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ゲブ Geb(仏語:Geb)

古代名:ゲブ/ギリシア名:-/別称・別綴り:-
性別:男性


――――豊穣なる緑の大地

主な称号
神々の父、地の住人の案内者

主な信仰
大気の神シュウとテフヌトから生まれた大地の神。妹である天の女神ヌトを妻とする。大地そのものである。
エジプト神話の他の神々同様、ゲブには恐れを抱かせる邪悪な神としてのイメージと、恵み齎す多産の象徴としてのイメージが存在する。古代エジプトは農業大国だったので大地の神が崇められたのかというと意外とそうでもなく、出場率は妻ヌトのほうが多い。

ゲブとヌトとシュウ体を弓なりにした天の女神ヌトの下に横たわる姿で表されることが多く、これはそのまま天と地の位置関係および見た目の形状を意味している。右の図では、父シュウが天(ヌト)を持ち上げている。

大地の豊穣を表すため、ゲブの男根が天の妻に向けてさし伸ばされていたり、シュウがおらずゲブとヌトが手足を絡ませた状態で描かれている場合もある。


●神々の父・豊穣神としてのゲブ

妻ヌトに有名な五人兄弟、オシリス、イシス、セト、ネフティス、大ホルスを産ませたのを筆頭に、大地から人間に与えられる、様々な恵みの象徴である。人間の王に先だち、神々が地上を治めたとされている神統時代にはファラオとして即位していたと考えられ、ホルスの化身である王はその後継者として「ゲブの遺言を受け継ぐもの」とされた。

日本の豊穣の神(ウケモチノカミとか)と同じく自らの体から食物を生み出すという信仰もあり、肋骨からは穀物、背骨からは植物、また真水が体から染み出すともされた。また、ゲブが象徴するのは豊かなエジプトの大地であり、着色で描かれる場合は体は葦で覆われ、緑色で描かれた。
ただし豊穣の大地の象徴なので、砂漠など荒地はサポート範囲外だったようだ。

大地の神ゲブは頭部がウサギまたはヘビで表されることも多く、ヌトとは別に単品で登場するときには、頭の上にガチョウを乗っけた姿で直立する男性で描かれることもある。
頭にガチョー

●恐怖の対象としてのゲブ

古代エジプトにおける宗教観では、死後の世界は地下にある。その地下へ下るためには、大地そのものであるゲブの体を通過せねばならない。しかしどういうわけか、ゲブは死者たちが通り抜けることを許さず、永遠に自らの体に閉じ込めてしまうことがあるという。審判を受けることも、神々に申し開きをすることも許されない、暗い大地の中の永遠は、死に勝る拷問だっただろう。

山々は、「ゲブの噴出」と呼ばれ、ヌトと引き離されるとき怒ったゲブが身を震わせたために出来たのだという。また、地震は「ゲブの笑い」と呼ばれ、ゲブが愉快な気分になると地面ごと揺れる。うかつに喜ばせることも出来ない神様である。


神話
・天地創造神話に登場。妹であり妻である天空の女神・ヌトと引き離されまいと妻の手足をガッチリ掴んだために、空は地平で大地と接する蒼穹になったのだという。そして天と地の間では、二人の父であるシュウがギリギリしながら踏ん張ってる。お気の毒というほかない…。

・太陽神ラーがゲブの息子とされる神話においては、ラーに「人間を滅ぼしちまえ」とそそのかし、破壊の女神セクメトを生み出させる。

・妻がお産に困っているとき助けなかった人。わりといい加減。

・大地の豊穣を意味するため、ナイルの恵みを表すナイルの化身ハピとは同僚関係。


聖域
固有の神殿などは持たなかったが、豊穣の祭礼は全国で行われた。
神話の系統としては太陽神話群なのでヘリオポリス周辺が本拠地。

DATA

・所有色―緑
・所有元素―土
・参加ユニット―ヘリオポリス九柱神<アトゥム・ラー、ヌト、ゲブ、シュウ、テフネト、イシス、オシリス、セト、ネフティス>(※ヘリオポリス九柱神はメンバーが替わっている場合あり)
・同一化―なし、類似神に大地の神アケルがいる
・神聖動物―ガチョウ、蛇
・装備品―人間の姿で描かれるときは、上下エジプトの印、二重冠を戴く。そりゃまあ、エジプトは上も下もあなたの体ですし。



【Index】