*神話資料目録−Materials

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北欧神話資料

このページは、このサイトの製作者による、手持ち資料の独断と偏見の紹介ページです。

本屋に無い北欧神話資料は、東海大学出版会からお取り寄せというテも、使えます。
…ここに挙げた参考資料の中で、出版元が「東海大学〜」となっている本は、通常の本屋で手に入らなくても出版元で手に入る可能性が高いです。(大学の付属出版部が本を絶版にすることはほとんど無いため)

ページラスト神話サガ歴史


神話(エッダ)資料

エッダ−古代北欧歌謡集   新潮社(1973)

エッダの完訳資料。北欧神話好きには必須アイテム。
コレと「アイスランド・サガ」を二冊揃えずして北欧神話は語れない。そういう類の教科書です。図書館や古本屋で手に入る可能性は低いですが、まだ絶版じゃないので、発注すれば手に入るかもしれません。
スノリエッダからは「ギュルヴィたぶらかし」が入っています。


北欧神話と伝説   グレンベック  新潮社(1971)

北欧世界を広く深く語る、「最初の1冊」にふさわしい本です。
有名な神話エピソードおよびサガのあらすじ解説。北欧系の人が書いた北欧叙事詩だけに、「我が祖先たちの詩」とか言われると、めっちゃ納得。神話への愛と、古き良き時代を感じます。


サガとエッダの世界 アイスランドの歴史と文化  山室静香  社会思想社(1992)

出版社がなくなってしまってから、他に移って出版されたかどうかは調べてないです。
初心者に、サガとエッダの世界と面白さを伝えることを目的として書かれた本、となっており、とても読みやすく、全体的な概要が分かる内容です。ただ好きなだけ、自分が知りたいだけでやってる学者さんって、一人よがりで分かりにくい上に予備知識があっても読みにくいような本を出すことが多いんですが、人に伝えることを意識できる学者さんは、読み手のレベルにあわせてうまく自分の主張が出来るのですよ。


北欧の神話−神々と巨人の戦い  山室 静  筑摩書房(1982)

山室センセが書いてるから衝動買い。子供向けと侮るなかれ、かなり面白く参考になる。ところどころに入っている自説解釈がグーです。児童文学に分類されているので、見落とされがち?


巫女の予言 エッダ誌校訂本 シーグルズル・ノルダル 東海大学出版会(1993)

有名な「巫女の予言」のテキストを、本来あった姿に復元しようとした一つの説。新潮から出ている谷口訳のエッダとは異なる写本からの復元のため、細部が多少異なります。また、復元テキストが元の古代北欧語との対比になっているため、各単語の意味など細かいところまで考えながら読めます。ひとつの詩に焦点をしぼった、あまりにも深く、専門的な一冊。初学者にはチト厳しいかも?;


ゲルマン神話上  ライナー・テッツナー  青土社(1998)

簡単に手に入る本ですが、あまりお勧めは出来ません。なぜかというと日本語がヘタだから(笑)と、ところどころ固有名詞を間違えているから。それと、脚色入りすぎて原型がなくなっているから。「シドレクス・サガ」の部分は貴重な日本語訳となっていますが、「ニーベルンゲンの歌」部分は、むしろ無いほうが良いくらいです。
かなりいい具合にカナ表記や前後関係を間違えているため、厳密な資料として使用するには問題があり、お勧めは出来ません。


北欧のロマン ゲルマン神話  ドナルド・A・マッケンジー 大修館書店(1997)

神話そのものではなく、かなりの脚色・自説が加わっていますが、再話として読むぶんには面白く、日本語もきれいに出来ていますが、何か色々な伝承が、後世のものも含めてごっちゃになっているような…。
別の本で、北欧神話の基礎を読んでから入ることをお勧めします。
アレンジ度が高すぎるため、厳密な資料として使用するには問題があり、お勧めは出来ません。


生と死の北欧神話  水野知昭  松柏社(2002)

神話に対する考察の書。お値段手ごろ、内容面白。ただし基本を知らないと分からないかもしれません。
神話資料をエッダに限定せず、ベーオウルフやサガの考察も取り入れて、世界観を広げています。北欧神話についての新たな観点を見出させてくれるかもしれない本。


