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ムト Mut(仏語:Mout)

古代名:メウト/ギリシア名:ムト/別称・別綴り:−
性別:女性


―――母なる貴婦人

主な称号
天空の女主人、偉大なる母赤い。

主な信仰
ムトという言葉はハゲワシと母を意味する。名前になっているハゲワシはシロエリハゲワシ(Gyps fulvus)という説が有力。アメン神の妻であり、コンス神の母。テーベの守護女神。

カルナックのアメン神殿に隣接するムト神殿はイシェルと呼ばれ、聖湖をもつ壮麗な神殿だった。通常は女性の姿であらわされるが、セクメト女神と習合したさいには獅子の頭部を持つ女性として表現される。アメン神の妻であり、母であり、娘の役目も取る。そうなった理由はアメン神の性格がはっきりせず、場合によって立場が変化したためと、アメン神がラー神と習合するにあたりラーの持っていた神話とごっちゃに混じったせいである。が、そのへんは大人の事情というか後付の設定なので、形式上のものと思っておけばOK。

アメンが国家の主神になったあとは、国家の母としても祀られた。


●母権の象徴として

その名が「母」という単語でもあるように、ムトはまず「母」であり、次に「王妃」である。夫アメンとの関係は、王と王妃のそれであり、あまり親密な場面は出てこない。エジプトの母女神たちは例外なく力強いが、ムトもまた子を守る時には恐ろしい戦闘力を発揮する。乳母として子を抱きいつくしむ姿があるかと思えば、雌ライオンの姿で家族を脅かす敵を打ち払う戦いの女神として登場する。おかんを怒らせると怖いのは、どこの世界でも同じなのた。

ムトは「王の母」でもある。新王国時代には、ファラオたちはアメン神が王妃と交わって出来た「神の子」とされていたからだ。必然的に、ムトは王の義理の母(乳母)となり、王を脅かす害悪からの強力な守護者として崇められるようになった。


●祭儀の女主人として
ご夫婦で。
テーベ周辺でアメン神に関わる祭儀、またムト自身の祭儀を持っていた。アメン神、コンス神とともに家族でカルナック神殿とテーベ神殿の間を往復する「オペト祭」のほか、イシェルの神殿で行われた「ムトの航行」、太陽神の敵である巨大な蛇アポピスを打ち倒す「アペピの打倒」など。また、ラー神の例祭に関係したという説もある。


神話
・死者の書にはほとんど登場せず、葬祭の儀式に関わることは少なかった模様。

・アメン神がラー神と習合してアメン・ラーとなった後は、ラー神の妻として太陽神話に関わるようになっていく。

・アメン・ラー賛歌においては「両国の女王セクメトの姿にてアシュルー(自身の神殿の名)に憩いに来たれり」とされている。

聖域
主にテーベ。
その他、ヘルモンティス、メンフィス、ブバスティスなど

DATA

・所有色―黄
・所有元素―火、大気、土
・参加ユニット―ご家族<アメン、ムト、コンス>
・同一化―母なる女神として、ハトホル、セクメト、バステト、イウサアースなど。また近隣聖域の女神たち、ラタウイなど。
・神聖動物―なし(実はハゲワシは神聖動物ではないらしい)
・装備品―二重冠、ハゲワシの飾り、花の杖など


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