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投稿時間:2002/08/19(Mon) 05:16
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
『ニーベルンゲンの歌』の野生動物のツッコミ
狩猟のもようが書かれる『ニーベルンゲンの歌』第16章937節ですが、

(1)岩波訳で->野牛四頭とあるのは、じつは原文は ure [ûre]
つまりは原(ウル)の牛。原牛ともいわれる、家畜のウシの祖先種オーロックス(学名:Bos primigenius)のことです。
古くは新石器時代のラスコーの洞窟壁画に書かれた牛であり、また、ルーン文字の「ウルズ」もこの牛をさしています。
じつは、かなり近世まで生き残っていて、絶滅したのは 1627年らしいのです。

画像を見るなら:
http://www.cix.co.uk/~heritage/ news/aurochs/ 
http://www.aristotle.net/~swarmack/aurochs.html
(ここに出ている、実物らしかるオーロックスは、あるドイツの飼育者がなんとか「原牛」に
近い血統をつくろうと交配を重ねたものだそうです)
サイエンス雑誌『Newton』 2002年08月号に「オーロックス 失われた野生動物」に記事が
出てたとか。

(2)岩波訳で->水牛とあるのは、原文は wisent で、これはヨーロッパのバイソンの
ことです。水牛みたいにスベスベのじゃなくて、毛むくじゃら(エアデール・テリアの牛版)のやつです。
数少ないですが、いまでもポーランドなどに生存しています。
画像:
http://www.grida.no/prog/norway/ convention/bonn/
ちなみに、「モッタレラ・ディ・ブッファラ」の水牛というのは、ローマ時代の頃に持ち込まれた種だとか。

(3)岩波訳で->麋(おおじか)は、原文は elch で、これはヘラジカのことです。

(4)獅子はライン河畔にいるはずもないと註がありますが、ライオンは昔、南ヨーロッパにならいたのです。
たとえば、ローマ皇帝が「キリスト教徒をライオンに食わせる」のはアフリカから輸入していたと思ってましたが、
もとは現地調達だと聞きました。

投稿時間:2002/08/19(Mon) 12:56
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
マズそう・・・?
 オーロックスについては、以前、「ゲフィオンのつれてくる牛(息子さん)たちは、どんな牛だったのか」ってな話をよそのサイトでしてて調べたことがあるんですが、もじゃもじゃしてて、いかにも暖かそう・・・ ですよね。
 でもマズそう。(笑)

 ライオンの話も調べましたねー。
 アーサー王関係の叙事詩「イーヴェイン」で、主人公が獅子つれて戦ってたもんで。白い獅子はさすがに居なかったでしょうが。

 水牛とヘラジカは今回が初。むう、ヘラジカってことは、かなり命懸けの狩りですか。なんか狙ってるものがやたら大型獣ですねぇ。むかしの人はスゲエ。

投稿時間:2002/08/20(Tue) 07:51
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
食った…
>  オーロックスについては、以前、「ゲフィオンのつれてくる牛
>(息子さん)たちは、どんな牛だったのか」ってな話をよそのサイト>でしてて調べたことがあるんですが、もじゃもじゃしてて、いかにも>暖かそう・・・ ですよね。
私もモジャモジャ牛の絵がオーロックスの挿絵になっているのを見ましたが、これは正しくないと思います。(これについては、『ニーベルンゲンの歌』英訳の電子テキストも同じく間違えているのですが。)
 ツノが水牛なみに大きくスベスベなのがオーロックス(絶滅)で、頭のツノがちっこくてモジャなのがヨーロッパ・バイソン(希少)かと思います。

 ヨーロッパ産のバイソンというのは、北米のバッファローとほぼ同じです。バッファロー肉は、けっこう市場に出回っているので食ったことくらいはあります。別にそうマズかぁーありません。脂身が少なくて淡白な感じ。昔は6000万頭いたそうですが、白人によって乱獲されて一時6万頭くらいに減りました(映画『ダンス・ウィズ・ウルフ』でも、珍味である舌・心臓だけを切り取って、残りは討ち捨てておかれてますよね。)

