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投稿時間:2003/01/18(Sat) 09:01
投稿者名:岡沢 秋
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タイトル:
カビルーン追記
 前に出ていた「クードルーン」に登場するドラゴンっぽい生き物ガビルーンですが、より正確な和訳本手に入れてきました。

 登場するのは2章(101節)、その本では”ガビローン”とカナ表記でしたが、思わぬことが判明。

 その獣は、ガビローンによく似ていた。
 ハーゲンがその皮を剥ぎ始めると、体に力が溢れてきた。
 ハーゲンはその血をのみたくなり、思い切りたくさん飲むと、
 体に力がみなぎってきて、頭にはいろいろな知恵が湧いてきた。
                         【101節】

↑ニーベルンゲンの歌と同じく4行で1節です。
ええ、見ての通り、ガビローンそのものじゃなく、「ガビローンによく似た生き物」らしいです。じゃあ何なのかってことは…書かれてません。

ちなみにハーゲンの国はオランダではなくアイルランドだそうです。
ヒルデの国はインドであってました。異教徒との結婚OKらしいですよ。この話。(クライマックスにも異教徒との結婚が登場)


 ついで。
 クードルーンに関連すると思われる中で最も古いのは8世紀の「ウィドシス」という作品だそうな。デオールの嘆きは9世紀なので、もうちょい遅い。

 クードルーンと同じ元ネタから作られたのではないかという作品に「オルランド・フリオソ」というのがあるそうです。
 

投稿時間:2003/01/18(Sat) 20:36
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
ガビルーンと竜の血
>  登場するのは2章(101節)、その本では”ガビローン”と
> カナ表記でしたが、思わぬことが判明。
>
>  その獣は、ガビローンによく似ていた。
>  ハーゲンがその皮を剥ぎ始めると、体に力が溢れてきた。
>  ハーゲンはその血をのみたくなり、思い切りたくさん飲むと、
>  体に力がみなぎってきて、頭にはいろいろな知恵が湧いてき
> た。
>                        【101節】
 以前、No. 861 の投稿で原文を挙げましたが、最後の"getanc"を"→「danken(感謝する)」の過去形ととったのは誤り
で、→「Gedanke(考え、思考、知恵)」だったわけですね。

 この箇所は、シグルズ/ジークフリートと竜の血のパクりでしょうね。
 「ヴォルスンガ・サガ」だと、シグルズがファフニール=竜の血を飲むと、心が冷厳(grim)になったり、小鳥の言葉を解することができる知恵をさずかります(20章)。シグルズはまた、心臓の食べ残しをとっておいてグズルーンに食べさせますので(28章)、グズルーンにも、(わが子を殺してまで)アトリに残虐な復讐をとげる度胸がつきます。
 また、「ニーベルンゲンの歌」だと、ジークフリートは、(ほぼ)全身に竜の返り血をあび、不死身になっています。たまたまリンデの木の葉がひらひらっと落ちた部分に血がかからなかったので、ここがかれの急所なんですよね。
後世の作品だと、これは皮膚が角質(Hu:rn[独], horn[英])のように硬くなったとも表現してますね。そちらだと、体質的に強硬化ボディーをもつことになりますが、「クードルーン」だと、このあと、このガビルーンもどきの皮で防具をつくってましたよね。

>クードルーンに関連すると思われる中で最も古いのは8世紀の
>「ウィドシス」という作品だそうな。デオールの嘆きは9世紀なの>で、もうちょい遅い。
 ひょっとしてアングロサクソン語の『ウィドシース』Widsith ですか?これは、jinn 氏が、http://www.asahi-net.or.jp/~aw2t-itu/mednorse/widsith.htm において、なかばほどまで和訳しておられたと思いますが(全143行)、ハーゲンという名前が登場する程度みたいですよ。
 前のレスに書きましたが、物語はアキテーヌ(スペインの)ヴァルテルの冒険譚とよく似ているわけで、そのラテン詩『ワルタリウス』は930年頃成立、古英詩『ワルデーレ』の断片は770年頃成立のようです。
 
>クードルーンと同じ元ネタから作られたのではないかという作品に「オルランド・フリオソ」というのがあるそうです。
 これはアリオストの『狂えるオルランド』のイタリア題名 Oralando Furioso のまんまですねょ。→あんまし似てない。

