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第四話 ボクらが神になった理由


 エジプト神話では、何故だか何だか、人間と動物が合体したような神様がたくさんいます。
 それは、動物たちに、人間には無い能力がたくさんあったからです。たとえば、強くて大きなライオンが、力の神になることや、鳥の中では雄雄しくて、プライド高そうな鷹が王の象徴として王家の守護神になるのは、分かりますよね。

 でも中には、「なんでコレが??」と、思っちゃうような神様もいらっしゃいます。
 そこで、「なぜ、この動物がその神様になったのか」に、ついて、今のところそうだろうと言われている説から、解説していきたいと思います。
 もっとも、古代エジプト人に会って確かめたわけじゃないので、本当にそうだったかどうかは分かりませんが…。


◆ワニが豊穣の神になったワケ◆

 主なワニの神様は、セベク神です。
 セベク神の聖域は、ファイユーム地方という、大きな湖とその周りに広がる湿地帯でした。湿地帯にはもともと、ワニがたくさん住んでいたので、守護神がワニの姿にされたのは、ある意味あたりまえのことでした。
 ところが、この地方は水が豊富で、しかも水位も低かったので、灌漑工事によって巨大な農作地帯へと変化することになりました。
 エジプトは乾いた砂漠がほとんどですから、緑がいっぱいで実り多いファイユームは神々の特別の寵愛を受けたように見えたのではないでしょうか。
 湖に住んでいるセベク神と、その眷属のワニたちは、いつのまにか豊穣の神になっていたそうです。
 ワニにとってはいい迷惑。

◆カエルが出産の女神になったワケ◆

 主なカエルの神様は、ヘケト女神です。
 カエルって、いっぺんにたくさん卵を産みますよね。
 水辺に揺れる、透明なゼリーに包まれた長ーいカエルの卵、見たことありますか?
 子供を大切にする古代エジプト人は、これを見て感動し、「いいなあ、カエルみたいにたくさん子宝に恵まれたいなあ」と、いうことで、カエルを出産の神にして、子沢山にあやかろうとしたのです。
 いや、そんなにたくさん子供いらんだろうよ。

◆フンころがしが太陽の魂になったワケ◆

 主なフン転がしの神はヘプリ神です。
 ヘプリはケペルとも読み、この言葉は「魂」を表しています。ヘプリは太陽神の魂の化身でもあり、太陽の虫と呼ばれていました。
 それは何故か。
 フンころがしは、丸くしたフンを転がしてますよね。これが、古代エジプト人から見ると、「太陽の卵」に見えたんだそうです。太陽はもともと卵から生まれてますし(創世神話)、…何より、フン転がしは、フンの中に卵を産み付けるさまが、無(動物のフン)から生まれてくるように見えました。
 そこで、不滅の太陽の魂を象徴する生き物として、フンころがしは神様にされたのです。
 ただフン転がしてただけなのに。

◆ヘビが墓守りになったワケ◆

 ヘビの中で、主な墓守りの神は、メルセゲル女神です。
 この女神は黒と黄色で表されており、このまだら模様のヘビは、暗くて涼しいところが好きでした。
 たとえば、墓の中。
 実は、そのまんま。

◆ヘビが王家の守り手になったワケ◆

 ヘビの中で、王家の守り手はウアジェト女神とウラエウス女神です。
 これらの女神たちは、聖なるコブラの神でした。コブラが蛇の中でも特別だという思想は各地にありますが、それは、鎌首をもたげで立ち上がった威嚇ポーズが、凛々しくてカッコイイからでした。
 すげえ。やつはただものじゃねえ。
 そのイカしたポーズは、蛇の王にふさわしい。
 と、いうわけで、この蛇を象った装飾品などが、多く作られるようになったのでした。
 かなり安直ですね。

◆ヒツジが人間づくりの神になったワケ◆

 雄のヒツジは、かなり生殖力たくましく、毎日でも一日何頭でも、雌のお相手をすることかできたそうです。
 たくさん子供を作って、どんどん増えていく生き物だそうです。
 だから、そのイキオイにあやかりたいと、人間の男性がちょっと邪な憧れを抱いたのだそうです。
 本当かどうかは分かりません。

◆トキが知恵の神様になったワケ◆

 サルなら賢いから分かるけれど、頭わるそうな(失礼)、鳥がどうして知恵の神に?
 トキは、ナイル河の氾濫する時期になると、上流から下流の浅瀬にやってくる渡り鳥でした。水は川上から流れてくるのですから、当然、上流のほうが先に氾濫を起こします。
 しかし、古代の人々はそんなこと考えずに、「トキがやってくると必ず氾濫が起こる。すごいなあ、未来が予測できるんだなあ」と、感心して、トキを崇めるようになったのだといいます。
 それでいいのか…そんなんでいいのか…^^;



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