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投稿時間:2002/12/16(Mon) 13:48
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
漁夫王=罪王?
 聖杯物語(ペルセヴァル)のテクストが、
http://www.uottawa.ca/academic/arts/lfa/activites/textes/perceval/cgrpres.htm
にあるようです。

 ところで「漁夫王 Roi-pe^cheur」 という変な名のキャラがいますが、これは「罪王 Roi-pe'cheur」が、何かの拍子にとりちがえられたんじゃないですかね。たったひとつアクセントが違うだけです。

 たしかアーサー王は妹のモルガンと通じたため、この近親相姦の「罪」がたたって王国が滅びる、というような展開ですね。
 じつはシャルルマーニュにも、妹のベルタ(またはジゼル/ジセラ/ギゼラ)と通じたという伝承があるのです(そしてロランはそのときの子だという)。
 これを人呼んで「シャルルマーニュの罪(pe'che' de Charlemagne)」というのだそうです。

 いずれにしろ、重罪なので、盲目を治すほどの効力のあるロンギヌスの槍や、聖杯クラスの聖器でないと拭い去ることはできないのでしょう。そういう話が、もとはシャルルマーニュについてあったかもしれません。シャルルの剣ジョワユーズの柄には、このロンギヌスの槍の切っ先が込められています。

 シャルルマーニュ伝説では、騎士のひとり、デーン人オジエが仙女モルガナにいざなわれて桃源郷(アヴァロン)につれてゆかれる(そして時を忘れ、浦島太郎となる)という話もあります。この題材を、フランスの吟遊詩人がとって、人物をアーサーにおきかえたかもしれません。(どっちがどっちをパクったのかは、考証が必要ですが)

 オジエは、義勇の人ですが、裏切り者にされてしまいます。(史実では、領土や権力をめぐり、シャルルマーニュが兄弟カルロマンの領土も併呑して統一国家にしようとしたとき、カルロマンの未亡人の側にしたがったアウトカリウス)。
 この反逆者オジエのもとに仙女があらわれてさらってゆく、という構図と、ディートリヒの反逆者となったヴィドガのもとに水の乙女があらわれて、ドロンするというゲルマン伝説はなにかと似ていませんか?

投稿時間:2002/12/16(Mon) 14:20
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: 漁夫王=罪王?

 自己フォローですが、「漁夫王」 /「罪王」のモデルとなりうる人物に聖ジル[Giles(英), Gilles(仏), Aegidius(羅) ](8世紀頃?)がいます。
 この人物は、隠者となって雌ジカを友として暮らしていたのですが、その地方の王の手の者が狩猟に出てその雌ジカを射ようとしたとき、これをかばって傷を負ったといわれます。

 聖ジルは、フランス王シャルル(シャルルマルテルまたはシャルルマーニュ)が近親相姦したときの告白をしたといいます。そのとき天使が現れ、罪状をしたためた巻物をもってきたとか。

投稿時間:2002/12/16(Mon) 19:43
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
漁夫王は…
 …単純に、釣りをしてるから漁夫王と呼ばれてるんだと。

 「マビノギオン」の時点から釣りはしてるんですよ。自分がつってるわけじゃないけど、湖のほとりで、従者ふたりに釣りをさせながらペルドゥル(パーシヴァル)を待ちうけている。

 この「マビノギオン」の中の物語では、王は「足萎えの王」と呼ばれてますが、特に罪らしいものは見当たりません…
 足が萎えたのも、罪のためではなく魔女たちとの戦いのせいのようです。(と、クライマックスでいきなりぶちまけはじめる)
 王様は甥っ子のペレドゥルをけしかけて魔女たちと戦わせてますから、そのために強い甥っ子を引っ張り込んだんだな、という感じです…。

 罪のために体が不自由なんだ、という理由づけがされたのは、かなりあとの時代になってからではないでしょか。(その時代になっても釣りはやめない。不思議な王様)

 湖ぎわに住んでいたり、なにかしら魔法を使っているあたり、「人間じゃない種族」っぽいですが、ケルト神話はあまり知らないのでうまく説明できません。

>  じつはシャルルマーニュにも、妹のベルタ(またはジゼル/ジセラ/ギゼラ)と通じたという伝承があるのです(そしてロランはそのときの子だという)。
>  これを人呼んで「シャルルマーニュの罪(pe'che' de Charlemagne)」というのだそうです。

その伝説は知りませんでした。妹と通じて孕ませたうえに妹を追放したらエライことになりません?