 ヨーロッパ産のヘラジカ elk は北米では moose といいます。アニメの飛びリス(モモンガ)のロッキーの相棒ブルウィンクルが有名。

>  ライオンの話も調べましたねー。
>  アーサー王関係の叙事詩「イーヴェイン」で、主人公が獅子つれ
>て戦ってたもんで。白い獅子はさすがに居なかったでしょうが。
 やはり、そういう考証をなさってましたか。生息分布の。ライオンだとさすがに飼うのは大変でしょうね、喧嘩ふっかけて人間殺して餌を調達しないと。ヨーロッパヤマネコだったらもっと楽?

 関係ありませんが、太古の哺乳類で、サーベル型の牙をもつセイバーツースタイガー saber-tooth tiger は、訳語が剣歯虎(けんしこ)とあまりかっこよくないですね。

投稿時間:2002/08/20(Tue) 09:27
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
エステルゴム
 こちらのマップで扱っておられた「エステルゴム」ですが、『ニーベルンゲンの歌』にありました。
 私のメモに抜けていて、つまりは MHDBDBのほうでデータが「固有名詞」として登録されてなかったのです。

 第24詩歌1497行に、

   彼ら[楽人たち]はグランの城下でエツェル王に対面し、

とあります。岩波版では注釈してくれていませんが、ここに見えるグランというのは独名で、現在のハンガリー領エステルゴムなのだそうです。

投稿時間:2002/08/20(Tue) 09:43
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
成る程!
>  第24詩歌1497行に、
>
>    彼ら[楽人たち]はグランの城下でエツェル王に対面し、
>
> とあります。岩波版では注釈してくれていませんが、ここに見えるグランというのは独名で、現在のハンガリー領エステルゴムなのだそうです。

 あぁ! 前に「Granってのは、何語なんですか?」と、ろきさんに聞いた、あのGranかぁ! (気付け自分) なるほどなぁ・・・。
 じゃあ尚更、ブダペストの向かい側とする説がわからないような。
 グランの城は、エステルゴムでは無かったんでしたっけ?

>オーロックスの話
 毛むくじゃらではなかったんですか。騙された。
 どうしよう、絵まで描いて人に上げたのに。 ムースのほうは騙されてませんよね、ナショジオ誌で見たんだから(汗)

投稿時間:2002/08/20(Tue) 16:37
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: エステルゴム+牛
>  じゃあ尚更、ブダペストの向かい側とする説がわからないような。
>  グランの城は、エステルゴムでは無かったんでしたっけ?

 第22節1379行では、エッツエルはエッツェルンブルクという城にふんぞりかえっています。これが首都。(=ブダペストの反対岸=オッフェンでしょう)。
 ストーリーでは、クリエムヒルト妃の輿入れの一行がちがづいてきましたという報が入ると、エッツェルは、待ちきれんといわんばかりに「ではこちらも向こうにむかって出て迎えよう」ちゅーことで、少しドナウ川沿いを西にむかったグラン(=エステルゴム)の城に居を移していて、その記述が、第24詩歌1497行なのだと思います。

> >オーロックスの話
>  毛むくじゃらではなかったんですか。騙された。
>  どうしよう、絵まで描いて人に上げたのに。 

 絵まで描いたとはご愁傷様でした。http://images.google.co.jp/ のイメージ検索で見たところ、だいたいの復元図はすべすべのようです。しかし、1911年版のウェブスター辞典の挿絵 (www.sru.edu/.../compsci/dailey/ public/mammals/mammals.html)も、明らかにバイソンの絵がスリ替わっていますし、誤って伝えられている文献はけっこう多いのでしょう。生写真が出てたりするのは、合成ではなく、飼育家が血統を復元した牛ですね。あとは骨格標本とか化石の画像。毛皮は残っていないんではないでしょうかね。
 

