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【エジプト限定】オーパーツコレクション

ピリ・レイス地図とカイロの謎めいた関係



エジプトのオーパーツ… を検索でぺちぺち探していたら引っかかったものが、これ。
ピリ・レイス地図と聞いて思わず「ハイレディン・レイスの兄弟ですか?! 追いかけてきますか!」と、思った大航海ファンは私だけでいい。(オイ)

なんて話はおいといてーー。
名前でピンと来た人もいるかもしれない。「ピリ・レイス」とはオスマン帝国の人である。地図は、イスタンブールのトプカプ宮殿で発見された。地図に1513年と描いてあったそうで、書かれた時代は16世紀初頭、まさに大航海時代ということになる。(…あれ。イスラムって西暦使うんだっけ?)
「オーパーツ」といえば、どこかいかがわしい雰囲気もつきまとうのだが、この地図自体は疑いなく古いものであるし、年代が怪しまれることもない。
描かれているものについても、コロンブスがアメリカに到達した20年後ということで、西洋諸国から流れてきた資料や情報をもとに作り上げた図、という意味で、非常に貴重な資料である。

しかし、である。

この歴史ロマンを秘めた大航海時代の地図――実際は外洋に進出することなく黒海に閉じこもっていたオスマンの海軍指令が、まだ見ぬ遠い新大陸に思いをはせ、様々な資料を繋ぎ合わせ推測を重ねて描いた、この地図でさえ、オーパーツ論者にかかると、なんだかとんでもないシロモノになってしまう。

曰く。

 「この地図には、まだ発見されていないはずの南極が(疑いない正確さで)描かれている



 「海岸線が歪んでいるのは、はるか上空から見た図だからである。
  そして、この地図はカイロ上空を飛ぶ人工衛星から見た南極の図に一致する

 何故カイロ(笑)

ピリ・レイス地図に南極が描かれていると主張する説までは知ってたが、カイロってか。

こういうことですか。
←つまりこういうことらしい。

うん、まぁ、似てるかどうかはどうでもいい。
確かに上空から見れば、地形は歪んで、遠くほどひらべったくみえる。それは、いいんだ。
でもさ…


カイロって北半球なんですけど。(北緯30度)








確かに赤道は近い。まあ、頑張れば南半球の半分くらいはなんとか見えるかもしれないけどさぁ…





 北半球から南極って、どんだけ上空行っても見えなくないか?

と、いうか、カイロ上空で南極が見えるところまで上昇したら、それは、もはや「カイロ上空」ではなく「宇宙空間」にならないか。(ざっくりと)
…なんだか、古代エジプト人に空を飛ばせたくて仕方ない人がいるような気がしてならない…。
さすがにこれはどうかと思った。


と、まぁ、実はエジプトとはあんまり関係ない一品な気がするのだが、折角なので、ちょっとだけ補足をしておく。

この地図、よく見ると、地名や、その地方に住んでいる動物の絵がたくさん描かれている。
南極だと主張されている部分を拡大してみる。



 蛇の絵と地名が描いてある…。

南極に蛇いねーだろー… と、いう話はさておき、
蛇の絵以外にも、左端のリャマっぽい絵のあたりにも、赤っぽく着色された島の部分にも、細かく地名のメモがある。地名を読めば、地図上のどこが地球上のどこに相当するのかは分かる、ということだ。

ちなみに地名は片言のラテン語らしいから、全く読めん!(笑
ヒエログリフならともかく、ラテン語までは解読しきれないので、ここの地名が何になってるのかはご容赦を。

そして遠くから全体を見ると…



アマゾン川の位置からして、南極だと言われてる部分は南米の一部だと分かる。
航路をまっすぐに描くためか、資料が正確でなかったためか、はたまた航海図という意味で正距方位図法に近づけたせいなのか…南米が東に延びているように見えるだけなのだ。

ちなみに、どうしても南極が描かれていると言いたい人は、「この地図の元になった資料は、氷河期にあったんだ!」とか素っ頓狂なことを言い出したりもするらしい。おいおい、確かに氷河期なら海水面も下がって南極と南米が繋がってたかもしれないけどさ…

 氷河期の南極に蛇はいないと思う。

そんなどーでもいい説より、この地図の元になった資料を作った人のことを考えようじゃないか。
大航海時代。南米は未知なる世界。はじめてたどり着いた大地で出会う、不可思議な動物・リャマや、見たことも無い大蛇。支流が多く水量も多いアマゾン川は、当時まだ、入ったら最後出てこられないといわれるほど難易度の高い場所だった。アマゾン川上流には、伝説の女傑「アマゾン族」が住んでいるとさえ言われ、探検隊が襲われたという記録もある。(それが「アマゾン川」という名称の元になった)
アマゾン川のところに描かれている帆船はポルトガル船か? これからアマゾン探検で現地人に狩られたのするわけだな。ワクワクしちゃうよ。

…と、まあ…
この地図には、本当なら大航海時代の歴史ロマンが凝縮されているわけなのだが、不思議な超古代文明論争で薄れてしまい、マジメな研究よりどうでもいい空想のほうが有名になってしまった、という、色んな意味で不幸な地図である。


#「南極」説のそもそもって、「南極だとカン違いしちゃったんだけど今さら間違いを認めるわけにはいかないんだYO!」っていう、大人気ない言い訳にしか聞こえないのは私だけですか?

***
なんだかエジプトとあんま関係なかったので、それ以上の追求はしてませんが、日本語で解説の詳しいページが読みたければこちらとかオススメ。もとビリーバーから懐疑派に移った人ほど、愛のある、しかしながら容赦のないツッコミを入れられるのが好きですね。私も昔はピラミッドとUFOのかかわりを書いた本が好きでしたよ。…小説の一種だと思ってたけど。


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