シャルルマーニュ伝説
-The Legends of Charlemagne

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つっこみルネッサンス

あの人は今 新たな出会いとマンドリカルドの長い話



 ブラダマンテとはぐれたロジェロが二人の騎士と出会ったのは、夜になってからのことだった。
 「待て。お前、どうしてヘクトルの盾を持っているのだ」
夜の薄明かりの中、見知らぬひとりの騎士が問いただす。そう、トロイのヘクトルの子孫であるロジェロは、当然のように、そのヘクトルの装備品のひとつを持っていた。
 「なぜって私は子孫だからだが。そういうあなたは、どうしてヘクトルの紋章をつけているのか。」
 「話せば長い。…オレはマンドリカルド、オルランドゥに殺された、タタール王アグリカンの息子だ。ここフランスへは、父の仇を討ちにやってきた。」
あー、なんか、そんな人が前にいたねえ。オルランドゥに倒されたっけー。
 「…その頃オレは家を飛び出していた。親父が嫌いだった。家なんか継ぎたくなかったんだ。だが親父が死んだとき、オレは自分がどれだけ親父を好きだったかを知った…。正々堂々と戦えば、あの強い親父が負けるわけがない! オルランドゥは何か卑怯な方法で親父を倒したんだ。きっとそうに違いない」
いやあ。君んちの家庭事情なんか、どうでもいいんだけどやっぱり語りたいんだろうか。
 「そう思って旅に出た…父の望みだったように、父のかわりに、奴から名剣ドゥリンダナを奪うために! その途中、オレはある乙女に出会った。その乙女は、トロイのヘクトルが身につけていた鎧兜をオレにくれるという。そして言ったんだ。ここには、ただ剣だけがない、と。ヘクトルの剣、ドゥリンダナはオルランドゥが持っている!」

 本当に長いよ。^^;

 面倒なので、マンドリカルドの話を整理して端折ってみよう。

・父・アグリカンの遺志を継いで、オルランドゥからドゥリンダナを奪うために旅に出た。
・その途中、乙女がトロイのヘクトルの装備品のある場所を知っていると持ちかけた。
・乙女は、「ここにある装備品は不完全なので、完全にして頂戴」と言った。
・唯一足りないもの、剣が、オルランドゥの持つドゥリンダナである。

 盾はいらんのか盾は、ロジェロの持ってる盾も回収しなきゃ伝説のロトの装備…じゃないヘクトルの装備品は完成しないんじゃないのか、とツッコみたいところだが、実はヘクトルの盾は別にもう一つあるらしい。

 ロジェロ「で、その冒険に出たんですかあなたは」
 マンドリカルド「そうだ。オレは乙女にいざなわれて冒険に出た。そしてヘクトルの鎧兜が保管されている妖精の城に挑んだ。そこにいたのが、この、セリカンの王・グラダッソだ。」

 そういえばいましたねーーーそんな人も。昔、リナルドとの勝負をすっぽかされて、アストルフォに負けたジェントルな人(笑)
 あのあと、国に帰るっつってたのに、まっすぐ帰らず寄り道してたせいで、妖精にとっつかまって城の番人させられてたって話だよ。
 なんだか懐かしい人たちの名前がいっぱい出てくる、というか、一度かぎりのゲストキャラじゃなかったのかー、とシミジミ思ってしまうような。

 乙女は、鎧兜を継承させる騎士を選抜していたらしい。
 グラダッソとマンドリカルドは真剣ガチンコ勝負を強いられ、勝利したのはマンドリカルド。勝利者が決まると、見守っていた乙女は、おめでとうと言いながら近づいてきて、マンドリカルドを城門へと案内していった。
 そこにはヘクトルの盾がぶらさがっており、「剛勇の者以外は触れちゃダメ。」と、書いてある。
 じゃあ剛勇の者以外が触れたら? …幻に取り殺されるのである。アリガチというか、そういうノリの試練がやたらと多いんだ、この話。

 だいたい室内に木が生えてたり、切り払った草が蛇に変わったりしてるあたりでおかしいだろうって気がつけばいいところ、マンドリカルドはマジに戦い続けた。なんだかギリシア神話ちっくなトラップである。とにかく戦う。室内に沸いてくる化け物とヒタスラ戦う。
 そして全てのトラップをクリアしたとき!

 目の前に、美しい完全な鎧が現れた…。
 中は空っぽだったが、人が着ていたときとおなじように組み立てられ、寝かされている。
 乙女たちが踊りながら部屋に入ってきて、勝利者マンドリカルドに、この装備をつけてくれた。そして彼は誓わされた、オルランドゥから名剣ドゥリンダナを奪い返さない限り、他のどんな剣も身に着けはしない、と。

 「と、いうわけでオレは、この鎧兜を手に入れた。今からオルランドゥをぶちのめしに行くところだ。ついでだから貴様のヘクトルの盾もよこせ」

あっ。やっぱ要るんですか。
 つーか、妖精の城にぶらさがってた盾もらえばいいじゃん。なんでもらわなかったのさ、君は^^;

 マンドリカルド「勝負しろ!!!」
 グラダッソ「待て待て、待ちたまえ」

おおっと。挑戦状を叩きつけたところで、それまで黙っていたグラダッソが割って入ってきた。

 グラダッソ「わしを負かした相手だからここまでついてきたが、ドゥリンダナはわしに優先権がある。(何しろソレ欲しさに戦争まで起こした人ですからねぇ…。)ここは譲るわけにいかん」
 マンドリカルド「何だと?!」
 ロジェロ「私としても、剣を持たない相手と戦うわけには…」
 マンドリカルド「ふざけるな! オレは剣なんぞ持たなくても戦えるわッ」

おやおや、男の三つ巴かよ。地位ある騎士様たちが道端で、「誰と誰が最初にケンカするか」で大モメだよ。
 さて、この口げんかの結末やいかに…?


[大丈夫! そんなときは通行人に仲裁してもらおう。]



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