティゲとハイメの二人がかりでやられて死んじまうのです。
 『ビテルロルフ』は、ちとわからないのですが、もしかしたらハイメが盗賊団をやっているときビテロルフとディートリエプの親子にけちょんけちょんにやられる箇所が出るのかとおもいましたが、どうなんでしょうか。

 あと、固有名詞とかばかりの箇所は、なんとかわかるので引用します。ここでホルンボーゲはポーランドの辺境伯らしいです:

Dietrichs Flucht, 『ディートリヒの」逃亡』5902 - 5908行

iu kumt von Lengers Walther レンゲルスのワルテル来たり
und Hagen der vil starke,    さらには剛のものハーゲンも、
und kumt von Pôlân ûz der marke さらにはポーランドの辺境国よりやって来たり、
5905Hornboge der maere    立派な[高貴な]ホルンボーゲ、
vil edeler Bernaere,        いと高貴なるベルン人が。
iu kumt Hiuzolt von Priuzen  そしてプロイセンのヒューツォルト
und Hertnît von Riuzen, そしてロシアのヘルトニット 

Die Rabenschlacht, 『ラーベンの戦い』 46詩節
Hornboge von Bôlân ボーラン[ポーランド]のホルンボーゲ
sprach zem Bernaer ベルン人は言えリ
"vünf tûsent recken ich hie hân,「5000の者どもをわしはつれてきた
daz sint allez degene maer. いずれも立派な[りりしい?]つわものばかりをのう..」

Die Rabenschlacht, 『ラーベンの戦い』 712詩節
Walther der Lengesaere レンゲゼーレのワルテル、
der bestuont mit ellens hant 目ざとく、勇ましい手の。
Heimen den vil starken. いと強きハイメ、 
si sâzen bêde ûf zwein guoten marken.両人は二つのよき辺境国に坐して[統治して]いた。

このワルテルの出身地はどこのことかよくわかりません。新しい謎が。「勇ましい手」というのは、ワルテルの綽名のようなものでしょう。『ワルタリウス』は、のフルタイトルは「Waltharius Manus Fortis」(強き手のワルタリウス)ですから。

投稿時間:2002/07/12(Fri) 16:11
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
Re^2: ワルター物語とシドレクスサガ
>ワルターの歌が書かれた時代

あれって、元はラテン語だったんですか。
 ドイツ語じゃないよなあ、とは思ってたんですが・・・それにしても、ゲラルトって誰でしょうね。文学やってる人たちにとっては有名なのでしょうか。
 9−10世紀ということは、ヒルデブラントの挽歌などと同じ時代の作品ですね。思っていたよりも古いです。


>ワルターの婚約者ヒルデグントの国ブルガンディ

 ブルゴーニュですか。
 いや、名前は似てるなぁと思ってたんですが、似てるからって「そこです」と言い切ってしまうのも自信がなかったもので。
 書かれた時代が違うので、国名も違いますよね。

 えー。
 ワルター物語のページは、今見ると「なんじゃこら」な間違いがあるもんで、今書き直してます。
 ご指摘の個所は、ゆうべの訂正で見逃してた部分です。あとで直しときます。


>ホルンボゲ ハイメ


> ハイメ:
> AT   BRF  DFL  RAB  ROD VIR
> アルプ ビテロ デ逃 ラーベ バラD フィルギ
> 74回 40回 7回 1回 14回 7回

 ラーベって何でしょう?
 ビーテロルフに出てた・・・ ってことは、「盗賊やっててディートライプに負ける」という話は、ビーテロルフの一部だったということでしょうか。
 別の話だと思ってたんですが。


> ホルンボルゲ:
> BRF DFL NLB NLC RAB
> ビテロ デ逃 ニ歌B ニ歌C  ラーベ 
> 6回 1回 2回 2回 1回

 ニーベルンゲンの歌に出てた?
 岩波版はB(ザンクト・ガレン)写本からの和訳ですよね。いたかな・・・
 2回も出てたのに見逃したんだろうか。これも、あとで確認してみます。
 
>  あと、固有名詞とかばかりの箇所は、なんとかわかるので引用します。ここでホルンボーゲはポーランドの辺境伯らしいです:

 ホルンボゲが辺境伯として出てくる話は、私も見たことがあります。
 えー、しかし確かにレンゲルスのワルテルっていうのは見たことがないです・・・ 。
 こうして原文とか見ると、たまに驚くような部分がありますねぇ・・・。
 「ディートリッヒの逃亡」にハーゲン出てたんですか。
 それはまた、あとあと「ニーベルンゲン」との食い違いがややこしくなりそうなストーリー展開。

> iu kumt Hiuzolt von Priuzen  そしてプロイセンのヒューツォルト
> und Hertnît von Riuzen, そしてロシアのヘルトニット 

 この二人は誰でしょう。ヘルトニットはどこかで名前を聞いた覚えがあるのですが、ヒューツォルトは全くわかりません^^;

> Die Rabenschlacht, 『ラーベンの戦い』 712詩節
> Walther der Lengesaere レンゲゼーレのワルテル、
> der bestuont mit ellens hant 目ざとく、勇ましい手の。
> Heimen den vil starken. いと強きハイメ、 
> si sâzen bêde ûf zwein guoten marken.両人は二つのよき辺境国に坐して[統治して]いた。