・・・ちなみに、2号館でこっそり発動中の作戦は、あまり本格的なものじゃないです。最初はまずツッコミから(笑)
まだ資料がぜんぜん集まってないもので。

>  いずれにしろ、重罪なので、盲目を治すほどの効力のあるロンギヌスの槍や、聖杯クラスの聖器でないと拭い去ることはできないのでしょう。

ヴォルフラムの「パルチヴァール」では、聖杯王の罪は聖杯でも癒せない、という設定になってますね。しかし聖杯の力によって死ぬことも出来ない。
神様の決めた結婚相手を選ばなかったことが、そーんなに重い罪なのかい、と心の中でツッコミはいりまくりです。
自殺禁止のキリスト教徒はつらいなぁ。


>  シャルルマーニュ伝説では、騎士のひとり、デーン人オジエが仙女モルガナにいざなわれて桃源郷(アヴァロン)につれてゆかれる(そして時を忘れ、浦島太郎となる)という話もあります。この題材を、フランスの吟遊詩人がとって、人物をアーサーにおきかえたかもしれません。(どっちがどっちをパクったのかは、考証が必要ですが)

 …個人的に言うと、シャルルマーニュ伝説は「アーサー王伝説」と「ディートリッヒ伝説」の中間あたりで、何をとっても中途はんぱな感じなんですけど(笑)

 パクったとすればシャルルマーニュ伝説のほうだと思います…。
 ギリシア神話のみならず、ケルトっぽいの、ゲルマンっぽいの、メソポタミアっぽいの、何か、実にいろいろまじってますよね。

 特にアストルフォ。グリフィンに乗って月へ行くって。それは無いだろう、それは…。(しかも月には聖人が住んでいるという。)

 シャルルマーニュ伝説は、比較的あたらしい時代なので史実との照らし合わせにしても資料が多そうですね。
 そのわりにマイナーなのが資料あつめのネック。

投稿時間:2002/12/18(Wed) 21:19
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
シャルルの罪・懺悔
>  「マビノギオン」の時点から釣りはしてるんですよ。自分がつってるわけじゃないけど、湖のほとりで、従者ふたりに釣りをさせながらペルドゥル(パーシヴァル)を待ちうけている。

 釣りしてるから。。ですか。やはり、変な名前だという感はぬぐいされません。=>釣りぐらい誰だってするだろーが。ほな、バベキューして待っていたら「バベキュー王」って名になったんかい、<=とツッコミいれたくなります。
 Zeb さんの指摘される、ICHTHYS =魚=「イエス・キリスト・神の子・救世主」の頭文字、とか「奇跡のすなどり(miraculous draught)」など、魚がキリスト教のイメージということは知らないではないですが、直接、漁夫王につながるとは言いがたい気がします。

 「足萎え」の呪い攻撃は効きますね。足腰立たん王というのは、精神力も威厳も半減して、そのどよ〜んとした空気に国民あげて感染してしまう、と。

> その伝説は知りませんでした。妹と通じて孕ませたうえに妹を追放したらエライことになりません?
 「ベルタとミローネ」はイタリア系の創作ですから、妹がフランスを追われることで、つごうよくロランがイタリアで生まれる運びになります。
 この作品も、イタリアで違う作者によって何回か書き直されていくうち、だんだんバーレスク(滑稽芝居)化を帯びていったみたいです。たとえば、Reali 作のバージョンでは、シャルルが妹と再開するときに足蹴をお見舞いし、「これで許してやる」といい、妹も「そうね、これくらいは応報だわね」とか言うそうです。
 翼馬ヒュポグリフに乗るアストルフォが登場する『オルランドー』も、やはり後期のイタリアのもので、バーレスク様式が濃厚な作品です。

