北欧神話−Nordiske Myter

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スキールニルの旅

−巨人国訪問譚・旅情編−



 この物語は、「アース神のプリンス」と呼ばれる誉れ高い生まれのフレイ神が、とある巨人族の娘にひとめぼれした時、彼女をどのように妻に迎えたかを記す、貴重な物語である。

 あるときフレイは、主神オーディンしか座すことが出来ないはずの高座、世界を見渡す高座、フリズスキャールヴに腰を下ろしていた。
 その椅子に座った者は千里眼になれる。
 もちろん、ふだん、その椅子に腰を下ろして無断検閲と盗み見を職務としているオーディン様は、もともと千里眼なのである。
 人様の私生活からヘソクリの隠し場所まで、見たい放題。
 有料18禁チャンネルだって、見たい放題。
 …そらー辞めたくないですわー。主神。意外といい職業?

 っていうのは冗談として、この時だけは、オーディンではなくフレイが、代わりにフリズスキャールヴにいた。

 本来オーディンのもののはずの席に、どうしてフレイが座ったのかは分からない。
 オーディン病欠? もしくは職務怠慢でどっか行ってたのか?
 ともあれフレイはオーディンと同じように世界の果てを見渡していた。そして、一人の少女に目を留めた。

 どきゅーん★→心臓ど真ん中

 瞬間、フレイは激しい恋の痛みに襲われた…。それは、フレイが初めて陥る恋の病というやつだった。
 そして、そのまま、職務放棄して早退してしまったのである。

 誰とも言葉をかわさず、寝室に引きこもってしまったフレイの様子を心配した義母・スカジ(フレイの父ニョルズの再婚相手)は、召使いスキールニルに、息子の様子をたずねてくるよう言いつけた。

 だが、この人物については謎も多く、どんなキャラ(キャラって)だったのかも、意見が分かれるところである。
 そこで、ここに、何種類かの「スキールニル像」を用意する。
 ストーリーはすべて、原典「古エッダ」から抜き出した、全く同じものだ。その物語を演ずるにふさわしいスキールニルは、どれか。スキールニルとは、結局どんな役だったのか?
 あなた自身の目で、確かめて欲しい。

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スキールニルその1・グレミオ風「坊ちゃん」呼称召使い系バージョン

スキールニルその2・セバスチャン風「若様」呼称老師系バージョン

スキールニルその3・ルッツ風「フレイ」呼称親友系バージョン

※ストーリーは、原文のままではありません。
分かり易くするため、解釈をくわえつつ書き換えた部分や、端折った部分があります。


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【スキールニルのその後−ラグナロク時の動向推察−】

 スキールニルは、そのセリフから、長くフレイに仕え包み隠すこともない仲だったと言うことが分かっている。いわばフレイ側近の召使だ。しかし、「ロキの口論」を見ると、フレイはロキに、「お前、あの剣をスキールニルなんかにやっちまうから、ラグナロクは素手で戦うハメなるんだよ。」と、馬鹿にされている。この「武器」とは、この「スキールニルの旅」に登場する、”ひとりでに巨人と戦う剣”のことだ。
 と、いうことは、スキールニルは、求婚の旅が終わった後も剣を返却しなかったということで、この旅で、彼は剣と馬を「借りた」のではなく「褒美としてもらった」ことになる。
 だが、 スキールニル、もし本当にフレイの側近だったら、主人の非常事態には戻ってくるはずでは…?
 主人が剣を持ってなかったら、剣を返すくらいするのでは…?

 と、いうことは、ラグナロク時、スキールニルは、アスガルドにいなかったか、居たけど戦えなかったのだと推測される。

 ”いなかった”ことについては、フレイにお使いを頼まれて、また遠くへ行っていたというケースが考えられる。
 何しろ、スキールニルは、フレイから「暗くゆめらく炎も越えられる馬」というものをいただいている。巨人の国へ一人で旅することさえ可能とする、魔法の馬だ。以後、この馬を使ってあちこちへお使いしていたとしても、不思議ではない。
 だが、これには一つの疑問点がある。戦いが始まったことは分かるはずだから、急いで戻れば旅先からでも間に合うのではないか?
 神話の中で、よく、ロキが単身巨人の国へ旅しているが、その時は「鷹の羽衣」という飛行アイテムを使う。また、あらゆる世界を自由に行き来するオーディンの騎馬スレイプニルや、グナーの騎馬ホーヴヴァルプニルは、風のように空も駆けるという。
 このことから考えて、スキールニルのもらった馬も、空を駆ける能力を持っていた可能性がある。
 だとすれば、すぐに戻れないくらい遠くへ行くというのも、ちょっと難しい。

 ならば、死んでいた、というのはどうだろうか。
 確かに、すぐには戻れないくらい遠いところへ行っている(笑)
 北欧では、剣は持ち主が死んだら、死者と一緒に墓の中に納められることが多い。「指輪物語」でトールキンが書いていたように、塚の中に納めるというわけだ。だとすれば、忠実な家臣の墓を暴いて剣を取り出すわけにもいかないから、フレイが剣なしで戦いに挑んだのも納得できる。

 しかし、もしスキールニルがヴァルハラにいたのだとすると、そもそも、死んだり老いたりするものだろうか? と、いう疑問は、残る。
 トールに仕えていたスィアールヴィのような、人間界から引っ張ってこられたただの人間だったとしても、神々の世界にいるのだから、普通の人間と同じように墓に入ったりするものか…?
 もし、老いず、死なず、求婚の旅に出かけたときのまま元気でいたとして、なおかつ戦いに参加できなかったとすると、これはどういうわけだろう。
 攻め寄せるヘルとムスッペルの軍勢を前に、逃げ出したか?
 それとも逆に、先頭きって突っ込んだはいいものの、アッサリ返り討ちか?^^;


結論。
 ラグナロク時、生きていたとすれば、スキールニルは軽い系の男だったに違いない。
 戦いが始まった瞬間サックリ殺されるとか、臆病風にひかれてスタコラ逃げ出すとかいうことが可能なくらい。
 或いは…過去の恨みから、フレイの奥さんに暗殺されるくらい(笑)

 だが、他の可能性も捨てきれない。
 結局のところ、スキールニルは、キャラクター不明の人物のままのようだ。


おまけ。
 フレイはプレイボーイではないし、自分から求婚に行くような真似はしない。
 ロキですら浮気の現場を知らなかったほど、妻一筋の男だが、自分でプロボーズできなかったために後々までロキに馬鹿にされることになった可愛そうな人である。
 何の話か分からない人は流して流して。


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