 ハイメも辺境の人ですか。しかも謎のワルテルの隣人と。
 このラーベンというのは、上の回数表示のあった「ラーベ」のことですよね。ラーベンの歌とは、どういうストーリーなのでしょうか。
 

投稿時間:2002/07/14(Sun) 12:06
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re^3: ワルター物語とシドレクスサガ
>それにしても、ゲラルトって誰でしょうね。文学やってる人たちにと>っては有名なのでしょうか。
 ワルテルの作者については、まだ決着はついてないようですね。例えば「Bibliotheca Augustana」の電子テキストは Ekkehardi Waltharius (エッケハルドによるワルタリウス)とがんばってますし。

>ワルターの婚約者ヒルデグントの国ブルガンディ
 言い忘れてましたが、原典では ブルグンディア Burgundia..

>> Tempore quo validis steterat Burgundia sceptris,
>>35Cuius primatum Heriricus forte gerebat.
>> Filia huic tantum fuit unica nomine Hiltgunt,
>> Nobilitate quidem pollens ac stemmate formae.

ラテン語はぜんぜんわかりませんけど -> ブルグンディアの王杖(scepter)を執るヘリリクゥスの娘(filia)ヒルトグントと書いてあるようです。王の名は、英語では Herric(Herrick)と呼びます。

また、
>> Exemplum nobis Burgundia, Francia donant.
という行がありますが、ここは「例えば我らがブルゴンディアはフランキアに与えられておりまする」と、読者の皆様に語りかけているのではないかとと思います。
 
>  ワルター物語のページは、今見ると「なんじゃこら」な間違いがあるもんで、今書き直してます。

たしか timelessmythsのサイトでも触れてましたが、手元の"Hero Tales & Legends of the Rhine"にワルテルの章があります。これによると、まずワルテルがグンテル王の足をふくらはぎのところまで切り落とした。とどめをさそうとすると、ハーゲンが身を挺してかばった。ワルテルの剣は、ハーゲンの兜に当たり、粉々に砕け散った。ワルテルは手に残った柄を放り投げ、新たな武器を求めたが、この機に乗じたハゲネは、すかさずワルテルの右手を切り落とした。ワルテルは切り株になった右手に盾を差し込み、左手にフン族製のハーフソード(脇差?)を抜いて戦い続けた。その一撃は、ハーゲンの右目を奪い、額や唇を深く傷つけ、歯が六本飛んで出た。このへんで戦いはおひらき、酒盛りをはじめる。

> ラーベって何でしょう?
>このラーベンというのは、上の回数表示のあった「ラーベ」のことで>すよね。

 そうです。言葉たりずでしたが、以前は『ラーベンシュラフト(ラベンナの戦い)』というふうに書いていたと思います。私のサイトにおいてあるSandbachの著にありますが、ディートリヒがエルメンリッヒに雪辱をいどむ戦いで、アッティラから借りた二人の王子(Ort と Scharf)と、ディートリッヒの年離れた弟Dietherが、いきさつ上、敵側になったウィティゲに殺されるエピソードが含まれています。

 『シドレクスサガ』要約では Raben(Ravenna)ではなく Gransport の戦いとしてでています。「グランシュポルト」と表記しましたが、考えてみるとラーベンは有名な港であるから「グランスポルト」(すなわち「グランの港」)とすべきなのでしょう。
 『シドレクスサガ』要約の名前は手直しする必要があるのですが、Koch さんの要約は、ドイツ語表記で統一していることになっていますが、完全にそうなってないことは アッティラ(エッツェルでない)、ベルタンガラント、バカラール伯ロディンガーなどからお分かりだと思います。思い切って、私の調べのつくかぎりドイツ語に直してしまおうかと考えています。そのとき、名前の対照表も(ベータ版)でアップします。

>ニーベルンゲンの歌に出てた?
私のメモでは
>ホルンボルゲ 22:1344, 31:1880 エッツェル王の家臣。
>王妃に迎えるクリムヒルト>一行が国に近づくと、王に命じられ馬を
>駆らせたひとり。シュルター>ン、ギベッヒェ、ラームンク、などと
>共にフン族の流儀で紅白試合>(トーナメント)に参加(1880行)。
で、『シドレクス・サガ』の同名の人物とは、設定がまるで違います。

>この二人は誰でしょう。ヘルトニットはどこかで名前を聞いた覚えが>あるのですが、ヒューツォルトは全くわかりません^^;
ヒューツォルトは私もわかりませんが、おそらくマイナーなキャラでしょう。名が似てるとしたら『ニーベの歌』の
>フーノルト(ブルゴントの侍従(kameraere/Kämmerer)。[*つまり>は宮内長官職]。 献酌侍臣ジントルトとよく並び称される人物。
でしょうか。

 ヘルトニットはもっとメジャーなキャラです。『ビテロルフ』の「ロシアのヘルトニット」は、『オルトニット』の「ロシアのイリアスをおじに持つ、ランパルテン(ロンバルディ/ロンゴバルド族)の王Oオルトニット」に相当するのではないでしょうか。