投稿時間:2002/08/20(Tue) 20:24
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
24歌章…
>  第22節1379行では、エッツエルはエッツェルンブルクという城にふんぞりかえっています。これが首都。(=ブダペストの反対岸=オッフェンでしょう)。

 自分ちの文庫をひっぱりだしたら、自分で線引いてチェックしてありました。
 にもかかわらず忘れてるあたり記憶力最悪です;;
 で…24歌章(1497)なのですが、ここは、クリエムヒルトの輿入れシーンではなく、クリエムヒルトが嫁いだあと、復讐のためにハゲネを呼び寄せようとして、使いを出し、帰ってきた使いと会うシーンでした。
 輿入れたクリエムヒルトとエッツェルが会うのはウィーンで、そののち、クリエムヒルトの消息が伝えられた、と書かれているのがエッツェルンブルグ。

 待ちきれなかった王様、エステルゴムどころか、辺境伯の領地まで迎えに行ってますねぇ…。
 エッツェルンブルグとグランと二種類出てくるのは変なのですが、ブルグントへ行って戻ってきた使者が国王と「グランの城下で対面した」のなら、グランが本拠地になるのではないかと。

 現在ある「グラン」という名前がニーベルンゲンの歌の書かれた当時は無かった名前だったとすれば、別の場所になるんでしょうね。


>オーロックス
 探してきます。子供動物図鑑ででも♪←突如レベルが下がる

投稿時間:2002/08/20(Tue) 21:46
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
追加
 ウィーンを出たあとのクリエムヒルトの足取りです。

 ウィーン⇒ハイムブルク⇒ミゼンブルク(船に乗る)⇒エッツェルンブルク

 「ハイムブルク」「ミゼンブルク」の位置次第でエッツェルンブルクが何処かも変わるってことですね?
 ハイムブルクは現在のハインブルク、ミゼンブルクはイーゼルブルクとあるのですが、綴りなどお分かりになるでしょうか。
 えー…ハイムブルク(ヘイムブルク)のつづりだけ分かった。Heimburg、だって。ヘイムダル関係?

投稿時間:2002/08/22(Thu) 15:07
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: 都市名

>  で…24歌章(1497)なのですが、ここは、クリエムヒルト
>の輿入れシーンではなく、クリエムヒルトが嫁いだあと、復讐のため
> にハゲネを呼び寄せようとして、使いを出し、帰ってきた使いと会
>うシーンでした。
 ガセ情報すみませんでした。スウェンメルとウェルベルに目通りしていたシーンでしたね。寝ぼけてました。
 ご指摘のように、C写本では、ご指摘のように、固有名詞ではなく、Ezelen bourge「エッツェルの城塞」とかかれています。それだと、首都「エッツェルの都」=別のところでグランと呼んでいる可能性が濃厚になってきます。そもそもエッツェルの都=オッフェン(ブダペストの右岸)とする根拠はなんでしょうかね。
 B写本では22:1379行で"Etzelnburc" と固有名詞扱いです。

 C写本は、あとたとえばメッツが Mezzin/Meizzen となっています。また、ハーゲンが財宝をライン川に沈めた場所「ローヒェ」Loche ですが、C写本(1152行)では、ローヒェを「穴」と解釈しており、そのかわりにB本にはないロールスLôrse[Lorse] の僧院に預けた?かどうのこうのと書かれているようです。

 ミゼンブルクは、調べたかぎりではハンガリーのモションマジャロバールだとおもいます。
 英訳テキストの注釈では、ミゼンブルクは Misenburc[中世ドイツ]は、「プレスブルク Pressburg 東南35kmほどにある、現今のヴィーゼルブルク Wieselburg 市」などと書かれていますが、これらは旧名であり、今の地図になおすと「旧プレスブルク(現スロバキア領ブラチスラヴァ)[SK-810]の東南35kmにある、もとハンガリー領モション、いまは統合されてモションマジャロバール Mosonmagyarovar[Mosonmagyaróvár] [H-9200] 」となるはずです。