> ・・・ちなみに、2号館でこっそり発動中の作戦は、あまり本格的なものじゃないです。最初はまずツッコミから(笑)
> まだ資料がぜんぜん集まってないもので。
 発動中の秘密企画とは、ひよっとしてシャルルマーニュ伝説群ですか?調べると武勲詩はゴマンとありますから
(http://www.chanson-de-geste.com/les_cycles.htm)、マイナーとは言いがたいですね。
 ただ、中世の頃に、(マロリーがしたみたいに)一冊の完結版には編纂されなかったのですね。それを近代でやってのけたのが、トマスーブルフィンチです。
 その『シャルルマーニュ伝説』現代教養文庫/市場泰男訳について、資料豊富なのが White Mountain のサイト
(http://www5e.biglobe.ne.jp/~fly_bird/)です。
 これは先に滑稽性が濃厚といいました『狂えるオルランドー』が骨子なのですが、そのほかにつけたした部分では、フランスの武勲詩からかなり忠実に取材しているようです。

 ちょっとバックして、「シャルルの罪」については、聖ジルがその懺悔を聞いたという伝説があります。この聖人についての各サイトで言及されています。『カルル大王のサガ』でもカルル(シャルル)が妹と通じますが、王が教会でエギディウス(聖ジルのラテン名)に懺悔するとき、肝心の大罪をすっとばして、マイナーな告白だけですませます。名に知らぬエギディウスがミサを挙げていると、天使が降臨して、王の罪状をチクった書状を、聖餐皿の上にポテっと乗せておいてくのです。
 ですから、これはかなり古くに確立している伝説かと思われます。じつは、『ロランの歌』第156節:2096行に登場する聖ジルの難解なく
だりは、上述のハプニングについて言及しているはずなのですが、岩波註では<戦場にもいやしない聖ジルがESPでつまびらかな戦況を
把握して史書にしたためたのだ>というトンデモ解釈をつけてしまっています。

(英国国立美術館[National Gallery]所蔵 http://www.nationalgallery.org.uk/cgi-bin/WebObjects.dll/CollectionPublisher.woa/wa/work?workNumber=NG4681 の絵はその場面らしいです。

投稿時間:2002/12/18(Wed) 21:53
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
時代別シャルルマーニュ伝説
>  釣りしてるから。。ですか。やはり、変な名前だという感はぬぐいされません。=>釣りぐらい誰だってするだろーが。ほな、バベキューして待っていたら「バベキュー王」って名になったんかい、<=とツッコミいれたくなります。

 ケルト系の名前って、「そのまんまやん!」な人、多くないですか。
 マビノギオンの最初のほうの話では…

 母親が「なんて器用なんだろう」と言った金髪の子だから、名前が「スェウ・スァウ・ゲフェス(器用な手を持つ金髪の人)」になった。

 母親が「これでやっと私は心配(プレデリ)から解放されました」と言ったから、子供の名前が「プレデリ」になった。

 …とか、そのまんまな名前をつけられた人がいますよね…(主人公なのに)本の索引見たら、そのまんまな名前の人が他にもたくさん。
 たとえば母親が「この子、カエルみたいな色の目をしてるわ」と言ったら、「カエル色の瞳」って名前になってたと思いますよ。<オイ

 んで、「漁夫王」という名前なんですが、どうも「マビノギオン」では出てこなくて、次のクレティアンの段階で出てきたっぽいです。
 クレティアンの話はちゃんと読んだことがないので分からないんですが、クレティアン・バージョンでは王様自身が釣りしてるんでしょうか。(大公望? パーシヴァルを釣るのか?^^;)

>  「足萎え」の呪い攻撃は効きますね。足腰立たん王というのは、精神力も威厳も半減して、そのどよ〜んとした空気に国民あげて感染してしまう、と。

 確かに。生殺し。
 ヤル気なくしそうですね…。しかもこの王様、殺された身内の生首を保管してたりしますよ? 嫌だなあ…。


+++
シャルルマーニュ伝説。

>  「ベルタとミローネ」はイタリア系の創作ですから、妹がフランスを追われることで、つごうよくロランがイタリアで生まれる運びになります。

 あ、そうだったんですか。どうりでフランス語とイタリア語の名前がまじってるな、と。オルランドゥがイタリア語、ロランがフランス語なんですよね。「ローラン(ロラン)の歌」はおフランスな香りがビシビシ来ますが、ロランの幼少時のエピソードはあまりフランスっぽくないなと思っていたんです。