Kochさんの要約では(2)がはしょれれてますが、"The Home of the Eddic Laysという著書("www.northvegr.org/lore/poems/021_02.html)によると、『シ・サガ』では3つのヘルトニットが登場するそうです
>(1)ホルムガルド(ノヴォゴロド)の王だが、ヴィルキナラント国を従
>える。ヘルトニット王室の太祖。二児はオゼリッヒ
>[オザントリックス]とヴァルデマール。ヒルジルの兄弟。妃はオスタ>シア。[22章]
>(2)伯爵でオザントリックスの家臣。ロシアのイリアス伯の息子。
>写本によっては、これもヒルジルの兄弟。
>エルカ姫とエッツェルの縁組は反対する。[44,49章]
>(3)狩猟好きの王。竜に殺される。王妃はイゾルデ(2)。
 古いゲルマン伝説ではヘルトニット(兄)とヘルデル(弟)はハルトゥングスと呼ばれる兄弟で、ギリシャのディオスクリ(カストルとポルックス) にあたるそうです。(http://47.1911encyclopedia.org/O/OR/ORTNIT_or_OTNIT.htm
)
 『サガ』で、領地に巣くう竜に殺されるヘルトニット(2)は、後期中世ドイツ詩『オルトニット』の主人公で、ライバル国の王が送りつけてきた卵からかえった竜に殺されるオルトニット王に対応します。
 『サガ』では"ディートリッヒ"が竜を退治しヘルトニットの寡婦イゾルデ(2)を娶りますが、これは中世ドイツ詩では"ウォルフディートリッヒ"です。

 話が逸れますが、『サガ』のイゾルデ(1)とは誰でしょうか?じつは、『サガ』ではイロンの恋人はボルフリアナなのですが、Kochさん要約では
   ボルフリアナ => イゾルデ
とドイツ化されています。なぜならば、中世ドイツ詩(作品は調査中)ではイロンの恋人は、イールラントのイゾルデなのです。もうお気づきだと思いますが、アイルランドのイゾルデといえば、「トリスタンとイズー」ですよね。ここにアーサー伝説とディートリッヒ伝説のひとつの繋がりを見出せるわけです。

投稿時間:2002/07/12(Fri) 22:20
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
私信ですが
「サガ&エッダリング」に入りませんか(笑
http://www.enjoy.ne.jp/~nao70/webring/index.htm

 シドレクス・サガはサガなので、十分入れますヨ。(戦力増強を狙ってます。)
 管理人は、おそらくご存知、「不完全な間奏曲」のSTILL LIFEさんです。
 将来、F&Q掲示板、メーリングリストなども運営もされるそうです。


 それと、こないだ紹介していただいたマッケンジーの「ゲルマン神話」、めちゃめちゃ面白い本(ツッコミどころが多くて)だったのですが、エッケンリートは入ってませんでした。

投稿時間:2002/07/14(Sun) 12:37
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: ウェブリング
> 「サガ&エッダリング」に入りませんか(笑
>http://www.enjoy.ne.jp/~nao70/webring/index.htm
 おたがいのバナーを掲載しあうやつのことですね。そうですね、もう少しHPが充実したら、改めて。

>  それと、こないだ紹介していただいたマッケンジーの「ゲルマン
>神話」、めちゃめちゃ面白い本(ツッコミどころが多くて)だったの>ですが、エッケンリートは入ってませんでした。

 マッケンジーの北欧神話は、スノーリや詩エッダとの従来解釈とはかなりちがう、飛躍的な解釈ですよね。これだけをいきなり読むと、まるで個人ウェブサイトの創作サガを読んだような気がする、とでもおっしゃりたいのでしょう。
 ですが、こいつは、リュードベリの二番煎じです。リュードベリはそのつど緻密に考証とか、語学的な根拠を出してます。

 ラグナロクの時までイアルンウッド(鉄の森)で勝利の剣をまもりつづける巨人のエグセルと、雄鶏の姿で剣を受け取りに羽ばたいてやってくるヴィドルフ と 『サガ』のエットゲル、杖のヴィドルフという巨人という名前の相似とかは、私ははっとしましたが。

投稿時間:2002/07/14(Sun) 15:52
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
んー・・・
 本日、きよさんのサイトをあらためて読んでいて、どこの部分がシドレクス・サガに関係しているのかは気がつきました。

 ハールヴダンの息子、ハッティング…ですか。しかしハッティングは「毛深いもの」という意味らしい。ディートリヒは「ヒゲも無い」という書かれかたの人だったので、正反対だなぁ? と、思ったんです。

>  マッケンジーの北欧神話は、スノーリや詩エッダとの従来解釈とはかなりちがう、飛躍的な解釈ですよね。これだけをいきなり読むと、まるで個人ウェブサイトの創作サガを読んだような気がする、とでもおっしゃりたいのでしょう。
>  ですが、こいつは、リュードベリの二番煎じです。リュードベリはそのつど緻密に考証とか、語学的な根拠を出してます。