投稿時間:2003/01/18(Sat) 23:29
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
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タイトル:
実は…。
 うーん、ヴォルスンガ・サガとの関連は書かれてませんでしたが、多少関係はあるかもしれません。
 このアンブラス写本というのは、”最後の騎士”マキシミリアン殿が書かせたものなんで、かなり後の時代ものなんですよね。
 物語を3つに分けて、「ハーゲンの部」「ヒルデの部」「グートルーンの部」に、すると、ハーゲンの部については元になっただろう伝承が一切ナシ。と、いうことは結構新しい時代のものかもしれない。

 確かにハーゲンはこの後、ガビルーンもどきの皮を剥いで纏ってますが、それが役に立ったかどうかの話は出てきません。
 それよりも、この皮を着たあと、ライオンになつかれた、という話が思いっきりハルトマンの「イーヴェイン」のパクりなんですけど。^^;

【102節】
 勇敢な王子ハーゲンは、この獣の皮を身に纏った。
 そのとき、王子はすぐそばに一匹のライオンがいるのに気づく。
 ライオンは逃れようとはせず、すぐにハーゲンのほうに駆け寄る。
 ハーゲンは、刀には手を伸ばさず、この動物をやさしく迎える。


 それで、そのライオンがどうなったのかについての言及は一切ナシ。
 ここの一節だけ、めちゃめちゃ浮いてます。

 ハーゲンは、このガビローンを持ち帰って王女たちに食べさせたそうですよ。王女サマたちは、それでツヤツヤになったって。美容に効くの?…

 ちなみに、ハーゲンが「十二人力」の力を得たのは、この生き物の血を飲んだからではなくて、「原野を駆け回っていたから」だ、そうです。(過去にカン違いして間違えて書いたような気がする)
 大人になると26人力、なんて、中途半端な数字に増えてます…。
 面白いわー、この話(笑)


>  ひょっとしてアングロサクソン語の『ウィドシース』Widsith ですか?

 多分それでしょう。”古英語”って書かれてましたから(笑)
 jinnさんはチトお忙しいそうなので、続きの訳はなかなか…。こないだのフェロー語のあれについても解答してくださるかどうかは祈るしか。

 ウィドシスには、ヘッテルとヴァーデも出ますよ〜
 それぞれ「ヘオデン」「ワーダ」と、いう名前(らしい)です。

 このへん、そのうちポソっとグートルーンのコーナーにページ増えてると思うので、見つけたらツッコミ入れてください。(笑)


>  これはアリオストの『狂えるオルランド』のイタリア題名 Oralando Furioso のまんまですねょ。→あんまし似てない。

 私も似てねー、と思うんですが、似てるとこ半分、違うとこ半分で、もしかした同じネタから作ったんじゃないのか、という程度のようです。
 「グートルーン」が、もともと今の形であったものなのか、それとも別個の話を繋げて一つにまとめたものなのか、という微妙なところに関係するそうで。
 どうでもいいけどオルランド・フリオソのビレノ王子はヘタレもいいとこです。殴りたい。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 03:25
投稿者名:ろき
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タイトル:
スジの違うツッコミ
すみません、本筋の話にはほっとんど口を挟めない私ですが(おい)、
全く別のスジからツッコミをしてもいいですか。

> このアンブラス写本というのは、”最後の騎士”マキシミリアン殿が書かせたものなんで、かなり後の時代ものなんですよね。

! 『あの』最後の騎士様が一枚噛んでるんですか!
マクシミリアン1世(1459-1519:在位1493-1519)。個人的に私は彼が好きなんで、紹介させていただきますが、
彼はドリーマーです。甘い恋愛絡みの騎士道物語が大好きなマニアです。(笑)
最後の騎士といっても、ハプスブルク家の君主の例にもれず人文系で、
北方ルネサンスたけなわの宮廷に婿入りしたくらいの人なので、
ゲルマンの荒々しさから見ると、かーなーり軟弱な君主だと思います。
まあ王侯貴族の嗜みとしてそれなりに武道もこなしたようですが、
彼が絡んでるなら、恋愛にヘタレた騎士物語なのも頷けます。
アーサー王物語に耽溺した、イギリスのエドワード3世に雰囲気似てるかも。
グードルーン、2号館の概説紹介では当時の宮廷にはウケなかったと書かれてますが、
少なくとも彼には大ウケだったと思います。こういう話好きそう。

