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ネルガル/メスラムタエア

別名・別綴り/エラ、イラ、エルラガル
性別/男性
守護都市/クタ(アッカド地方)


【主な役割】
冥界神、エレシュキガル女神の配偶者

【神話・資料別エピソード】
「エンリル神とニンリル女神」において、ニンリル女神が懐妊する三柱の冥界神のうち最初の一人。都市の門番に変身したエンリルとの交わりによって生まれる。ネルガルという名の由来は「大きな都市の長」であるとされる。

メスラムタエアは元々は別の神で、クタで崇められていた牡牛の頭をもつ戦神だったが、何時頃からかネルガルと習合しネルガル・メスラムタエアと呼ばれるようになった。シュメールの冥界神エレシュキガルとの結婚により、シュメールとアッカドの冥界神話が統合されることになる。

また、時代が進むと他にエラ神、グガルアンナやエンヌギ神など複数の神を習合することになる。

アッカドでのエラ神は疫病退散の神であり、魔よけの護符として名が刻まれたものが見つかっている。

●「イシュムとエラ」
アッカド語のエピソード。マルドゥクの代わりに王座についたエラがバビロンを滅ぼす。これは実際に東方からエラム人が侵入してバビロニアが荒廃したことに理由をつけるために作られた神話らしい。
このエピソードでエラの腹心として登場する七柱の神「セベットゥ」については、集合神の項を参照。

●「ネルガルとエレシュキガル」
アッカド語の神話。エレシュキガルの使いナムタルが天のアヌの宮殿を訪れたときに一人だけ立ち上がらなかったため、目を付けられることになる。しかし色々あってネルガルとエレシュキガルはラブラブになるのでこれはハッピーエンド神話なのかな…。

●戦いの神としての姿
古バビロニア時代、マリ市では戦車を使ったネルガルの大祭が行われており、神殿内にも戦車が奉納されていた。この祭礼では、民衆は特別なパンであるフーグムを大量に作って食していたという。 *「バビロニア都市民の生活」同成社

●パルティア時代の信仰
死せる英雄ヘラクレスと同一視されている。

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【参考】
ネルガルとエレシュキガルに関する神話の最古のものは、意外にもエジプトで見つかっている。
エジプトだけどメソポタミア神話! 「ネルガルとエレシュキガル」を読んでみよう

メソポタミアでは、ハエはネルガルの象徴で死を意味する。エジプトでは勇気の象徴。
エジプトとメソポタミアで意味の違うもの:ハエ

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