 実は私が持ってる本が、きよさんの言われるブルフィンチのもので(笑)
 あとまともに持ってるのは筑摩が出してる「ローランの歌」のみ。
 日本語の資料はかなり少ないです。人気なさそうです。
 ゲームで出てきたのも見たことありません、FFタクティクスで「オルランドゥ」というキャラが出てきたくらいですか…。


  というわけで、フランスで成立したエピソードとイタリアのエピソードの区別ついてないんですが(英語のサイトを読んで理解するほどの言語能力もナイです。)、フランスにある「シャンソン・ド・ジェスト」というものが、その伝説の中心なんですよね?(11−13世紀)

 これを発展させて、15−16世紀に書かれたものが、オルランドゥが狂ったりアストルフォが月に行ったりする、おもしろエピソードなんですよね?

 …もしかして、元の叙事詩では、12勇士さんたちは堅苦しい、マジメな人たちだったんでしょうか…。

投稿時間:2002/12/19(Thu) 09:57
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
ケルトの綽名
>  ケルト系の名前って、「そのまんまやん!」な人、多くないですか。
 なるほどね。でも、赤子か少年の頃につける名は、そんな感じでもいいですけれど、綽名(agnomen)は、意味ありじゃないと決まらないと思うんですよ。
 アイルランドでいう銀腕(アルガートラーム)のヌアザとか、長腕(ラムファタ)のルーとかは、その人物を象徴する出来事にちなんでつけられています。ウェールズ神話でも彼らにあたる Nudd, LLeu がいます。
 プレデリ=「心配」というのは、仏陀の子ラーフラ=「障碍」に似ていますね。だから、あんまり抵抗無いです。

>  んで、「漁夫王」という名前なんですが、どうも「マビノギオン」では出てこなくて、次のクレティアンの段階で出てきたっぽいです。
>  クレティアンの話はちゃんと読んだことがないので分からないんですが、クレティアン・バージョンでは王様自身が釣りしてるんでしょうか。(大公望? パーシヴァルを釣るのか?^^;)
 
 自分も読んでいないので、勉強不足です。「ケルト辞書」によると、「漁夫王」が誰かということは特定できていなくて、 Amfortas, Alain, Bron, Pelles, Pellinor などの解釈があるとか。

投稿時間:2002/12/23(Mon) 13:55
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
シャルル人形劇の背景画
カラフルでコミカルな画集のページを見つけましたので、紹介します。一見の価値ありと思います。

 シチリアの人形劇の背景画らしいのですが:
http://www.teatropupimacri.it/html/english/galleria_cartelloni_palad_1_en.htm#imgcar1
にあります。イタリア版『ロランの歌』つまり、オルランドなどの各場面が出ています。珍獣の面などが金工されている黄金づくめの鎧を着こなした人々ばっかしみたいな絵です。

1ページ目の#98で、死んで横たわっているベルナルドというのは、オルランド/ロランの祖父で、追いかけている人物はミロン(ロランの父)です。

 ミロンの恋の相手ベルタは、シャルルマーニュの妹だと想定していたのですが、家系譜などではベルタは738年生、ミロンは735年生となっているので、姉であるらしいです。

 ロランは家系譜では、ひっぱりだこ―つまり、フランスのド・ヴェール家では、「ロランはもともと、わが邦のアンジュー州の出身なんじゃい」、と主張すれば、イタリアのミラン家は、「いや、ミラノに近いアンジェールが父親の故郷にきまっとる」と反論し、スペインのゴンザレス家は、「いやいやロランが生まれたのはスペインのテラ河の近くの平原なんだって」、と言い張るような状態らしいんです。

2ページ目
http://www.teatropupimacri.it/html/english/galleria_cartelloni_palad_2_en.htm