どのみち写本が書かれた15-16世紀は、中世というよりもはやルネサンス、
それも場所によっては、全盛期からそろそろ後期に入ろうかという時代。
『ニーベルンゲンの歌』が『不死身のザイフリート』になってた頃なので、
男の使命よりも、昼メロのごとき恋愛感情のもつれが前面に出てるのは、
そういう意味では致し方ないことなのかなー……と。

グードルーンの概説紹介を読んでて、気になったことが一つ。
マクシミリアン1世が亡くなったのは、16世紀前半のことなので、
彼がアンブラス写本を書かせたなら、成立が16世紀半ばというのは遅い気がします。
ただ彼が生きてるうちに写本が完成せず、完成が16世紀半ばになった、
という可能性もあるので、原典の解説に16世紀半ばとあったなら、
多分それが正しいんだと思いますが。(^^;
(つーかロクに原典読んでもないのに口を挟むなという話ですが……)

本気で本筋と関係のない書き込みになってしまいました;
個人的に、ゲルマン伝承とハプスブルク家が絡んでることに、
異様な感動を覚えたので、思わず。(笑)

投稿時間:2003/01/19(Sun) 10:20
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
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タイトル:
「1515年」
↑全然半ばじゃないじゃん。間違えてる〜v

> 彼はドリーマーです。甘い恋愛絡みの騎士道物語が大好きなマニアです。(笑)

 ・・・あー。だろうなぁと思った。写本内のラインナップが趣味一色だし(笑)
 どうよ。ろきさん、マックス陛下への愛コラムをちょろりと書いてくれません?


> 本気で本筋と関係のない書き込みになってしまいました;
> 個人的に、ゲルマン伝承とハプスブルク家が絡んでることに、
> 異様な感動を覚えたので、思わず。(笑)

 いや、いいっスよ。的は広い、というか知識は断片的に持ってても使えないですから。情報ありがとうございました〜。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 07:28
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
ちょっとくどいようだけど..
こないだ、いちどだけツッコミ専用のBBSのほうに書いたんですが、「1000文字オーバー」と「三連続投稿」禁止のダブルペナルティでレッドカード退場になったんです。

 くどいようですが、
>http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/deat/summery1.htm
>「詩のエッダ」には、「ヒルデブラントの挽歌」が入っています。
 「ヒルデブラントの挽歌」の断片は、エッダ詩でも北欧語でもなく、古高ドイツ詩(Althochdeutsch/AHD) です。高地ドイツ語だが、低地ドイツ語の読者を想定して多少アレンジされているらしいです。
 断片の方は、古「ヒルデブラントの歌」(Das A¨ltere Hildebrandslied)とも呼ばれます。そして、15世紀のやつは、新「ヒルデブラントの歌」(Das Ju¨ngere Hildebrandslied)。

 新旧両方のテキストを掲載している場所がありました:
http://homepages.uni-tuebingen.de/henrike.laehnemann/hildebrandslieder.htm

 これを読むと判明しましたが、「古ヒルデ〜」断片の方には、ヒルデブラントの妻の名は出ておらず、「新ヒルデ〜」には、Utte ウッテ→ウオテと名で出ています。
 また、息子の名は、「古ヒルデ〜」断片ではハドゥブラントですが、「新ヒルデ〜」ではアレブラントという名です。

 ドイツ語はすらすら読めるわけじゃないですが、どうやら、息子が親に斬りかかるが、ヒルデブラントは、息子の背中に飛びかかり、緑の野に転げます。そのとき絞め技かなんかにはめるかどうか知りませんが、「お前の母御の名はなんだ、言え!」とか要求し、「ウ、ウッテです、父親はヒルデブラント..」という答えを得、「なーんだ、それなら、わしがそのヒルデブラントじゃわい」となります。
 (当時は、電話ないですから連絡を入れるわけにもいきませんが、−何?伝書鳩ならある?)その生き別れだった父親を、前触れもなにもなしに、忽然と母親のいる我が家に連れていきます。
ウッテ:「捕虜とひざを並べて食卓につかせるとはなんてことじゃ」
アレブラント:「母上、このお方は捕虜などではありません。大事なお父上にござります」。
 最後の節で、どうやらヒルデブラントは、再会の妻を抱き上げ[?]口の中からみやげの金の指輪を取り出して、ウッテの杯にチャポン、と入れる−みたいです。

同じページ
http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/deat/summery1.htm
ですが、
>多くのストーリーを含むディートリッヒの一大叙事詩「シドレクス・>サガ」は、ディートリッヒに関連するエピソード群の中の一つです。