 リュードベリが、どんな考証をしていたのかは、ぜひ知りたいところです。
 すべての資料を一本につないでしまうというのは、気持ちはわからんでもないですが、相当無謀だな、と。

 すべての伝承を一本にして、新たに「叙事詩カレワラ」を作ったがごとく、相当な部分を切り落としてしまっているように感じました。
 たとえばワイナミョイネンを撃つ「すが目のラップ人」を「ヨウカハイネン」と置き換えるがごとく、オーディンの兄弟をヘーニルとローズルに置き換えてしまっていたり…。
ここらへんの根拠も、ぜひ知りたいものです。

+++
 そういや、きよさんのサイトで「杖のエットゲル」となっている人、私が過去に訳したものを見ると、なぜか「知恵おくれのエトゲル」になっていました。
 杖と知恵遅れって一体。^^;
 あと「オザントリックはどんずらした。」とか訳してて怪しいことになってました。
 …自分訳をサイトにのせなくて良かったと心底思いますね。才能ゼロです。

投稿時間:2002/07/16(Tue) 10:29
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: ハッディング
>  ハールヴダンの息子、ハッティング…ですか。しかしハッティン
>グは「毛深いもの」という意味らしい。ディートリヒは「ヒゲも無
>い」という書かれかたの人だったので、正反対だなぁ? と、思った
>んです。
 そうなんです。じつはリュードベリも、それに触れているんです。
その著書の英訳があるページのhttp://www.hi.is/~eybjorn/ugm/ugm7.htmlを見ると
Hadding は "the hairy one"(毛深い者)、 "the fair-haired"(美髪の者); Dieterich (Ðóðrekr) は "the ruler of the people"(民の統治者)、 "the great ruler"(偉大なる統治者)の意味がある。いずれの綽名(添え名)も、同一のサガ人物に帰するものである。ハッディングは、その若い頃、まだ一国を持たない頃のものであり、ディートリッヒは幾多のチュートン部族を束ねた王となったことを表す添え名である。
 Vilkinasaga ヴィルキナサガ(=シドレクスサガ)は、この人物が、豊かで美しい生え具合の頭髪の持ち主で、あごひげをたくわえたことはなかったと記される。その記述だけでも、なぜ[この人物が]ハッディングの名のもとにチュートン部族のあいだで謳われただろうことを説明するに事足りるだろう。なぜなら、前述したように、ハッディングはアングロサクソン詩のなかでは Heardingの名で知られており、後述するように大陸のチュートン族の間では、ディートリッヒの名のみでなくHartung の名で知られていたからだ。また、神話伝承のなかで「毛深い」の語句は、あるいはノルウェーの最初の君主ハラルドの「美髪王」の添え名と同じ意義(重み)があり、ハラルドがノルウェー全土の王となるまで、髪を伸び放題のままに放っておくと誓いを立てたのは、あるいは神話のハッディングを模したのかもしれない(『ハラルド美髪王のサガ』 Harald Harfagri's Saga, 4章)。

 けっこう書きましたけど、これなんてリュードベリ著の1/1000にも満たないんじゃないでしょうか。でも、上の箇所を読んだら、や「後述」はどうなってるんじゃー、とか気になっちゃいますよね。そんでもってきりがない。「後述」で触れているハルトゥング Hartung の名ですが、Hartungs というのはヘルトニットとヘルデル/ハルドヘリ/ヒルジルの兄弟のはずなんですがね−ヘルトニットのレスで触れた。

投稿時間:2002/07/16(Tue) 18:28
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
素朴な疑問なんですけど。
 シドレクがハッティング??

 シドレクはディートリッヒのことですよね。ディートリッヒの原型とされるテオドリクが誕生したのが475年。
 ディートリッヒ=テオドリク説が正しくなかったとしても、「エッダ」が書かれた時代にはニーベルンゲン伝説の中には登場していますよね。
 ハールヴダンがどうのこうののサガって、かなり後の時代のじゃなかったっけ…?

 年代が不自然じゃないですか。
 ニーベルンゲン伝説の成立したと思われる時代と、シドレクの原型になった人物の誕生の間に差がありすぎる。

 しかも、この本のハッティングが出てくる箇所、オリジナル解釈入りすぎて、原型が無いですよ?
 何でトネリコのはずのユグドラシルにリンゴがなってるのか。
 リンゴで妊娠のモチーフは他のサガにも出てくるけど、それはオーディンがすることであってフレイヤじゃないし。
 アングルボダがフレイヤの侍女ってのも出典不明だし。

 基本的に歴史の記録であるサガに、「巫女の予言」など神話の記述をブレンドするのは相当問題があると思うのですが…。

投稿時間:2002/07/17(Wed) 15:48
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: 「リンゴ」は「不特定果実」
>  ハールヴダンがどうのこうののサガって、かなり後の時代のじゃ
>なかったっけ…?
>  年代が不自然じゃないですか。
 ここでいうハールヴダンやハッディングは、サクソの『デーン人の事蹟』に登場する、古い伝説・神話上の人物かと思います。ハールヴダンはありふれた名前ですから、ハールヴダンちゅう名の実在の人間のアイスランド・サガはありましょうけど、別でしょう。
->調べたとこ Ha'lfdan Eysteinsson (エイステインの息子ハールヴダン)のサガ、Ha'lfdanar saga svarta(黒のハールヴダン)のサガなどがありました。