投稿時間:2002/08/22(Thu) 16:25
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
ミゼンブルグの位置
ようやく地図サイトの使い方とか分かってきましたヨ ^−^
 モションマジャロバール…ココですね。↓
http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/bekkan/bbs/map-mosonmagyarovar.gif

 ブダペスト右岸というから、てっきりブタペスト周辺で船に乗って河を渡ったんだと思っていたのに、ずいぶんウィーン寄りですね。ここで船に乗ったら、ふつうブダペストまで河を下らないですよねぇ。
 エステルゴムのほうが近い…。


>  ご指摘のように、C写本では、ご指摘のように、固有名詞ではなく、Ezelen bourge「エッツェルの城塞」とかかれています。それだと、首都「エッツェルの都」=別のところでグランと呼んでいる可能性が濃厚になってきます。そもそもエッツェルの都=オッフェン(ブダペストの右岸)とする根拠はなんでしょうかね。

 その根拠について、以前、某大学でニベ歌の研究されてる教授に一報メール打って「教えてください」って聞いたんですが返事はいただけせんでした。馬の骨な小娘ではダメっすかヤッパ。(それ以前に、お忙しいんでしょうが。)

 岩波版を訳した相良氏の本にも書いてなかったんですが、服部氏による訳(東洋出版)の注釈では、岩波版と同じくブダペストの右岸となっていたんですよ。
 なじぇ??


>  B写本では22:1379行で"Etzelnburc" と固有名詞扱いです。

そうなんですか。でも、そういう地名が中世に在ったわけではないですよね。(記録にはないんですよね?)そもそもエッツェルという王自体、元になった人はいても実在はしないわけですし…。

>  C写本は、あとたとえばメッツが Mezzin/Meizzen となっています。また、ハーゲンが財宝をライン川に沈めた場所「ローヒェ」Loche ですが、C写本(1152行)では、ローヒェを「穴」と解釈しており、そのかわりにB本にはないロールスLôrse[Lorse] の僧院に預けた?かどうのこうのと書かれているようです。

 なるほどー…。
 預ける、ということは、またあとで取り返しにくるつもり、ってことですか…シドレクス・サガの展開に似てますね。
 シドレクス・サガでは、財宝は洞窟に預けられてて、ハーゲンの息子が鍵を受け継ぐんですよね、確か。
 C写本は、ちょっと後の時代のもの…ってことになるんでしょうか。

 や、それにしても、エッツェルンブルクの位置がとっても気になってきたぞ?!
 さてどうやって調べよう。

投稿時間:2002/08/24(Sat) 20:00
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
クリッカブル・マップ作成
> ようやく地図サイトの使い方とか分かってきましたヨ ^−^
>  モションマジャロバール…ココですね。↓
>http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/bekkan/bbs/map-mosonmagyarovar.gif

なるほど。reiseplanung の地図取り込んで、地図の拡張は着々と進行していたのですね。
 キュートなイメージ画も拝見しました。私の想像のなかではハーゲンこと「ハゲね」は頭髪が薄く(こらこら)、耳の上にあたりにモシャッと房がふたつ生えている程度だったり、ディートリッヒはいわゆる「ケツ割れあご」だったりするんですが、... リリックなイメージを崩壊させるようで、えらいすんません。

 私の方は、ひとつクリッカブルマップというやつを作ってみました。都市の赤いポチか市名のレタリングをクリックすると、右側の該当ブックマークに(説明文に)飛ぶように。
 あと、市の紋章の画像で飾りました。楽器「フィデル」の描かれる、フォルケールのふるさとアルツェイの紋章とかです。copyright 表示だったヤツは、念のため新たに描きなおしました。

