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ヒッタイトの神様たち


★ヒッタイトとは… 
紀元前1700年〜1200年頃。現在のトルコ中央部(アナトリア)に栄えた帝国。全盛期には小アジア(黒海〜東地中海、シリアあたりまで)を支配し、同じくシリアに進出しようとしていたエジプトと国境を接することもあった。エジプトとの間で結ばれた二国間協定は、世界最古の平和条約と言われる。ただし条約締結後、100年ほどの間にヒッタイトは滅亡してしまう。「海の民」による襲撃と、飢饉や近隣の敵対国からの攻撃が重なったことが原因と思われる。
シリアまで進出してきていたため、ウガリット、アッシリア、バビロニアなどの神話と一部共通する部分もある。メソポタミアの文学として有名な「ギルガメシュ叙事詩」のヒッタイト語版は、首都ハットゥシャからも見つかっている。
ヒッタイトの神として知られているものの大半は実際はフルリ(フリ)人の神であり、ヒッタイト固有の神はほとんど知られていない。

●主神
天候神 テシュプ
フリ語由来の名前で、別名テイシュパナク。天の王でありヒッタイト帝国時代の主神。
首都ハットゥシャに付随する聖域ヤズルカヤの壁画では、山の神の上に立つ姿で表現されている。
王位を取りかえそうとしたクマルビ神の生み出した石の化け物と戦い、退治する。

●主神の妻、大女神
太陽女神 ヘパト
同じくヤズルカヤの壁画で、ヒョウの背に立つ姿で表現されてている。アリンナの太陽女神。
エジプトとの条約締結時には「アリンナの太陽女神」の印が使われているため、おそらくこの女神のことを指す

●テシュプとヘパトの子供たち
娘 アランズ
息子 シャッルマ

●主神に属する聖獣
神牛 シェリ(シェルリ)とフルリ 名前はそれぞれ、昼と夜を意味する

●その他、フルリ系の神
戦いの女神シャウシガ(=イシュタルと同一視される)
シャウシガの従者 ニナッタとクリッタ

イシュハラ女神
シャラ女神

リルワニ女神 豊饒を司る大地の女神
タルフンナ神 嵐の神 天候神。原住民であるハッティ人の神タルが転化したもの
テリピヌ神 豊饒神、植物神。

●ヒッタイト固有と思われる神々

シウ(ス)神 太陽神
ピルワ神 馬の調教と関わりをもつ神、馬の調教方法の教本に名前が出てくる
レルワニ神 
冥界神を総べる冥界の神。男性面と女性面があるとされるが、実際は同名で男女別の神がいる可能性もある。メソポタミアのエレシュキガル女神と比較されることが多い。「誓約の神」「遠征の神」としても知られる。
クマルビ神 ヒッタイトの有名な神話の一つで、テリピヌとクマルビの争いがある。

●小アジアの神

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●怪獣的な存在
イルヤンカ 
なぜか日本語では「イルルヤンカシュ」と書かれていることが多いが、ヘビを意味するilluとyankaを二重に重ねた名前なので固有名詞としては「イルヤンカ」または「イルゥヤンカ」あたりになる。嵐の神ザリヤヌとの戦いの神話で知られる蛇神。嵐の神ザリヤヌと蛇神イルヤンカの戦いは、嵐=ヒッタイト人と蛇=カシュカ人の戦いがモチーフになっているという説もある。


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【参考】

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