 サクソはまだぜんぜん目を通してないので詳しいことは言えません。

>何でトネリコのはずのユグドラシルにリンゴがなってるのか。
 世界樹の実がすなわち、アース神族の若さ(滋養強壮)を保ったり、ヴォルスング・サガの序章で、うまずめの母親に与えれば子供を授かったりする果実だという解釈だと思います。
 トネリコの実というのは、うすっぺらい緑色の花びらみたいなですからね。そんで、中央に小さな扁平で丸い種が入っている。何かカッコがつかないじゃないですか。だからペラペラじゃなくて、やっぱ丸っこい設定にする。
 そんでもって apple (古ノルド語で apli)という語は、不特定の果実や野菜の意味でもあるのです。OED辞書によると、かなり太古の頃から、そういう使われかたをしていたとあります。

>  アングルボダがフレイヤの侍女ってのも出典不明だし。
 うーん。これもリュードベリが何章も費やしてるところですから、とても諳んじて言えるもんじゃないんですが、ようするにフレイヤの侍女に黒魔術をする女スパイがいて、そいつが術か媚薬をフレイに持ったせいで、兄貴がゲルズなんてジャイ娘にイカレタホレタになってしまう展開になるんだ、という解釈が、底辺にあります。
 いまざっとHPを見返したところ、
 魔女グルウェイグ(3回殺しても死なない)=アウルボダ (巨人娘ゲルズの母親)=アングルボダ(ロキの愛人でフェン狼とかの母)。
で、つまりはこいつが姿を化けて侍女になりすましたってとこでしょうか。 

 考証をすこーしだけ垣間見ると、例えば、満場一致で嫌われ者なはずの、魔女のグルウェイグをオーディン神たちが串刺し+焼きうちにして殺すのを、なぜヴァナ神族の陣営がとがめだてするのか?それはグルヴェイグ=アウルボダ=フレイ神の姑だから、そうする義理があるからだと。

投稿時間:2002/07/17(Wed) 18:33
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
かなりムリのある説だと思います。
>  ここでいうハールヴダンやハッディングは、サクソの『デーン人の事蹟』に登場する、古い伝説・神話上の人物かと思います。

 ああ、やっぱりサクソでしたか。
 だろうな、と思っていたんです。しかしサクソは北欧の人ではないし、北欧神話を書いた人ではありません…。
 彼はご主人から「デンマークの歴史を書け。」と言われて「ゲスタ・ダノールム」書いたのだから、それを神話と混ぜるのは相当なムリがあると思います。

 ゲスタ・ダノールムに出てくる神様たちはみな貶められているし、サクソ時代の改変のあとがかなり見られると思います。

 当時の人々の信仰の記録としては良かろうと思うんですが、神様たちを人間の英雄化して歴史に混同する傾向のあるのがサクソの本ですよ?
 

>  そんでもって apple (古ノルド語で apli)という語は、不特定の果実や野菜の意味でもあるのです。OED辞書によると、かなり太古の頃から、そういう使われかたをしていたとあります。

 そもそも北欧ってリンゴはおろか、大きな実のなる木が無い(あっても、ごくごく僅か)ですもんね。そりゃ全部一緒くたでしょうね…。
 北欧神話に登場する「りんご」ってのは、生ってる形跡が全然ない、なんで箱なんかに入ってるんだっていう話を、昔どこかでしてたことがあります。
 実物を見たことがないままで神話に組み入れたんじゃないか、とか。
 

> >  アングルボダがフレイヤの侍女ってのも出典不明だし。
>  うーん。これもリュードベリが何章も費やしてるところですから、とても諳んじて言えるもんじゃないんですが、ようするにフレイヤの侍女に黒魔術をする女スパイがいて、そいつが術か媚薬をフレイに持ったせいで、兄貴がゲルズなんてジャイ娘にイカレタホレタになってしまう展開になるんだ、という解釈が、底辺にあります。

 私の中では、アングルボダは、バルドルが死んだときにオーディンが会いにいく巫女だという解釈です。
 オーディンが「お前は3人の巨人の母だろう」と返しているのがアングルボダを指す言葉だと。


>  いまざっとHPを見返したところ、
>  魔女グルウェイグ(3回殺しても死なない)=アウルボダ (巨人娘ゲルズの母親)=アングルボダ(ロキの愛人でフェン狼とかの母)。
> で、つまりはこいつが姿を化けて侍女になりすましたってとこでしょうか。

 最近出た「生と死の北欧神話」という本では、グッルグゥイグはフリッグとされていますし、その以前の多く信じられていた説では、グッルグェイグがセイズという名を持つことからフレイヤだとされていました。

 もしフレイヤだとすれば、ヴァン神たちがとがめだてする理由も分かるだろうし(ニョルズパパが怒るから)、ニョルズとフレイがアスガルドに来たとき、「フレイヤも来た」という記述が無いのに説明がつく。

 もしフリッグだとすれば、出自不明な彼女に、主神の妻として相応しい過去の記録が出来ることになる。

 リュードベリさんの説をきちんと読んで理解したわけじゃないのですけれど、過去のこういった考証に対する反論は成されているのでしょうか。どーも、突飛過ぎてついていけないというか…。

 いやいや。突飛な説は好きなんですけど、アングルボダってロキの奥さんだった人じゃないですか? 何だってまた?