 『シドレクス・サガ』は、散文体ですから、"詩"じゃあないです。これは、こないだ出ましたが、ドイツで取材した作品(おそらくは詩)を、収集し、つなぎ合わせ、古ノルド語で書き直したものです。

 あと気がついたんですが、ツッコミ用掲示板は、"u:"とか、の欧文字や特殊文字がちゃんと表示されるんですね。そのため、
> 余談ですが、「無限∞空間」を英語圏むけにHTML表記するとした
>ら、"Infinite ∞ Space" でイケるはすです。
と書いたはずの部分が、あちらではちと不可解になってしまっています。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 11:11
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
ヒルデブラント
>  「ヒルデブラントの挽歌」の断片は、エッダ詩でも北欧語でもなく、古高ドイツ詩(Althochdeutsch/AHD) です。

 違うやつです。
 兄アースムンドを殺す話です。ヒルデブラントはフン族と書かれ、フィヨルドで息子を殺したあと、アースムンド(異母兄)に討たれて死にます。

「兄弟殺しに生まれついた者がどうなるか、予想するのはすこぶる難事だ。ダンメルクでドロットがあなたを生み、スヴィオジーズでわたしを生んだのだ。…」

つまりアースムンドとヒルデブラントは異母兄弟なのね? って話です。

 で、出典もとの写本はドレだよ、と思って探していたら、
「A'smunder saga kappabana」って書かれてました。
「Codex Regius」とちゃうかったんかい!←気付くのが遅い

 えーと、私ではハッキリ言い切るほどのアタマはないですが、きよさんの仰ってる2つとは別物なんじゃないですか?
 これの書かれた言語は古アイスランド語。それは確実なので。(息子の名前も出ないしなあ)


>  『シドレクス・サガ』は、散文体ですから、"詩"じゃあないです。

 ここらへん、ちょいと待っててくださいねぇ。
 とある方が原書を入手してくださったので、はやければ、夏ごろには見せていただけるかと。(自分で見ればいっちゃん確実。見ても読めないけどサ)
 シドレクスサガ、間違えて、「ピ」ドレクスサガ、と出ていたそうです。ピドレクス…。まあ、そう読めなくも無いが…。そりゃ見つからんわ。
 スヴァヴァランドについても現在解析中〜

> 余談ですが、「無限∞空間」を英語圏むけにHTML表記するとした
>ら、"Infinite ∞ Space" でイケるはすです。

 1年くらい前はそれでしたよ。
 ただそれ書くとあまりに胡散臭かったので、止めました。ピラミッドのことなんか書いてるんで、タイトルだけだとUFO研究みたいじゃないですか…。
 本人が英語書けないのに国際化は無理(笑 スンマセン。

投稿時間:2003/01/20(Mon) 01:48
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
ありました、「ヒルディブラントの挽歌っ」ての
> で、出典もとの写本はドレだよ、と思って探していたら、
>「A'smunder saga kappabana」って書かれてました。
>「Codex Regius」とちゃうかったんかい!←気付くのが遅い

と、出典を出していただいたので、調べましたところ大体、状況が掴めました。私が、
> 「ヒルデブラントの挽歌」の断片は、エッダ詩でも北欧語でもなく、古高ドイツ詩(Althochdeutsch/AHD) です。
 と言ったのは、あきらかに間違いで、「ヒルデブラントの歌」と「ヒルディブランドの挽歌」と称されるシロモノは別でした。失礼しました。

 さて、この「挽歌」ちゅーやつは、本来の

 詩エッダ:(Codex Regius)
写本カタログ名: GkS 2365 (Gks 2367)

にあるものではなく、岡沢さんの挙げた

原題:「A'smunder saga kappabana」
Islandik テキスト:www.snerpa.is/net/forn/asmund.htm
写本カタログ名: AM 586 4° (Reykjavík) 写本
Holm perg 7 4° (7) 写本
Lbs 3795 8°x 写本
邦訳:「勇士殺しのアースムンドのサガ」
   (西田郁子訳『サガ選集』所収。203-229.)
英訳:"The Saga of Asmund the Champion-Killer"
   (Bachman, W. Bryant Jr. and Erlingsson, Gudmundur: Six Old Icelandic Sagas, University Press of America, ISBN=0819191566)
 
