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アトゥム Atum(仏語:Atoum)

古代名:テム/ギリシア名:アトゥム/別称・別綴り:-
性別:男性(原初の神としては両性具有)


――――始まりにして終わりなる原初の紙

主な称号
すべての神々の父、宇宙の主人、万物の創造者

主な信仰
あとぅむさんアトゥムは実はギリシア語での名称で、古いエジプト神話の本だとエジプト語名をとって「テム」になっていることもある。
テム(場合によっては"イテム")は「それ自身で完成に至るもの」「それ自身で完結するもの」という意味を持つ言葉だという。つまり「始まりにして終わりなるもの」である。

上下エジブトの王をあらわす二重冠を被った男性の姿で表されることが多いが、地下の冥界世界にある太陽としては羊頭で描かれることもある。

●万物の始まりとして

アトゥムは「原初の神」であり、ヘリオポリス系の神話における神の始祖である。
ヘリオポリスのもともとの祖神は太陽神ラーなので、後付のアトゥムはラーと同一化し「アトゥム=ラー」となった。

どこの神話でも万能神や万物神といった想像のしにくいものは、目に見える太陽や大地や天といったものの単純な神格化より後の時代に誕生する。アトゥムの場合も、原初の神々を含む神話群が誕生したあと、創世の神話と同時に作られたのではないかと思われる。

「すべての始まり」「世界を生じさせた起点」としてのアトゥムは世界そのものであり、宇宙神というスケールの大きな概念でもある。なお、原初の水から誕生したアトゥムの最初の姿はヘビだったとされ、生まれたての太陽を手に掲げる巨大なヘビで表現されることがある。(なぜヘビに手があるのか、という質問はエジプト神話では愚問である。ネヘベカウを参照。)

始まりであるアトゥムは同時に終わりでもあるため、ヘリオポリス神話においては、アトゥムの死は世界の終焉を意味している。


●太陽神の一形態として

アトゥムは、原初の水から最初に現れた神であり、最初に世界を照らした存在であることから、太陽神としての属性を持つ。この属性は、ヘリオポリスで信仰されていた太陽そのものであるラー神と同一視されたことによって発生したものなのか、逆にラーの神話がアトゥムとの融合によって創られたものなのかは不明。左がアトゥム
また太陽は、朝、昼、夜の三形態をとるとも考えられた。その際には、朝が「ヘプリ」、昼が「ラー」、夕方が「アトゥム」となり、アトゥムは老いたる太陽の役になる。ただし、この太陽の三形態という考え方は全ての時代を通してのものではなく、中王国時代にはアトゥムは単純に一日を照らす太陽そのものをさしていた。


●神々の父として

ヘリオポリス神話の神々の家系は、アトゥム=ラーを起源として、息子と娘が大気の神シュウとテヌネト、その二柱の兄妹の間に生まれたのが大地の神ゲブと天の女神ヌト、またその二柱の兄妹の間に生まれたのがオシリスを長男とする五柱の兄弟神だったとしている。家系図は イシス の項の下のほうを参照。

ヘリオポリス系の創世神話については、エジプト神話ストーリー の「創世神話 inヘリオポリス」を参照。


●その起源

一説によると、天文学を統べた神官、暦を考案した最初の人間が神格化され、象徴化されたものがアトゥムではないかとされるが、確かに、天文学を収めた者は、宇宙の真理を識る者として崇拝の対象となった可能性がある。また、アトゥムが属するのがヘリオポリス神話群であることから、その神官とは、ヘリオポリスの太陽神官だったのではないかとも考えられる。(この説には証拠はないので、あくまで推測に過ぎない。)


●うなぎ

プトレマイオス朝時代には、アトゥム神の神聖な動物にウナギが設定されていた。ウナギのミイラ。うなうな。信じがたいでしょうがこれが現実です。
エジプト神話では、世界は原初の水ヌン(泥水)から誕生した→うなぎは稚魚などが見つけにくく、泥の中から自然発生してるように見える→原初の水から発生した原初の神アトゥムに通じるものがある!! で、うなぎ=アトゥムの化身 ってことになったみたいです。想像力豊かすぎんよ…。



>> そしてこのうなぎには、あるヒミツが隠されていた


神話
・ヘリオポリス系の創世神話における創世神。両性具有なので、自らの力で最初の神々、シュウとテフヌトを誕生させる。
 その方法には、手淫によるというバージョンと、つばを吐いてそこから誕生させたというバージョンがある。

・手淫による誕生バージョンの場合、性器が男性、手が女性というふうに体の部位で性別が分かれる。女性としての手はイウサアースやヘテペトと呼ばれ、それ自体が「ヘテペトの手」などといった女神として別個に信仰されることもあった。

・ヘテペトの手は、イスラムでいうところの「ファティマの手」とよく似たニュアンス。


聖域
主な信仰地はヘリオポリス。
それ以外にも、太陽信仰のある地域の多くに聖域を持つ。

DATA

・所有色―赤、黒、緑
・所有元素―火、水、風、土
・参加ユニット―ヘリオポリス九柱神<アトゥム・ラー、ヌト、ゲブ、シュウ、テフネト、イシス、オシリス、セト、ネフティス>(※ヘリオポリス九柱神はメンバーが替わっている場合あり)
・同一化―ラー、アメン
・神聖動物―太陽神としては雄牛(ムネビス)、冥界を行く太陽の守り手として猫、アトゥム自身としてはライオン、ウナギ
・装備品―二重冠、ウアス杖、アンク


◎補足トリビア◎

週刊少年ジャンプで人気を博したマンガ「遊☆戯☆王」では、記憶喪失のファラオの真の名前が「アテム」でした…
なぜホルス関連じゃなかったんだシャッチョさんはセトなのに(ぶわっ


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