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第二十三章

アニのパピルスより

↑左側の絵にある、曲がった棒みたいなのが「開口の儀式」に使う道具。


オシリス開口の章。

勝利を得たる書記生アニ曰く、

「願わくば、プタハの神が我が口を開かんことを。
 また、願わくば、我が都の神(土地の守護神)が、巻き布を、ことに我が口にかかる巻き布を緩めんことを。これに加うるに、願わくば、トト神が魔法に満たされ、また、これを供給され、来たりて包帯を緩め、我が口を束縛するセト神の包帯をさえ緩めんことを。
 また願わくば、アトゥムの神が、包帯をもって我を束縛する者にに包帯をなげうち、これらの人々を追い返さんことを。
 願わくば、我が口の開かれんことを。
 願わくば、シュウの神が神々の口を開く刃を用いて、我が口を開かんことを。
 我は女神ヘケトなり。而して、我は大いなる天の風における場所に座す。我はアンヌ(ヘリオポリス)の神々のうちに住まう大女神サアなり。
 願わくば神々よ、全ての魔法に対し、また、我に反対して語らるる全ての言葉に関して、反対し、かつ神々の群れのあらゆる者が、みなこれに抵抗するに至らんことを。」


「開口の儀式」は、ミイラが作られたあと、死者の国に行っても口がきけるよう、ものが食べられるようにと、仕上げとして金具を使って行われたとされる。
とにかく死者の書という呪文のカンペを持って死んでも、口がきけなければ意味がないので、この呪文はとても重要だったと思われる。

この呪文は、中に、プタハ、トト、アトゥム、シュウ―など有名な神々の名前が織り込まれているのが特徴だ。
アニは書記官なので男性のはずだが、「我は女神ヘケト」など、女神たちと一体化しようとした文句も見られる。



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