サイトTOP別館TOPコンテンツTOP

第百二十五章:1

アニのパピルスより



緒言(資料本における説明)

顎鬚をつけ、白冠を戴けるオシリス神、一神廟の中に立つ。その廟の屋根の上には、鷹の頭と蛇型の冠章あり。
オシリスは其の手に主権と統治権との表象を持つ。背後にはイシス女神が立ち、その前にはホルスの子らがスイレンの花の上に立っている。


本文(死者の書本体ここからスタート)

二重マアティ(マアト=正義・真実?)の広間に入るの章。
アメンテトの主宰オシリスに対する讃美の歌。オシリス、すなわち勝利を得たる書記生アニ曰く、

『 我は来たれり、しかして我はすべての美点を見つけるために近づけり。両手は汝の名なる「正義と真理」の敬拝のため捧げられる。我は来たれり、しかして我はアカシアの樹の生長せざる処、葉の繁茂せる樹木の存在せざる処、地が野菜も雑草をも、生ぜざる処へ近づけり。

かくて、我は”隠れたる処”へ入り、セト神と語れり。我が守護者は[このあたり意味が不明]我に進み来たり、我は被われたり。我は隠れたるものの上に落ちたり。彼はオシリスの神殿へ入れり。我は其処にありし、隠れたる者を見たり。

塔門の主なる主将たちは、皆、クウ(おそらく"カー"のこと)の形にてありき。アンプ(アヌビス)の神は、己の両側にありし者に対し、自らタ・メラより来りものの如く、人間の言葉もて語れり。彼は、我のもろもろの道と、もろもろの都とを知る。我は、彼らの仲間となるが如く、彼の匂いを嗅ぐ。

我は彼に対して言う、我はオシリス、即ち勝利を得たる書記生アニなりと。
我は来たれり、大いなる神々を見るために近づけり。
我は彼らの食物中にある供物を食らひて生きる。
我はバ・ネブ・テテト(メンデスの雄羊のことではなく、オシリスの異名であると解説されている)の国の辺境まで至れり。

しかして、彼は、我をベヌウのごとく出現させり、発言せしめたり。
我は、小川の水中にありき、我は香料の供物をせり。我は自ら、聖なる子供らのシェンテト樹に己を案内せり。我は、アブ(エレファンティネ)の、女神サティスの神殿にありき。

我は自らネシェメト船に乗り、湖水を渡河したると共に、もろもろの敵の船を沈めたり。
我はケム=ウルの都にてサフ(サア=高貴なる霊?)を見たり。
我はタッツ(ヘリオポリス)の都にありき。しかして、我は其処にて自ら、己を沈黙ならしめたり。我は、神をして己の両足を支配せしめたり。
我はテプ=ツ=フ(丘にあるもの=アヌビスのこと、という注釈がついている)の神殿に在り、聖なる神殿の主なるものを見たり。
我はオシリスの神殿に入り、其処にあるもの衣服にて己を装えり。
我はレースタウに入り、其処にある”隠れたるもの”(=神)を見たり。
我は其処にて包まれたり、されど我は自らのために道を発見せり。
我は、アン・アアルレト・フ(=何ものも生長せざる所の意、と注釈が入っている)に往けり、我は其処にある衣をもって、我が裸体を覆う。
其処にて、我は、人類の粉末(?)とともに婦人の用いるが如きアンチ軟膏(?)を授けられたり。

まことに、スト(?)は己に関することを我に語れり、しかして、我は言えり、「願わくば、汝の秤量をして、我に[ここが欠損]あらしめよ、と。』

アンプ(アヌビス)神は威厳もって言う、「汝は我に告知得るほどに、此処の名を知るか?」と。
しかして、オシリス即ち勝利を得たる書記生アニ、勝利を得て言う。「シュウの神の破壊者」は此処の名なり。
アンプ神は威厳もって言う、「汝は上になる葉と、下なる葉の名を知るか?」と。
「己の両足上にあるマアトの主」は上なる葉の名にして、「二倍の力の主、家畜の服従者」は下なる葉の名なり。
アンプ神は威厳をもって言う、「汝は知るがゆえに通過せよ、書記生よ、勝利を得たるテーベと、アニのすべての神々の聖なる供物の報告者よ、敬虔の主よ。」と。



戻る