では、ロジェーロがヒュッポグリュフに乗っていますね。有翼の馬だけじゃなくて、烏天狗みたいな面構えしておるわ。

投稿時間:2002/12/23(Mon) 17:39
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
どっちが上?(年齢)
> 1ページ目の#98で、死んで横たわっているベルナルドというのは、オルランド/ロランの祖父で、追いかけている人物はミロン(ロランの父)です。

誰だアルモンドって…サラセン人っぽい格好だけど何処の戦場だここは…。どこらへんの話なのか見当つきません^^;

>  ミロンの恋の相手ベルタは、シャルルマーニュの妹だと想定していたのですが、家系譜などではベルタは738年生、ミロンは735年生となっているので、姉であるらしいです。

 ブルチィンチの本では妹になってましたが…。姉なんですか?
 リナルドのおっかさんは妹でいいんですよね。家系図って、どこにあるんですか?


> ロランの出生地

 あー、これはイッパイありましたよね。洞窟で生まれて、ガキ大将として育ったって話もあったかと。
 生まれる場所によって、幼馴染のオリヴィエと出会う場所が違うはずなんですが…
 オリヴィエの出身地が話によって微妙に違うのも、ロランのせいですかー。

 ていうか…そんな、取り合いせんでもええやん…^^;
 伝説の英雄?を町おこしに使っている姿が目に浮かぶようですね。

 なんか、きよさんが教えてくださったこのURL、ギャグだとしか思えないんですけど、むこうの人はこれを真顔で見るんですか…?

投稿時間:2002/12/24(Tue) 22:19
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: どっちが上?(年齢)
> >  ミロンの恋の相手ベルタは、シャルルマーニュの妹だと想定していたのですが、家系譜などではベルタは738年生、ミロンは735年生となっているので、姉であるらしいです。

>  ブルチィンチの本では妹になってましたが…。姉なんですか?
>  リナルドのおっかさんは妹でいいんですよね。家系図って、どこにあるんですか?
西洋語で書かれるものは、sister とだけ書いて、年上・年下を特定するのはまれですから、姉か妹かは、別途調べないと判明しないと思います。

 そもそも歴史上のロランがシャルルの甥だったという事実はありません。さらには、岩波訳の巻末註を見ると、ロランはシャルルより年上だったなどと書かれています。
 また、ロンスヴォーの事件があった年には、シャルルはまだ30代なのに、白ひげの老人として書かれている等。
 シャルルにベルタという名の姉妹がいたというのも、まったくのでっちあげかと思います。ですが、捏造する際に、<ピピン短躯王の側室LEUTHERGISには実は子供がいて、それがベルタである>というところまで話をつくってあります。そうすると、シャルルマーニュより以前に生まれたのでないと、つじつま合わないのでしょう。

 ロランの母ベルタが登場する家系図というのは、歴史家が書いたものではなく、旧家に昔からつたわっているものとか、家系ルーツを調査してくれるサービスに依頼して得た情報がウェブに掲載されていたりするのです。
 例えば
http://www.johnsrealmonline.com/genealogy/database/webcards/WC09/WC09_393.HTML
とか http://freepages.genealogy.rootsweb.com/~jamesdow/s036/f041615.htm とか数は多いです。

> > ロランの出生地
>
>  あー、これはイッパイありましたよね。洞窟で生まれて、ガキ大将として育ったって話もあったかと。
>  生まれる場所によって、幼馴染のオリヴィエと出会う場所が違うはずなんですが…
>  オリヴィエの出身地が話によって微妙に違うのも、ロランのせいですかー。
 フランコ・イタリア詩『オルランディーノ』だと、腕白に育ちます。ローマの北西にあるストラ市の町外れに、ロラン少年は父母と細々と暮らしており―父はそまびとに落ちぶれて生計をたててます。そこをシャルル大王がたまたま行幸し、「町民に宴をふるまおう」というお触れが出します。ロランもその恩恵にあずかり、ずうずうしくも王の大盤の皿の料理をたいらげるます。この大食漢+怪力の少年に王は興味をもちます。
 たらふく食ったはずなのに、それでも、一生懸命に料理をシャツの中とかに隠ししまいこんでいるところを見咎められます。聞くと、「これは父上、母上の分だ」と言いますので、王はテーブルクロスを風呂敷がわりにして、大量の食料をもたせます。そしてネーム公に後をつけさせ、素性を調べさせようとしますが、うまくロランにまかれてしまいます。
 手土産の料理をもって帰ると、父親は大喜びですが、母はテーブルクロスの柄を見て、兄(弟)が町にやってきているのだと悟ります。母は、「これは兄王がきているにちがいない。おねがいだから明日はもういかないでおくれ」と息子に嘆願しますが、ロランは口ではいいつけを守るようにうそぶきますが、実は、王や騎士たちのいる仮の宮のところへ毎日かようつもりでいるのです。