神話学入門  ステブリン・カーメンスキイ 東海大学出版会(東海選書)(1975)

「入門」とはいいながら内容が濃いので、やや難しいかもしれません。神話というものに対面するときの基本的な姿勢、ストーリーを解釈する視点、といったものを考えさせてくれる一品です。他の学者への批判が多い感じもありますが、批判されている対象がユングやレヴィ・ストロースなので、「神話学」をやりたい人なら必ず通る道。本文自体は堅苦しくて、人によっては読みづらいと感じる可能性がありますが、巻末にスノリの「詞語法(スカールド・スカパルマール)が、ついてます。自分もそれ欲しさに入手したんですよね。


ゲルマン人の神々 ジョルジュ・デュメジル ポリゴロス叢書(1980)

デュメジルという学者のキャラが強く出ている本。著者がどういうスタンスで書いているのかわからないと、非常に読みづらいかと思われます。これを読んだあと、間違っても、インド・ヨーロッパ語族がかつてはインドの神々を信仰していた、なんて思わないように(笑)
この本に対する批判・異論もあり、すべて頭から飲み込んでいいかというとそうではない本と思われますが、どうやって突っ込みいれたもんかと考えながら読むのもいいのでは。


デンマーク人の事績   サクソ・グランマティクス  東海大学出版会(1993)

デンマーク王家の成り立ちを、初代から順番に追っていく物語で、歴史と神話が入り混じったようなところがあります。なにせ言い伝えを元に書いてるもんだから。
これが書かれたのはキリスト教の時代になってからで、著者は宣教師の秘書とあって、ところどころに北欧の神々を批判する文章がはさまれていますが、それでいて面白さは全く翳らないのがすごいです。
サクソは「散文エッダ」を著したスノリと同時代の人です。今でいう客観的な「歴史」ではないものの、書いた人は神話ではなくあくまでも歴史のつもりで書いていますので、観点が異なっています。(神話資料と完全な並列で扱うものではないということです)


ニーベルンゲンからリルケまで ゲルマン神話  吉村貞司  読売新聞社(昭和47年刊行)

北欧神話の概要と、「ニーベルンゲンの歌」などドイツ神話の資料としては自分の中でいちばんのお気に入りです。古本屋にはなかなか出回っておらず、図書館でも見かけることは稀。北欧神話の中でも、英雄伝説を愛した人は必ず気に入るはず。


北欧神話と伝説   松村武雄  大洋出版部(1938年刊行)

あちこちの「参考文献」で見かける、日本における北神話研究・初期の一品。昭和初期の時代に出されたとは思えない高クオリティの一品ですが、ワーグナーの”タンホイザー”を神話に入れちゃったり、”エッダ”と”デンマーク人の事績”をミックスしちゃったり、と、時代を感じさせる混ざりっぷり。だがしかし、かなり面白い。そして、かなり愛を感じる。古すぎて古本屋に頼み込むくらいじゃないと手に入らないのが難点か。
口コミ情報によると、名著普及会の再版本もあるらしい。そっちは手に入るかも?


筑摩世界文学大系10−中世文学集  合同著作  筑摩書房(昭和49年初版)

このシリーズは、たいそう濃い出来となっています。以前図書館で見かけたので、古本屋にあったのを買ってしまったのだが…。とにかく濃い! 「グレティルのサガ」が完訳されているのも必見。ちなみに、このシリーズの古代オリエント版には、エジプト資料がたくさん出てきまーす。
中身は作品ごとに文庫化して、ちくま文庫からも出ているのですが、新本だと一冊の値段が高いので、古本屋でこの本を買ったほうが安かったのです。


蘇る古代人―デンマークの湿地埋葬 P.V.グロブ(2002年)

泥炭の沼に沈められた、古代人の遺体から、北欧神話にまつわる犠牲祭について検証する本です。
ボッグマンと呼ばれている、泥炭地で多く発見される特殊な埋葬遺体について、考古学的アプローチから迫っています。「エッダ」には登場せず、「ゲルマーニア」で語られるのみである「女神ネルトゥス」についての言及があります。


ゲルマンの神話   トンヌラ 他  みすず書房(1961,1974)