>  ブダペスト右岸というから、てっきりブタペスト周辺で船に乗っ
>て河を渡ったんだと思っていたのに、ずいぶんウィーン寄りですね。>ここで船に乗ったら、ふつうブダペストまで河を下らないですよね。
>  エステルゴムのほうが近い…。

 ミゼンブルクからは、渡し舟ではなく、川下りの船に乗ってエッツェルの都まで楽チンの旅をしたのではないでしょうか。


>>  そもそもエッツェルの都=オッフェン(ブダペストの右岸)とす>>る根拠はなんでしょうか
>  その根拠について、以前、某大学でニベ歌の研究されてる教授に
>一報メール打って「教えてください」って聞いたんですが返事はいた>だけせんでした。馬の骨な小娘ではダメっすかヤッパ。(それ以前
>に、お忙しいんでしょうが。)
>  岩波版を訳した相良氏の本にも書いてなかったんですが、服部氏
>による訳(東洋出版)の注釈では、岩波版と同じくブダペストの右岸>となっていたんですよ。 なじぇ??

 ウェブをとりあえず漁っても、エッツェルの都=旧オッフェン(現ブダペスト)である根拠を書いたサイトは見つかりませんでした。
もっともハンガリー語で出てきても、始末に窮するだけですが。
ただ、よく読むと英訳のほうは、岩波ほど断定的ではなくて、「(いつのまにか)オッフェンがエッツェルの都と
目されるようになった」とか書かれているんですよね。

投稿時間:2002/08/24(Sat) 22:40
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
いいですね!
 クリッカブルマップかぁ…そういうオシャレな発想が出来ませんでしたよ。(実はエジプトのほうで、クリッカマブルマップ・ピラミッド分布図とか作成しようとしてるんですが、数が多すぎて。^^;)

 紋章は前に教えていただいた、「ワッペン」のサイトからですね。
 ポッヒラルンのニーベルンゲン記念公園に行くと、この紋章たちがお出迎えなんでしょうか。見たい…。


>キュートなイメージ画も拝見しました。

イヤあれはサイト作り始めた初期のだし、きよさんのようなお人が見るものでは…(笑 あれはですね。騎士好きな同人の人とか、コミックから入った人を罠にかけるためのものなんですから〜。
 本当はシブいおじさま絵が描きたいのです。

 ディートリッヒのアゴ割れ絵、見たことありますよ?!
 「ニーベルンゲン」のクライマックスで、ゴツいディートリッヒが、ハゲネを生け捕りにするシーンの。

> 楽器「フィデル」の描かれる、フォルケールのふるさとアルツェイの紋章とかです。

 それなんですが、彼がアルツァイ出身だとしたら、エッツェルンブルクへ向かうとき、どうしてメーリンゲンから先はフォルケールが道案内なんでしょうか。
 ハゲネがマイン川周辺に詳しいのは、以前フン族の国から帰ってくるとき通ったからだとして、フォルケールはいつ、そっち方面へ行ったのか。バイエルン国のあたりの道は知り尽くしているというのだから、(1594)その辺りの出身か、しばらく滞在していたことがある、ってことになりますよね。

 そこでフト疑問に思ったのが…「von 何々」と、いう苗字代わりの地名とは、「出身地」なのか「今住んでいる場所」のことなのか「本籍地(一族の出身地とか)」なのか、ということ。
 きよさんの言う「ふるさと」だとしたら、いちどバイエルンに引越しして、また戻ってきた、とかいうのも在り得ます?