投稿時間:2002/07/18(Thu) 12:27
投稿者名:きよ
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タイトル:
Re: サクソはスノーリと同時代
>  ああ、やっぱりサクソでしたか。
>  彼はご主人から「デンマークの歴史を書け。」と言われて「ゲス
>タ・ダノールム」書いたのだから、それを神話と混ぜるのは相当なム>リがあると思います。
 サクソは、ラテン語で執筆したかもしれませんが、それでもデーン人ですから、やっぱり北欧人ですよ。デンマークっていえば、ユトランドやゼーランドやグリーンランドですから。
 さらには、サクソは12-13世紀の人でスノーリとほぼ同期です。使った資料も古い歌やサガです。よって、あながちスノーリが正典でサクソが外典っていうことは言えないんだって聞いてます。

>  ゲスタ・ダノールムに出てくる神様たちはみな貶められている
>し、サクソ時代の改変のあとがかなり見られると思います。
>  当時の人々の信仰の記録としては良かろうと思うんですが、神様
>たちを人間の英雄化して歴史に混同する傾向のあるのがサクソの本で>すよ?
 サクソのは16部作で、歴史書のない時代の伝説の王がほぼ前半で、史書や記録に頼っているのがほぼ後半。自分の知識によったオリジナル執筆が最後の2部ほど。―らしいです。
 そして前半にある、バルドルやオズ(ホズ)が昔のデンマークの王だとするのは、そのときにつたわる伝承で、サクソが捏造したのではないのだそうです。デンマーク王室が、自分らの祖先を異教の神だと信じてるというのはマズイから、人間化をせざるを得ないと思います。
 ちなみに「神格化」のことをアポテオーゼ apotheosis と言いますが、神を人間として解釈するのをエウヘメリズム euhemerism といい、期限300年頃生まれの哲学者エウエメロスが提唱したものだそうです。

>  そもそも北欧ってリンゴはおろか、大きな実のなる木が無い(あ
>っても、ごくごく僅か)ですもんね。そりゃ全部一緒くたでしょう
>ね…。
 ブルーベリーやリンゴンベリーとかなら生えてますね。サンザシの実は英語でhaw。でもこれらは高木じゃなく潅木ですから世界中にはなりえませんね。ブナの実、ドングリやマツボックリはあるでしょうけど、食えるような食えないような実ですからね。
 
 世界樹の話は、各地にあるそうですが、アイルランド神話にも、ユグドラシルによく似たものがあります。世界樹にあたるのが、叡智の実(nuts of inspiration)の成る樹で、その実が、根元にある水神ネフタンの発想の泉Nechtans well of inspirationに落ちるのです。そこに、井の中のかわずのごとく住んでいる鮭は、この実を食べて叡智の鮭となったのだそうです。 
 さて、フィネガスという老人が、その叡智を自分のものにしようと、鮭を捕って食べようとしました。ところがたまたまそれを通りすがりのフィン・マックールに料理させたところ、鮭の油が跳ねて指に触れ、アチチとその指をしゃぶったフィンに、その叡智がそなわってしまったのです(ここは、シグルズがファヴニール竜の心臓の血を舐めてしまうところに似てます)。

>最近出た「生と死の北欧神話」という本では、グッルグゥイグはフリ>ッグとされています
 リュードベリもグルヴェイグが、アース親族のなかに住んでいたとき、黒魔術(セイズ)をまずフリッグに教え、そこからアース神族にひろまったのだ、というような論調をとっています。セイズと神々の関わり合いについてもかなり緻密に語ってるので、これもちょっと簡単には書けませんけど。
 グルヴェイグがフレイヤという説は、いただけませんねー。イメージ的にも。

>リュードベリさんの説をきちんと読んで理解したわけじゃないのです>けれど、過去のこういった考証に対する反論は成されているのでしょ>うか。どーも、突飛過ぎてついていけないというか…。
 リュードベリの著書は1870年頃ですから、もっぱら反証される立場でしょう。

投稿時間:2002/07/18(Thu) 12:58
投稿者名:岡沢 秋
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デーン人でしたか
>  サクソは、ラテン語で執筆したかもしれませんが、それでもデーン人ですから、やっぱり北欧人ですよ。デンマークっていえば、ユトランドやゼーランドやグリーンランドですから。

 あ、なんだ、司祭の秘書 だったんだから司祭さんといっしょに本国から来た人かと思ってカンチガイしてましたが、現地人でしたか。
 そりゃ何も無いところから作れはしないだろうから、サガなどを元にはして書いているのでしょぅが、そのまま書いたかどうかは、分からない。
 もしかすると都合の悪いとこカットしまくりかもしれない・・・。
 (と、いちおう疑ってみる。)