のなかで歌われている詩のうちのひとつです。これを近代のドイツの学者が、サガからあたかも独立した作品のようにとりだして、「ヒルデブランドの挽歌(Hildebrands Sterbelied[ドイツ名])」なる題をつけてデビューさせた、というのが真相のようです。また、詩の形式がスカルド詩ではないので、分類好きのドイツ人はエッダ詩と同類として分類されたもようです。

さらには、まぎらわしいことに

著者: Gustav Neckel 編・Hans Kuhn 改訂
題名: 『Edda, Die Lieder des Codex Regius nebst verwandten Denkmálern
    (エッダ:コーデックス・レギウス写本の歌とその関連作品)』
電子テキスト:http://titus.uni-frankfurt.de/texte/etcs/germ/anord/edda/edda.htm

というドイツの出版本のなかに、その「ヒルデブランドの歌(Hildebrands Sterbelied[ドイツ名])」が収録されています。
 「挽歌」は、「〜その関連作品」に属すとするとみていいでしょう。
* 注1:くだんの電子テキストは、右下の選択ボックスの"Vsp."(「巫女の予言」)から"Hild."(ヒ〜の挽歌)に変えて"lookup"ボタンをクリックする。もしくは、フレーム無しで直飛びするなら
http://titus.uni-frankfurt.de/texte/etcs/germ/anord/edda/edda.htm へ。
* 注2:ここでひとつ注意ですが、このサイトは、エンコード形式が Unicode で北欧特有のあの「ホックのついた"o"」を使っていますので、正しく表示するには「Lucida Sans Unicode」または同等のフォントが必要です。(「Arial Unicode」等ではダメ)。

「ヒルデブランドの挽歌」という仮称は、英語では"Hildibrand's Death Song"と訳されるようで、Lee M. Hollander という英訳者が『Old Norse Poems Hildibrand's Death Song: The most important non-skaldic verse not included in the poetic edda(北欧の古詩:詩的エッダには含まれない、もっとも重要な非スカルド詩)』(http://www.geocities.com/thefrithstead2 に掲載予定のもよう)

また、『アースムンドのサガ』のアイスランド語テキスト(http://www.snerpa.is/net/forn/asmund.htm)の第9章に、その「ヒルディブランドの挽歌」と呼ばれる詩がありますが、第10章にも「アースムンドの婚姻歌」と称される歌(こちらはスカルド詩らしいです)があることは、
http://www.glosses.net/archives/cat_old_norse.html (英文)で触れられています。

ひとことツッコミ
>「兄弟殺しに生まれついた者がどうなるか、予想するのはすこぶる難> 事だ。ダンメルクでドロットがあなたを生み、スヴィオジーズでわ> たしを生んだのだ。…」 
 なので、異母兄弟ではなく、同母・異父兄弟なわけですね。あと「スヴィオジーズ」ちゅうのは「ヴェルンドの歌」ニーズハズ(ニドゥド)王が納める国と同じ「スヴィシオーズ」かと。

 追加ですが、Fornaldurso:gur (祖先のサガ/伝奇的サガ)から、それらに引用される非スカルド詩を抽出して、"Eddica Minora"「小エ
ッダ」などと称して分類したのは、Andreas Heusler と Wilhelm Ranisch いう学者(1903年頃)のようです。

 あと、写本の情報は、スカルド詩のデータベース (http://skaldic.arts.usyd.edu.au/bin/skaldic.cgi)から拾いました。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 07:43
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
竜皮ならず毛皮
 竜皮ならず、毛皮とか、毛むくじゃらな衣服でしかも鋼を食い込ませないというのは、北欧・ゲルマンによく出てきます。大元は、ベルセ
ルクの「ベル(熊[皮])のセルク胴着」なんでしょうけどね。<br>

1) まず、Warhorn さんが抄訳しておられる 『ラグナル・ロズブロークのサガ』http://www.runsten.info/saga/raglod1.htm の主人公も、「ロズブローク」つまり「毛むくじゃらの半ズボンの」 "hairy-breeches"[英]というあだ名を持っています。(←この"hairy breeches"が忠実な訳だということは、古アイスランド語辞書でも確認できました。)
 このラグナルは、シグルズ&ブリュンヒルドの遺児アースラウグを妻にしますが、その妻が仕立てた毛むくじゃらの衣服だったと記憶します。
 アースラウグの母親ブリュンヒルドはルーン魔術をたくみにしましたし、その母方のおばに育てられたわけですから、護符魔術ができたのかも。