 なんとなく馬鹿な質問だなぁ、と思いつつ。

>  ウェブをとりあえず漁っても、エッツェルの都=旧オッフェン(現ブダペスト)である根拠を書いたサイトは見つかりませんでした。

 えー。日本語限定で探してます。
 英語版では「いつのまにか…」ですか。いつのまにか、って、そんなアバウトな(笑)
 逆に、何で最近出た本が「エステルゴム」に直したのかといういきさつも気になりますね。学会とかで異説が発表されたんでしょか。

投稿時間:2002/08/20(Tue) 16:42
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
中世ドイツ語 『ニ〜の歌』
 中世ドイツ語のテキストが、ひとところにまとまっている場所が
http://www.fh-augsburg.de/~harsch/germanica/Chronologie/12Jh/Nibelungen/

にありました。(ラテン詩『ワルタリウス』と同じ場所でした)。ただしC写本です。岩波版はB写本がベースなので、詩節ナンバーとかもかなりズレてしまいます。ただ、いちおう章1-39には分けてくれてます。

投稿時間:2002/08/20(Tue) 16:46
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: 『パルチファル』
ついでにチェックしてみたら、ヴぉルフラム・フォン・エッシェンバッハの『パルチファル』の中世ドイツ語テキストもありました:

http://www.fh-augsburg.de/~harsch/germanica/Chronologie/13Jh/Wolfram/wol_pa01.html

投稿時間:2002/08/20(Tue) 20:14
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
うおお
 部分的に紙で持ってたりするんですが、全部あるとは!
 ウィレハレムやティトゥレルまでそろってら。すごいなぁ…。こんなもの作るなんて、根性だなぁ…。(それしかいえない) 

投稿時間:2002/08/21(Wed) 23:38
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
確かにズレている。
 ありがとうございます。
 分かりそうなところで22歌章のエッツェルンブルグ周辺の単語とか、拾ってみました。

spileman 楽師 Wêrbel ウェルベル Ezelenエッツェル
Helchen ヘルヒェ Chriemh'クリエムヒルト?

Wieneウィーン Heimburchハイムブルグ
Miesenburch ミゼンブルグ Ezelen bourge エッツェルンブルグ

 単語を見て、エッツェルンブルクが「エッツェルのブルク」じゃないかということに気がついて、思い出したんですが…
 ドイツ語で「ブルク」といえば要塞、拠点のことですよね。
 ってことは、エッツェルンブルクとは、地名ではなく単に「エッツェルの本拠地」と訳すべきもの?

 いえ、ドイツ語ぜーんぜんワカランので、あれなんですが…。

投稿時間:2002/08/26(Mon) 21:48
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
探してみた…。
> 狩猟のもようが書かれる『ニーベルンゲンの歌』第16章937節

岩波文庫
 それからほどなく彼の屠ったものは、水牛一頭、おおじか一頭、
 逞しい野牛四頭および猛り立った牡鹿一頭であった。

現代教養文庫
 そのあとでジークフリートは野牛一頭とヘラジカ一頭、強いオーロックス四頭、大鹿のシェルヒ一頭をしとめた。

 訳によって、違うんですねぇ…。
 水牛/野牛、おおじか/ヘラジカ、野牛/オーロックス、牡鹿/シェルヒ。
 ムースじゃなくてシェルヒなの? って思ったんですが、こういうシカもドイツ南部には居たそうで。(絶滅済)
 オーロックスじゃない、野良の牛も昔はいたんでしょうか。

投稿時間:2002/08/27(Tue) 17:46
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: 鹿(マニアック)
『ニーベルンゲンの歌』英訳でもシェルクは、音写のまんまで、註は「おそらく大型の鹿の一種だろう」としています。 おおじか/ヘラジカ が elch ですから、それに sch を付足したシェルク schelch も、似通ったようなものという発想でしょうか。

 すこしややこしいんですが、鹿用語を整理します。

      北米  欧州  
      ---------------------
 ヘラジカ moose elk
ワピチ elk(wapiti) ---

 北米の動物の名は、インディアンの言語からとったものが多いのです。ラクーン、チップマンク、ウッドチャック、カリブー等。

英語だと、牡鹿は stag または buck というのが一般的ですが、 hart(雄)/hind(雌)という表現もあります。この hart/hind はドイツ語でもそっくりそのままです。たしかディートリッヒの馬(ファルケ)も、どこかで「人を乗せてもなお hart を追い越せる」というふうに書かれていたと思います。