 ここの状況ややりとりは、何となくペルセヴァルに似ていますね。つまり、ペルセヴァルの母親は、絶対に騎士にはさせるものかと、少年をまるっきり無知に育てますが、結局、少年はアーサーの騎士の一行に遭遇してついてってしまいますよね。

 結局、ミロンとベルタが町にいることは、バレてしまうのですが、王が激怒するのを、ロランが父母をかばい、子供とは思えない攻撃力で ATTACK します。シャルルはこの行く末たのもしい甥に免じて駆け落ち者を赦すことにします。

>  なんか、きよさんが教えてくださったこのURL、ギャグだとしか思えないんですけど、むこうの人はこれを真顔で見るんですか…?
 日本だと浅草の花屋敷かなにか、そんなレトロな場所にありそうな絵ですね。それともインドの挿絵本なんかもこういう感じですかね。
私もこれ見ながら笑ってるんですが、他国の文化をあまり茶化すものではないですね。
 それで、これは背景じゃなくて掲示板というかポスターなんだそうです。演しものはシチリアの等身大のマリオネット劇らしいです。

投稿時間:2002/12/25(Wed) 03:39
投稿者名:Zeb
Eメール:
URL :
タイトル:
オジエ・ド・ルダノワ
http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/charl/chara.htm

>オジエ・ル・ダノワ デンマーク人 言っちゃなんですが、
>フツウっぽいです。

http://www.bulfinch.org/legends/welcome.html

デンマーク語で言うとホルガー・ダンスクHolger Danske でしたっけ。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/3802/4kameno3.htm
http://www1.sphere.ne.jp/curio/travel/denmark.htm
http://www.hi-ho.ne.jp/sada-tabe/Denmark/Denmark.html

英語のぶるふぃんち
http://www.bulfinch.org/legends/legend26.html
<<It was Morgana, the fairy, whose jealousy was awakened at what she beheld, who now resumed her power, and took him away to dwell with her in the island of Avalon. There, in company with the great King Arthur of Britain, he still lives, and when his illustrious friend shall return to resume his ancient reign, he will doubtless return with him, and share his triumph. >>

Morgan Le Fay とAvalonが出てくるのはどうですかね。

投稿時間:2002/12/25(Wed) 23:53
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
Re: オジエ・ル・ダノワ
 オジエにはかなり遭遇してますので、僕にも情報整理させてください。ブルフィンチの英語オンラインテキストのオジエのところは、一応、つまみ読んでます。

 この人物は、『ロランの歌』にも端役で登場しています。
フランス名は、オジエ・ル・ダノワ Ogier le danois またはオジエ・ド・ダヌマルシュ Ogier de Danemarche です。
 
 1911年版ブリタニカ百科のOGIERの記事(49.1911encyclopedia.org/O/OG/OGEE.htm)を見ますと、次のことがわかります。
 後世のバージョン(英国図書館の写本(Brit. Mus. MS. Royal 15 E vi. として収められている長詩[Oger de Dannemarche])では、オジエの生誕のとき6人の仙女が現れ、6人目のモルガンが、「この子はやがて私の愛人となる」と宣言し、長年のちにそれを実現します。