 デンマークならリンゴはあるかも。
 北欧では耕作に使われていなかった牛なども、デンマークにはいたはずだし。

>  さらには、サクソは12-13世紀の人でスノーリとほぼ同期です。使った資料も古い歌やサガです。よって、あながちスノーリが正典でサクソが外典っていうことは言えないんだって聞いてます。

 それは思います。サクソはスノリよりすこし先輩なんでしたね。
 しかし、私の中ではスノリも北欧神話の中ではかなり異質です。「古エッダ」の世界と、スノリの描く世界には、若干のズレがあるような気がします。 語り口調のせいもあるのでしょうが。(散文では、どうしても北欧特有の力強い言い回しにはなりませんよね。)

 
>  世界樹の話は、各地にあるそうですが、アイルランド神話にも、ユグドラシルによく似たものがあります。

 フィンの話は、読んだことあります。
 すぐ近くのフィンランド神話だと、世界樹にあたるものは「サンポ」ですか。
 サンポは多くの恵みを生み出すものですが、面白いのは根っこごと引っこ抜いて運搬可能だというところ。フィンランドも北欧といえば北欧なのですが、神話の質がかなり違うようです。

>  リュードベリもグルヴェイグが、アース親族のなかに住んでいたとき、黒魔術(セイズ)をまずフリッグに教え、そこからアース神族にひろまったのだ、というような論調をとっています。セイズと神々の関わり合いについてもかなり緻密に語ってるので、これもちょっと簡単には書けませんけど。

>  グルヴェイグがフレイヤという説は、いただけませんねー。イメージ的にも。

 そうですねぇ。私も思います。フリッグのほうが納得いくって。
 ・・・ところでセイズって黒魔術なんですか。自己暗示みたいなモンかと思ってました。


>  リュードベリの著書は1870年頃

 ! 古ッ。そんな古かったんですか? わぁ・・・新たな発見のない、北欧神話ならでは・・・。
 ううん。よくそんなものを見つけましたねっていうか、きよさんはどうして、リュードベリ説にひかれたのでしょうか。敢えて反論の多そうな説を支持してみるとは。

投稿時間:2002/07/21(Sun) 10:06
投稿者名:きよ
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タイトル:
Re: リュードベリ
>  もしかすると都合の悪いとこカットしまくりかもしれな
>い・・・。
>  (と、いちおう疑ってみる。)
 まあ、カットもあるかもしれませんが、反面、エッダやサガではあまり伝わっていない神話伝承も残っているから貴重なのだと思います。

>  デンマークならリンゴはあるかも。
>  北欧では耕作に使われていなかった牛なども、デンマークにはい
>たはずだし。
 女神ゲヴィオンが、スウェーデンの王から、もてなしの礼に、十日で耕せるだけの田畑を与えようといわれたとき、四人の息子を牛に換えて土地を耕して、まんまと巻き上げたのがゼーランド島だそうです。もとはゼーランドはデンマーク本土につながっていたのを、彼女が切り離したのだとか。

> そうですねぇ。私も思います。フリッグのほうが納得いくって。
>・・・ところでセイズって黒魔術なんですか。自己暗示みたいな
>モンかと思ってました。
 坐っておこなう呪術−男がこれを使うと女々しいとされていることが、「ロキの論争」にあると思います。

> どうして、リュードベリ説にひかれたのでしょうか。敢えて反論の
> 多そうな説を支持してみるとは。

 リュードベリは、スウェーデンの漱石みたいな人物で、つまりはいっぱしの小説家らしいです。だから、「こんなん書くのに、何で十年も棒に振ったんじゃい」と怒る人もいたとか。
 小説家だけあって、内容が学説的であっても、やっぱ文章が美しいです。典拠も、サクソやヴィルキナ・サガ(シドレクス・サガ)まで調べてるし。語学的なモノは好きですね。グリムのゲルマン神話とかも。

投稿時間:2002/07/22(Mon) 21:04
投稿者名:岡沢 秋
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小説家ですか。
 …なんか北欧神話をネタにした小説書きだー、とか言ってるネット上の数多の個人サイトを思い出した自分。
 北欧神話の再話だといいながら、それは単にオリジナルなんだろ? と、いうツッコミを入れたくて入れたくてしょーがない今日この頃。

 と、いうのはおいといて、リュードベリさんは小説家なのですか。
 なるほど、物語としては面白かった、あの本。

 セイズの話は、前にここの掲示板でやってましたね。すっぽり抜けてました、スイマセン。またおんなじ話の繰り返しかよ、っていう。
 しかし、サガのほうで女魔法使いが使う魔法には、セイズという名前は出てきませんよね? 「グレティルのサガ」でグレティルを殺すつきの魔法もセイズとは呼ばれていないし、「みずうみ谷家のサガ」でみずうみ谷家の息子たちに使われる魔法も、女性がつかう卑怯な魔法とは呼ばれながらセイズではないらしい。