旧版と新版で若干内容が変わっています。出回っている数も多く、図書館や古本屋で簡単に見つけることが出来るが、読むなら1974年改訂版をお勧めします。マジメ一辺倒なので、あまり面白みはないですが、文庫サイズで持ち歩けるのが良いところ。図書館で借りてもかさばらない。


北欧神話口承   植田 敏郎  鷲宮書房(1968年刊行)

各国神話を初心者向けに書き下ろしてくれている「口承」シリーズの一冊。やわらかい口調と、平易な物語が特徴です。
カナ表記を和語に置き換えようとした試みが見られ、「アスガルド=英雄たちの魂が集まる場所=招魂堂」といった、独特の表現が見られます。
資料として使うたぐいの本ではなく、初心者向けといっても古すぎて手に入らないでしょうから、あくまで趣味の本。


アスガルドの秘密−北欧神話冒険紀行  ヴァルター・ハンゼン 東海大学出版会(2004)

北欧神話り源泉をアイスランドに求めて、現地に旅する物語。神話の舞台を、アイスランドの実際の地理にあてはめるという面白い試みがなされています。
ただし、やや無理がある部分も多く、すべてを信じることは危険。ひとつの試みとして、冒険談として楽しんだほうがいいかと思います。



サガ資料

アイスランドのサガ 中篇集  菅原 邦城 他/訳  東海大学出版会(2001)

サガ初心者にオススメの一品。「エイリークのサガ」「殖民の書」など、サガ関係の編が必ずといってだされる有名サガを完訳してくれているのが嬉しい。5つのサガはどれも中くらいの長さで、レイアウトも見やすく扱いやすいサイズ。初心者でもOK。冒険者魂溢れるゲルマンの人々の熱き日々を是非!


サガから歴史へ  熊野 聡  東海大学出版会(1994)

サガは歴史資料として使えるのか、実際の歴史をどこまで忠実に再現しているのかについて考察した本。サガをある程度読みすすめたら、この本で頭の中を整理するのも1つの方法。サガの概要、語られた状況、どうして人物名がヒタスラ多いのか、etc、サガに関する基本的な疑問の考察が嬉しい。
古代ゲルマン社会の法律や常識などについて特化した本なので、少し難しいが、考えながら読む価値はあります。


アイスランド サガ   谷口 幸男(訳)  新潮社(1979)

日本におけるサガ文学の研究が頂点を極めた時代の逸品。いまや古本屋でも手に入らず幻の聖典と化しています。収録作品は、エギルのサガ/グレティルのサガ/ラックサー谷の人びとのサガ/エイルの人びとのサガ/ヴォルスンガ・サガ/ニャールのサガ・・・以上6篇、完訳。完訳なところが、とても素晴らしい。


ギースリ・スールスソンのサガ   大塚 光子(訳)  三省堂(1987)

1970年代以降、サガへの関心が急速に衰える中で出版された本。それだけに、出回った数も現存している数も少ないようです。


サガ選集   日本アイスランド学会(編)  東海大学出版会(1991)

「アイスランド サガ」出版以降に日本で出されたサガの本は、とても少ない。そんな中で燦然と輝く良本。
アイスランド人の書、めんどりのソーリルのサガ、蛇舌のグンラウグのサガ、グリーンランド人のサガ、棒打たれのソルステインの話、ヴェストフィヨルド人アウズンの話、ハーコン善王のサガ、勇士殺しのアースムンドのサガ、司教パールのサガ、の9つを収録。なんと、サガ用語集もついている!


エッダとサガ−北欧古典への案内  谷口 幸男  新潮選書(1976年刊行)

初心者にオススメな一冊。エッダ、サガの主要部分をまとめてくれた入門本です。古本屋に出回っていることも多く、本屋によれば、新書で手に入る可能性も在。よくまとまっている良本です。


アイスランド・サガ 血讐の記号論 J.L.パイヨック 東海大学出版会(1997)

主なサガを読んだあとにこの本を読むと、人々の行動原理やセリフの謎が解け一気にハマります。
…が、元のお話を読んでないと何のこっちゃイマイチ分からないかも。この中で言及されている主要なサガ作品を読んでから手に取ると、頭の中で疑問が一気に氷解しスッキリするかもしれない。どちらかというと中級者以上の人むけ。