 このことをより詳しく要約しているサイトが www.belinus.co.uk/folklore/Files5/FMythFairyLand.htm にあります。
 それを読むと、オジエの生誕のおとずれる仙女たちは、赤子にそれぞれ贈物をしていることがわかります。ペロー童話「眠れる森の美女」でもわかるように、仙女の贈物というのは、「誰にも遅れをとらにあほどダンスがうまくなる」とか、そういう才能の贈物です。だから、オジエもおそらく「人後におちない剣技の才能」とかをさずかったに違いありません。ところが、いちばん年若く美貌なモルガンは、「私自身こそが最高の贈物よ!」ということでちょっと常識はずれなギフトを提供したんですね。

 オジエが成人して騎士としてのキャリアを積んだあとで、モルガンは、パピヨンという魔法の馬を迎えによこします。パピヨンはじつはもともとルイトン(悪戯妖精)の王子だったのですが、アーサーに負かされ、300年はこうして馬の姿にかえられて、パシリ役をする羽目になったのです。
 パピヨンが乗れという身振りをするので、ままよ、と乗ると、仙女モルガンがいるアヴァロンにつれていかれるわけです。
 モルガンの魔法でオジエは若さをとりもどしますし、この桃源郷にいるあいだはいっときも老けたりしません。さらに、忘却の冠(あるいは花冠?)をかぶせられて、俗世のことはからっきり忘れてしまいます。(のちにこの冠がずりおちて記憶をとりもどし、故郷にかえりたくなりますが、浦島太郎がごとく、フランス国では百年二百年の歳月が経っています)

 以上の脚色は、後世の作品にある脚色のようです。英国国立図書館の写本データベース http://molcat.bl.uk/msscat/INDEX.ASP
を検索すると「Royal Library 15写本」のレコードを取得できます。
 
 どうやら、この「Royal15 写本」より古い作品が、フランスの国立図書館写本 2729というのがあり、それを底本としてジョセフ・ベロワ
が1842年にオジエのロマンスを出版しているそうです。

 それと、『ミローネとベルタ(ロランの父母)』、『オルンディーノ(ロランの幼年期)』の作品が収録されているフランコ=イタリア語の写本 Gesta Francor (別名をヴェネツィア図書館聖マルコ写本13)のなかには、オジエ作品も2作収録されています。
 一作目はパリのランベール作の『Le Chevalerie Ogier de Danemarche(オジェ・ル・ダノワの騎士叙任)』の全訳か一部抜粋訳らしく、伊題が「Il cavaliere Uggeri di Danimarca」です。
 2作目は、アドネ・ド・ロワ作『Les Enfances Ogier』の訳のようで伊題が『Le imprese giovanili di Uggeri』。

 この辺の背景事情がいまひとつよくわかっていません。例えば、オリジナルは、これらフランス人が書いたがそれらは散逸していてフランコ=イタリア訳しか残っていないとか、そういう事情が。

あと参考リンク:

Uggeri il Danese (イタリア語) (web.tiscali.it/angolodidario/aglialbori/Uggeri.html)
Ogier vs Holger (仏+デンマーク語)
http://home20.inet.tele.dk/fo/ogier/ogier.htm
オジエのアニメ(クレイメーション)映画
http://fp.image.dk/fpeplaschke/holgerdk.htm

投稿時間:2002/12/26(Thu) 01:30
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
ロランの幼名
2号館のシャルルマーニュのコーナーに
http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/charl/story1.htm

>『ロランは家系譜では、ひっぱりだこ―つまり、フランスのド・ヴェール家では、「ロランはもともと、わが邦のアンジュー州の出身なんじゃい」、と主張すれば、イタリアのミラン家は、「いや、ミラノに近いアンジェールが父親の故郷にきまっとる」と反論し、スペインのゴンザレス家は、「いやいやロランが生まれたのはスペインのテラ河の近くの平原なんだって」、と言い張るような状態らしいんです。』―――Byきよさん

とありましたが、あちゃー、これはちょっと適当に書いたんですよ。ド・ヴェール家というのは、旧家の名士らしく
http://freepages.genealogy.rootsweb.com/~jamesdow/s036/f041615.htm や www.afn.org/~lawson/d0007/g0000047.html にミロンが家系譜に出てます。後者では de Aungiers という名で、どうやらアンジュー州のアンジェラの出身を示唆するもののようです。
 イタリアのミランに地盤がある家系とか、


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