 わからん…。


 ところで、リュードベリの説でひとつだけ、ものすごく気になるところがあるんです。
 オーディンの兄弟、ヴィーリとヴェーがヘーニルとローズルの別名だ、という。ここの部分、確かに巫女の予言とスノリエッダで違ってて妙なんですけど、もしそうだとしたら、ローズルはどこへ行ってしまったんでしょうか。
 ヘーニルはしょっちゅう出てくるのに、ローズルは一度きりですよね。
 ローズルをロキだとする説もあるようですが、これを取って、もしロキがオーディンと実の兄弟だったとすると、わざわざ義兄弟の契りをする必要がなくて、変です。

 どっちに転んでも、今ひとつ納得がいかないんですよ…。

投稿時間:2002/07/23(Tue) 18:06
投稿者名:きよ
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Re: ヴィリとヴェイですか
http://www.hi.is/~eybjorn/ugm/ugm13.html 83章 によれば、こうなってます:
 「巫女の予言」では、オーディンが人類創造するときHoenirとLodurが手伝った。「ギルヴィ9章」では、オーディンの兄弟が手伝ったとし、「ギルヴィ6章」で、兄弟の名はVe とViliだと明かされているから、ヴェイとヘーニル=ヴェィとローズル=ヴィーリがなりたつ。

 そして、サクソに登場する人物に、ロテルス王 Lotherus という、ハーヴダンやハッディングの祖先がいますが、これはもともと神話のキャラに違いなく、ローズルのラテン語化にほかならない。

 ヘイムダルの父親は、(摩擦熱で)火を作ったムンディルフォリMundilforiであることは82章でしめした。この火をもたらした神ムンディルフォリが、じつは「燃え栄える」という意味のlodernからくるローズルと同一なのである。

 さて、ヴァナ国の君主は、もとはオーディンと仲のよいヘニールのほうだったのですが、ヴァナ=アサ戦争が勃発するとヘニールは失脚し、兄弟のローズルがヴァナ王となる。じつはオーディンやアサ族はヴァナヘイムを追放されたのだが、このときヘーニルはオーディンと運命を共にした
 -> ですから「アス側の資料」にはよく出てくるのではないでしょうか?

 「巫女の予言64節」では、ヘニールがいずれ、神としての権利をとりもどしたことに触れている。また、「詩の語法」では、ヘニールがオーディンの兄弟であるということは失われているが、アスガルドから遍歴するとき、ヘニールを供に連れることにはふれている。

 アサとヴァナ族の戦争のとき、フリッグはヴァナ側の肩をもった(36章を参照)。「ロキの口論」26節のフリッグの罵りや、「ヘイムスクリングラ」の「ユングリングサガ」3章で、オディンがアスガルドを留守にしていた間、ヴィリとヴェリはフリッグを愛人としたという伝承も、そのためである。

 サクソによれば、ロテルス王は謀殺されたという。。。。

 とまあ、けっこう削りましたが、こんな感じです。
 
 

投稿時間:2002/07/24(Wed) 19:10
投稿者名:岡沢 秋
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長ッ
 あぁあ、英文がムチャクチャ長い…しかもフォントが。フォントが。。
 何ですかコレは。コレをいっこいっこ読んでいくわけですか。

 えー。結局英語の半分も理解できていない頭の悪さで言うのもおこがましいんですが…。
 ヴィーリ&ヴェー=ヘーニル&ローズルとする説はいちばん簡単なのにあまり指示されていない、と、いうことは、何か、そうじゃないと言える理由もある気がするんですよ。

 タイトルも何も知らないんですが、確かスカルド詩の中に、ヴィーリとヴェーはオーディンの不在中にフリッグを妻としたけれど、戻ってきたオーディンによって追放された、というものがあったんです。
 これが理由なのかな、とも思うんですが。

 神話というのは、矛盾するのが普通であって、一本にすんなり繋がってしまうものは神話としては逆に不完全な気もします。
 たとえばバルドルが死んだとき、ヘルモーズがヘルに行く話と、オーディンが行く話がありますよね。
 どっちが正しいわけでもなく、かといって、どっちも正しいからといいって単純に両方つなげていいかどうかは分からない。

 そう簡単じゃない、と自分は思います。
 
>  そして、サクソに登場する人物に、ロテルス王 Lotherus という、ハーヴダンやハッディングの祖先がいますが、これはもともと神話のキャラに違いなく、ローズルのラテン語化にほかならない。

 ホズルやバルドルのように、神を人間化した、ということですよね。
 しかし、もしかすると、その神自体、過去に実在した人間を神格化したものかもしれないし、神と同じ名前をつけた人間が実在したのかもしれない、という疑いもあると思います。

 しかし、何でハッティングの祖先がローズルなんてマイナーキャラになったんでしょう^^;


>  ヘイムダルの父親は、(摩擦熱で)火を作ったムンディルフォリMundilforiであることは82章でしめした。この火をもたらした神ムンディルフォリが、じつは「燃え栄える」という意味のlodernからくるローズルと同一なのである。

 おや、オーディンが父とする話もあったんですが…。
 こっちの説は知りませんでした。それともムンディルフォリをオーディンと解すれば、オーディン=父親説になるのでしょうか。


 うーん。ここら、やっぱ自分には難しい。
 神話関係の資料は、あんまり持ってないので材料が無さすぎました…。

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