かの者は、失われし女神

原初の水より立ち上がる

※メトイエルについて…

この名前は、ローマの歴史家プルタルコスが、「イシス女神の別称である」として著書で紹介している女神のものだ。彼の言うところによれば、メトイエルは「原初の水ヌンの分身で、生まれたばかりの太陽を牛の姿で背に乗せて地上へ運んだ」ことになっているのだが、そんな神話はエジプト側には残っていない。いや、残っているのかもしれないけれど、少なくとも、「メトイエル」という名前ではないようだ。彼女がイシスの別称だということは、おそらく、他の神とイシスを融合させた結果なのだろう。

プルタルコスの生きた時代が紀元後1世紀で、エジプト王国が既にエジプト人以外の王によって統治されていた時代だったことからして、彼の記述がどこまで正しいのかは、分からない。
 ただ、もしもこの「メトイエル」という神が本当に原初の水の分身で、太陽を地上に上げる役目を負っていたのなら、創世神話に関わる、ヌトやゲブと同じ次元に位置する重要な神とも言える。