悲劇のヴァイキング遠征 東方探検家イングヴァールの足跡 1036-1041
マッツ・G・ラーション 新宿書房

ロシアを経て黒海へ、東方遠征を行ったヴァイキングの物語を、サガとルーン石碑から追うもの。巻末に「イングヴァールのサガ」の重要部分の翻訳あり。サガよりも石碑による記録を重要視しており、サガの内容の精査本というよりはイングヴァールの伝説にまつわる様々な資料の紹介を行う。既に概略を知っている人向けかもしれない。


ヴァイキングの経済学 略奪・贈与・交易 熊野 山川出版社

ヴァイキングの経済活動、取引に関する概念などを判りやすく説明した本。漠然と感じていたことがスッキリするかもしれない良書。有名なサガの中に描かれる取引模様と実際の法律、裁判の手順などを合わせて論理的に説明してくれている。文章も比較的平易で読みやすい。



歴史資料

ヴァイキング−世界の生活史6   東京書籍(1985年初版)

北欧神話を題材に絵を描く人はこれがオススメ! 北欧人の生活がよく出ていて、とても綺麗なイラスト入りなのでイメージが膨らみます。「赤毛のエイリーク」伝説もちょっとだけ出てくるのが嬉しい。(フレイヤが常若のリンゴを持って描かれているあたり、ワーグナーの設定と混同してる部分もあるようだが。)


ゲルマンとダキアの戦士−ローマと戦った人々  ピーター・ウィルコックス  新紀元社(2001年)

上と同じく、イメージを膨らませるにはもってこいの資料。ローマと戦ったゲルマン人、ローマに傭兵として雇われたゲルマン人の戦装束や当時の状況について。イラストの戦うおいちゃんたちがカッコいいです。


サクソン/ヴァイキング/ノルマン−ブリテンへの来寇者たち   テレンス・ワイズ  新紀元社(2000年)

さらにアーサー王伝説にも通じる資料。叙事詩「ベーオウルフ」時代の様子がよくわかる。ブリテン島へ移住したゲルマン民族の戦装束など。絵を描く資料としても使えます。


北欧史 百瀬宏・熊野聰・村井誠人 山川出版社(1998)

北欧5か国の、建国から現在までの概略、王家の家系図など。ヴァイキングについても触れた箇所があります。
サガ読むときに、実際の「歴史」として知られた年表を横においてみると、また違った風景が見えてくるかもしれません。
学校で世界史の時間中に読んでも恥ずかしくない出来の本ですので、授業・塾をサボるときにも使えるかも(笑


大英博物館双書 失われた文字を読む7 ルーン文字 レイ・ページ箸(1996)

あんまし面白くない上にお世辞にも日本語上手じゃないですが、カンタンに手に入るルーン文字の学術書なので使ってみても損は無し。
学術書なのでオカルト一切ナシです。


ゲルマン民族大移動の頂点 ゴート族  ヘルマン・シュライバー(1979)

少し古い本。ただしゴート族のみの移動に焦点をしぼってビシバシ書いてくれているので、
ゴート族といえばディートリッヒさんとこのご先祖、ゴート族といえばローマを襲った、ゴート族といえばローマ文化に触れてルーン文字の基礎を思いついたかもしれない人、と疑惑濃厚で盛りだくさんな集団なので、一緒に民族大移動でヨーロッパを駆け巡るのも楽しいですよ〜。


ヨーロッパ古層の異人たち 祝祭と信仰  芳賀 日出男(2003)

現代に息づく北欧の神々の変化した姿、ヴァイキングの子孫たちの祭りなどを豊富な写真とともに紹介。
サンタクロースがオーディン、ユールがクリスマス、など、キリスト教化以前の信仰の姿に触れるとともに、北欧神話の世界が、まだ完全には死に絶えていないと感じさせてくれる一品。


物語 北欧の歴史―モデル国家の生成  武田 龍夫  中公新書(1993)

文庫本サイズだが中身は充実。北欧諸国の成立から近代までを駆け足で流してくれる入門書のようなもの。
ヴァイキング時代からの脱却あたりと、ハンザ同盟の成立と崩壊あたりの流れが知りたかったので購入。読みやすいし歴史の基本書としていいかんじです。


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