Warhornさんの訳自体では、なんだかこの「毛むくじゃらの衣服」について述べてなかったようでしたが、

Qautumnさんのサイトですと
>英雄ラグナルは龍を退治したことで知られるデンマークの英雄。その>際に龍の血を浴びぬよう特別の革の袋のような鎖帷子をつくって
>着て龍を倒したため、ロドブロク(革ぶくろ)のあだ名をうるので
>す。

とあり、しかし
反ギリシャ神話 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM/crow.html では、
>クラケ[*=アースラウグの偽名]は、..はデンマークの王ラグナル・ロ>ドブロク(皮の半ズボン)と結婚して..
とあります。

 つまり、かたや鎖帷子=上着、かたや半ズボンと解釈がわかれています。

2) ディートリッヒ伝説の一部にはまた、ヴィルドマン(♂)、ヴィルデヴァイプ/ヴィルデフラウ(♀)とかいう野人・野女が出てきます。野人もやはり「ハールクライト」 Haarkleid (逐語訳すると「毛+衣服」)を持ってるとされ、武器がなかなか食い込みません。
 ただ、この Haarkleid という語は、動物の「コート/毛並み」も意味するものですから、野人の自前の皮フ(モジャモジャ付き)と解釈もできるのです。
 どこぞの本で見かけたモルガン図書館所蔵のさし絵だと、ヴィルドマンの男女は着物は着ていませんでした。女性は、首・顔と乳房とか以外は毛づくめですが、それ以外はふつうの美女として描かれていました、つまり、低い額、鼻ペチャ、分厚い唇、かがみ気味のポーズ、タラコ指、などの猿人・原人の容貌容姿ではありませんでした。

3) アーサー伝説。
 アーサーが戦った聖ミカエルの丘(仏ノルマンディー州のモンサンミシェル)の巨人(ブレターニュ女公をさらった張本人)も、hairy kyrtle という、やはり毛むくじゃらの衣服を所持しています。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 07:57
投稿者名:きよ
Eメール:kyamazak@ix.netcom.com
URL :http://home.ix.netcom.com/~kyamazak/index.html
タイトル:
『ニーベルンゲンの歌』ほか電子テキスト
 前の投稿で、Bibliotheca Augustana に『ニーベルンゲンの歌』のテキストがあると言ったのは、いささか記憶違いで、あれは岩波訳とは同期がとれていないC写本でしたね。

 ところが、中世ドイツのテキストの総集リンク
http://texte.mediaevum.de/にいろいろ載ってました。

 いちおう『ニーベルンゲンの歌』のA,B,C本のテキストがアップされていることがわかりました。ちょっと汚いコピーですけど。"u^"が"$"で表されたりしていて。  

 このサイト、よーくご覧になってください。もしかすると、ウ○○○ムのかの25,000行の大作や、ハ○○○ンのナントカ作品もみつかるかも?(それは見てのお楽しみ)

投稿時間:2003/01/19(Sun) 14:32
投稿者名:摩伊都
Eメール:
URL :
タイトル:
Re: 竜皮ならず毛皮
お久しぶりです。

>  竜皮ならず、毛皮とか、毛むくじゃらな衣服でしかも鋼を食い込ませないというのは、北欧・ゲルマンによく出てきます。大元は、ベルセ
> ルクの「ベル(熊[皮])のセルク胴着」なんでしょうけどね。<br>

> 2) ディートリッヒ伝説の一部にはまた、ヴィルドマン(♂)、ヴィルデヴァイプ/ヴィルデフラウ(♀)とかいう野人・野女が出てきます。

おお。今、私がこれに関連のあるものをいろいろ調べているところでございます。
沢山、似たような伝説上の人物?(怪物か?獣人か?)がいるので・・・混乱しています。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 15:36
投稿者名:岡沢 秋
Eメール:
URL :
タイトル:
毛皮は毛皮なんじゃあ…
>  竜皮ならず、毛皮とか、毛むくじゃらな衣服でしかも鋼を食い込ませないというのは、北欧・ゲルマンによく出てきます。

 つうのは、現地での衣装が単純に毛皮だからだと私は思ってます。
 実際やってみればわかりますが、毛皮ってのは、すごく斬りにくいです。なので神話的な意味はあまり無いだろう、と。