 鹿を指す英語は、ほかに doe(メス), fawn(かのこ)のほかにノロジカ roe deer, roebuck があります。シューズメーカー Reebok の名は、アフリカーンズ語でレイヨウの一種を指しますが、もとは roe-buck と同語源のオランダ語 reeboc なのです。
 

投稿時間:2002/08/29(Thu) 22:08
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
『ニーベルンゲンの歌』に「カツレツ]
以前に修道僧エルゼ(イルザン)の絵コンテがあったRAJA&ケルピのサイトですが、
のニーベルンゲンの歌http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/3320/german1.htmlの部で、
役職のローマ字がでてます。これはもうひとつの訳本にあるんでしょうか?ともかく私のメモと食い違い
があります。

        RAJA さん  岩波/MHDBDB
--------------- ----------------------------------------------------------------
ダンクワルト 主馬頭(マルシャルク)     主馬の頭(しゅめのかみ) marscalk[中ド]/Marschall[独]
オルトウィン --                  内膳の頭(ないぜんのかみ) truhsaeze[中ド]/Truchseß[独]
ルーモルト 料理人頭(ツルーフゼース) 大膳職 kuchenmeister [中ド]/Küchenmeister[独]
フォルケル 楽人(シュピールマン) 楽士 spileman[中ド]/Spielmann[独]
フーノルト  内蔵頭(ケンメラー)       侍従 kameraere[中ド]/Kämmerer[独]
ジンドルト  献酌侍従(ムントシェンク)   献酌(けんしゃく)侍臣(scenke[中ド]/Schenk[独]

ルーモルトは24章1462で、美酒佳肴を提供しますゆえお留まりなされ、フン国出立に反対しますが、
Everyman's Library版(Margaret Armour 英訳)では「お好きなカツレツの揚げ物をいくらでも作って
差し上げますからどうかおとどまりください」となっています。−なんじゃそりゃ?まさかヴィンナーシュニッツル
(ウィーン風仔牛カツレツ)?

投稿時間:2002/08/29(Thu) 23:45
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:moon-over@mtf.biglobe.ne.jp
URL :
タイトル:
えらい庶民的なことに。
> 役職のローマ字がでてます。これはもうひとつの訳本にあるんでしょうか?

 このサイト、参考文献を見るに、現代教養文庫の「ドイツ中世英雄物語」1〜3を主軸に置いてるんですよ。
 この文庫は私もこないで古本屋で手に入れてきたのですが、微妙に間違ってる部分があるようです…しかしこの本もルーモルトを料理人頭としていたのか(涙) それは、気づきませんでした。

 「主馬頭」「献酌侍従」には丁寧にも注釈を入れて巻末に解説してあるのに、何故?
 同時代の叙事詩「パルチヴァール」を調べていたときに私が作った、役職のリストがコレですが…↓
http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/parzival/ritter5.htm

 「大膳職」ってのは、宮内庁で使われている言葉で、こちらの大膳職さんは、本当に天皇陛下の台所係なんですが。適当な訳語がなくて、この言葉を当ててしまったがために誤解が生じているのでしょうか。
 コック長がザクセンとの戦いでビシバシ戦ってるのは、どう考えてもオカシイと気がつくべきですよぉ…。

 この文庫は、おそらく岩波の訳とは根底の写本が違うと思います。
 あとがきの部分に、なにやら、「原書の刊行年はいつなのかわからない」なんて、怪しいことが書かれていたのですが…。
 でも全体を通しての訳は、しっかりしてます。

> ルーモルトは24章1462で、美酒佳肴を提供しますゆえお留まりなされ、フン国出立に反対しますが、
> Everyman's Library版(Margaret Armour 英訳)では「お好きなカツレツの揚げ物をいくらでも作って
> 差し上げますからどうかおとどまりください」となっています。