 もし特別な獣の皮に力があるとするのなら、ジーフリトは竜の血ではなく、竜の皮で不老不死の装備になるべきでした。
 ベルセルクの皮の衣装については、はっきりいえるほど資料を読んでないのでわかりませんが、確か「狂気のもとになるルーン」というのがありませんでしたっけ。
 それから、戦の前に生肉を食べて心を獣のようにする、という伝説も。(「エッダ」では、シグルズの殺害者グットルムがそれをやっている。)

 実際、北欧はメチャメチャ寒いので、ふつうに布の服着てたんじゃ死にますよ。
 トナカイだとか、鹿だとかの毛皮じゃないと…でもアイスランドにはトナカイも鹿も居ないそうなので、どうしてたのか気になります。クジラの皮とか?


> Warhornさんの訳自体では、なんだかこの「毛むくじゃらの衣服」について述べてなかったようでしたが、

 というのも、同じ理由からかもしれません。
 当たり前にあるものについては、わざわざ言及する気にならんだろう…と。


 毛むくじゃらの衣装を着て出てくるってのは野性的だということを表現する意味合いではないでしょうか。
 叙事詩というのは、衣装については、表現にものすごくコダワリがあるもんですよね。「黒テンの美しい毛並みがどーのこーの」、「ナントカの房飾りが」「ツァツァマンクの絹がどうたら」とか。
 毛むくじゃらなんてダッサい衣装は、ワイルドな登場人物以外には、着せたくなかったんじゃないのかなぁ…。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 16:50
投稿者名:Warhorn
Eメール:
URL :
タイトル:
Re: 毛皮は毛皮なんじゃあ…
親方、こんちは。ひさしぶりだとクッキーが切れて・・・。

> > Warhornさんの訳自体では、なんだかこの「毛むくじゃらの衣服」について述べてなかったようでしたが、
>
>  というのも、同じ理由からかもしれません。
>  当たり前にあるものについては、わざわざ言及する気にならんだろう…と。

というか、元資料に言及なかったんで、さっくりと流しただけでした・・・。で、肉、生肉、血、毛皮が魔力を持つうんぬんかんぬんは、北欧マニアにはデフォなんで、いちいち書くのもマニアな方々にしつれいかと・・・。(で、私自体があまり興味がない)

で、ついでなんで、<974 きよさん

「毛むくじゃら半ズボン」の訳はそりゃあっているでしょう。だって、日本の有名な北文の教授、先生方が訳した本をいくつか参考にしているんですから。そこからの言及です。で、抄訳じゃなくって「単なる作品」です。たのんます、そこんとこ。元のサガを参考にはしていますが、邦書の優れた本を読んで参考にしてオリジナルとして仕上げています。だもんで参考としての引用はたのむからやめてくれ〜という状況です。単なる素人の作品、オリジナルの単なる作品です、で、検証とかされてもなぁ・・・な感じ・・・。ちなみになんで私がこのサガが興味あったかというと息子達のローマ行きが知りたかっただけで・・・。神話伝承部ではなかったり・・・で、前半部はおざなりになっている。

え〜とですね、この内容は「ヤールの娘」が飼っていた蛇がどんどん大きくなってえらいことになったので「ヤールが蛇(龍、竜)を倒した者には娘と持参金をやろう」と約束するわけで、ラグナルがそれを聞いて、衣装をタールでぐつぐつ煮て作って(サガには魔術師誰製という言及はナシ)それを着て蛇の毒よけとしたんですよ。実際、蛇の絶命時の毒をこれで防御している。で、この後、ラグナルは娘と結婚するが、その後、妻が死んで、傷心の旅にでて、そこで、アースラウグと初めて出会い、彼女を見初めるわけです。

ここいらはお話として「北欧の神々と英雄達」下巻・岡崎晋訳にあります。ラグナル・ロズブロークのサガがほぼ完全に近い形であります。(現代デンマーク語からの訳なので、かなりカタカナ表記は読み辛い)

で、実際問題、親方(岡沢さん)の指摘どおり、「毛皮、皮革」というのは丈夫で、それにタールを塗りこんだ場合、大概のことは防げるんじゃないんでしょうか・・・。古代北欧にあっては鎧といえばチェーンメールですが、これは高価ですし、重い。実用的な理由から用いられたのはふつーだと思います。が、実際、古代北欧にあっては、毛皮はもうかる商売であったので、王が管理する場合が多いです。どこからの年貢かというと、サーミがその多くを占めます。サガではサーミは毛皮、妖術と非常に結び付けられます。で、サーミが魔術をかけてどんな武器も通用しないという「となかいの毛皮の鎧」もサガには登場します。北欧人がサーミに畏怖の念を抱いて、サーミの魔術を相当に恐れていたことはサガから読み取れます。