 カツレツ(笑) グンテル王はカツレツ好きですか…

 現代教養文庫では「お好みの料理にせよ、油で焼いた肉片にせよ」と、なっているのですが、この「油で焼いた肉片」がカツレツに変化したんでしょうか。っていうか、そのシーン、ルーモルトに国を任せて出て行くシーンのことですよね?
 カツレツの作れるコックに国任せるって、その訳、大変なことになっていますね。
 岩波と東洋出版の訳では、肉、出てきません。^^;

投稿時間:2002/08/30(Fri) 18:36
投稿者名:きよ
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タイトル:
C写本に"肉/カツ"
>現代教養文庫では「お好みの料理にせよ、油で焼いた肉片にせよ」と
>なっている
なるほど。おそらく原書にあるのでしょう。調査 Thanx です。
この箇所の、岩波の引用は、正しくは24:1468行で「善美な食事」でしたね。デタラメですみませんでした。

>この「油で焼いた肉片」がカツレツに変化したんでしょうか
ズレが生じたのは、これは "cutlet" という英訳を、無理やりそのまま日本語に使用した私のせいです。
カツレツといえば「パン粉つけて衣で揚げる」レシピになってしまいますね(5世紀にありっこない)<笑>。
 この「カツレツ」の語源は肉の部分 ― ロースとか言っている部分です(たぶん)。フランス語の"コートレット"で、"coste/co^te"=「横とか脇のこと、転じてアバラ肉のこと」、つまり「横・脇の部分の肉」をさします。

 調査の結果、C写本の24章にありました:

14961 Dar zu geit man ew speise die pesten die man hat
14962 indert in der werlde ewer lant vil scbon stat
14963 ir mu:gt euch wol Etzln hochtzeit mit ern wol bewegen
14964 vnd mu:gt mit ewrn frewnden vil guter chu:rtzweile pflegen

14971 Ob ir nicht anders hiete daz ir mo:chte geleben
14972 ich wolde ew ain speizze den volln immer geben
14973 sieden in o:l geprawen daz ist Roumoldes rat
14974 so ist ez sust angistleichn~ erhebn da zen <Heunen> stat

最初の2行は
ここでは「シュペイゼ(料理)」 -- それもザ・ベストな --
このワールドのなかで -- ..
14973 行は、
サイド[の肉=わき肉]を -- オイルで -- ブラウン(ソテー)したもの -- ルーモルトは ..

 原文で"sieden"はおそらく"Seiten"となり、動物のわき・腰などの部分の意味もありますから、これを「わきの部位の肉」ととっているのでしょう。まさにこれは"coste/co^te"と同義となり、「カツレツ」の部位の肉と同じということになるでしょう。
 "geprawn"は、どうやらブラウエン[独](褐色の焦げ目をつけて焼く)の過去形のようです。ブラーテン[独]ならば、英語の「フライする」にあたり、フライパンで焼く・油で揚げるの意味がありますけど。

*余談ですが、この箇所の少し前に "Roumolt der degen" という表現がありますよね。
"degen" とは「短剣」の意味のドイツ語から派生したのかと思い込んでたんですけれど、大まちがいでした。小学館独和に
Degen 1 ((雅)) 勇士; .. [germ. "Knabe"; → Dirne, Than; gr. teknon "Kind"]と出ていたんです。
 そこから、
  Degen [独] -- thane [英語] -- |>egen [アングロサクソン語]
が語源的につながっていることが判りました。この"thane" という言葉は、シェイクスピアの『マクベス』で、釜のまわりにたむろす予言の魔女の三姉妹[これらは北欧・ゲルマンのウルズらノルニールに由来するとよくいわれます]がいう有名なせりふ:
" Hail, Macbeth, thane of Cawdor!"
「マクベスに讃えあれ!カウドールの領主よ!」
などに出てきます。

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