毛皮に魔術、羽衣で飛ぶとかはドイツの方が伝承がおおいんじゃないんでしょうか?しらんけど。

日本でも〜の羽衣とかたくさんありますし、中国でもたくさんあると思います。まぁ、誰でも思いつくシロモノじゃないんでしょうか・・・。と、物語には必須アイテムかと・・・。なんとなく中国伝来の〜とかというと、いいシロモノに思えるが如くな感じで・・・。

まぁ、こういったことは好きな方は好きだと思うんで、まとめてサイトにあげるとアクセス率アップ〜、な感じ?

まぁ、あくまでも個人的見解の意見で、なんら学術的根拠はありませんが。

>トナカイだとか、鹿だとかの毛皮じゃないと…でもアイスランドにはト
>ナカイも鹿も居ないそうなので、どうしてたのか気になります。クジラ
>の皮とか?

アイスランドはメキシコ湾流(?だったか・・・?地理得意なかた〜)の暖流が流れてきてて、思う以上に暖かい(が、夏でもセーターはいる)らしいです。で、アイスランドは「羊毛」が重要なものとなっています。衣類はもちろん、船の帆も羊毛で作ります。この羊毛の織物にもノルウェイ王は税として要求をしました。だもんで、羊毛です。毛皮はアルシングや、外国に出稼ぎに出た時に購入したものと思われます。

投稿時間:2003/01/19(Sun) 21:17
投稿者名:岡沢 秋
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タイトル:
参考書。
> 親方、こんちは。ひさしぶりだとクッキーが切れて・・・。

 ちなみに「親方」はギャグでつけられたあだ名ですので。
 実際はWarhornさんのが色々よくご存知でセンパイですので(汗

 と、人間関係を説明しておく。(誤解されないように)

> ここいらはお話として「北欧の神々と英雄達」下巻・岡崎晋訳にあります。ラグナル・ロズブロークのサガがほぼ完全に近い形であります。(現代デンマーク語からの訳なので、かなりカタカナ表記は読み辛い)

 これが参考書ですね。よっしゃ探すか〜、って、まだ、こないだWarhornさんからいただいた、ヴォルスンガ・サガのコピーがまだ読み終わってません〜。

 ええと、どうも谷口先生が微妙に意訳した部分があるらしく、ヴォルスンガ・サガをコソコソと書き直しているので、自分で本読まず、ここのサイトからレポートのネタを取ろうとしてる人は要注意。
 そのまんまもってくと、同じ部分で間違ってるのでバレバレ♪

> 毛皮に魔術、羽衣で飛ぶとかはドイツの方が伝承がおおいんじゃないんでしょうか?しらんけど。

 いやー、ドイツ側からすると北欧起源だとか言ってますが^^;
 毛皮に魔術なんて読んだ覚えないです。あるとすればギリシア神話の黄金の羊の皮とかですか。
 羽衣で飛ぶってのも、元々はギリシア神話からの流用じゃないんでしょうか。(ヴェルンド伝説とか。ロキの羽根はえたサンダルも明らかにヘルメスのパクりだし)

> まぁ、こういったことは好きな方は好きだと思うんで、まとめてサイトにあげるとアクセス率アップ〜、な感じ?

 そぉいう、魔法っぽいアイテムの名前ばっか並べて小説なんか書いたりしてる人に限って、本体の物語の「面白さ」を理解してないんですよね…。(毒)

投稿時間:2003/01/19(Sun) 22:44
投稿者名:Warhorn
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タイトル:
Re^2: 一部訂正
私んとこのサイトのつっこみかと思ったら、ちがうじゃん・・・。私んとこのサイトには「毛羽立ち半ズボン」の言及ないし・・・。言及がないっつ〜つっこみというわけですな。ははは〜。てっきり言及入れているかと思っていたら、入ってないじゃん・・・いや〜、これは北欧やっている人にはデフォなんで、と思って外したみたい。ちなみに「袋」と訳している場合もあります。意訳するかどうかの問題かもしれませんが。

ということで言及をサイトに追加してみました。

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