シャルルマーニュ伝説
-The Legends of Charlemagne

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つっこみルネッサンス

オルランドゥ・フリオソ



 あんな酷い女でも、本気でホレた男はいたもんだ。
 何を隠そう、いや今さら隠してもしょうがない…、我らがオルランドゥ氏である。
 激しく美女を取り合ったリナルドのほうは、わりとアッサリ諦めて国を守る仕事に戻ってンのに、こっちはアンジェリカ探して、本国の危機にも帰らずじまい^^; 悲しみを表す黒い鎧に身を包み、今日もあちこちさすらっていた。
 ほとんどストーカーじゃん。アンタ。
 途中、持ち前の独断と偏見により他人様(イサベラ&ゼルビノ)の素敵な恋路を助けてみたりなんかして、国に戻る気なんか全然ナッシングなところを見せ付けていた彼だったが、実はもう一人…、国のこと全く忘れて、わが道を独走していた男がいたのだった。

 マンドリカルドである。

 思い出すだに果てしなく…、そう、あれは確か、ロジェロとマンドリカルドとグラダッソが始めて出会った、三つ巴の時。
 そのあと、皆あっちこっち行方不明になっちゃって、話が立ち消えになってたっけ。
 まだしつこくオルランドゥを探してたらしいよ、この人は。

 「オレと勝負しろ!」
 マンドリカルドはいきなり挑戦してきた。だが、オルランドゥは鎧に紋章もつけず、普段と違う格好をしているため、オルランドゥだとは分からない。
 「オレの名はマンドリカルド。親父を殺した卑怯者のオルランドゥを探して旅をしている。オレは奴から、名剣ドゥリンダナを取り戻すまで剣を帯びないという誓いを立てているのだッ!」
 「なんだと?! 貴様、誰が卑怯者だと言うんだ」
 一目会ったその日から、憎しみの花咲くこともある…。
 「なんと。そんな格好しているから分からなかったが、お前がオルランドゥか。丁度いい、貴様を倒し、名声とともに剣も手に入れてくれるわ!」
 「ふん、剣も持たない相手に本気を出すまでもないわ。こちらも剣はいらぬ、かかってこい!」
あーあ、大人気ない…。
 マンドリカルドが剣を持っていないからといって、オルランドゥは自分の剣を近くの木にかけ、槍を手に持った。
 槍でぶつかりあえば槍が折れるのは必定、かくて名の在る騎士たる男たちは、棍棒で殴りあうハメに。

 …なんかさあ、子供のケンカだよね^^;

 もう、体裁も騎士道も関係なし。野生に任せ、あまりにも激しくやりすぎちゃって、馬具が壊れて、馬が暴走してエライことに。
 マンドリカルド「うわーーー」←馬が止まらない
 オルランドゥ「こら! 逃げるのか?! 待て!」
 逃げてるのはマンドリカルドじゃなくてです、馬。

 しばし待ってみるも、マンドリカルドは帰って来ず。しょうがないのでオルランドゥ、木にひっかけておいた剣を腰につけ、自分から、マンドリカルドの後を追いかけてみることにした。だが、馬のあしあとはあまりに混乱していて、追いかけても追いかけても、マンドリカルドが見つからない。
 疲れてきたので涼しげな木陰に入って休もうとした、その時だった。
 …木に、メドロ♥アンジェリカ …とか、あいあい傘が描かれていたのですよ。びっくりだね。
 しかも側の洞窟の中に、メドロの書き残した「タナボタラッキー。美人な王女と結婚できちゃった。逆玉の輿〜」なんていう喜びの詩も残されていたりして。

 オルランドゥ「なんじゃこりゃ…。い、いや、このアンジェリカは、オレの知ってるアンジェリカではあるまい。まさかそんな。そんなまさか」

 よろよろしながら木陰を出て、近くの農家を訪ねたオルランドゥだったが、そこでも、さらに酷い現実が待ち構えていた。
 なんと…そこはアンジェリカがメドロをかくまい、看病した農家だったのである。
 証拠の品として、アンジェリカが農家に与えたお礼の腕輪が残されていた。
 だが、それは、かつてオルランドゥが、愛の証にとアンジェリカに与えたものだったのである…。

 「NO−−−!」(号泣)

 ひでェ。ひでェやアンジェリカ。
 ある男からの真心のプレゼントを、他の男との結婚資金に使いますか…。
 血涙を流すオルランドゥ。目の前に絶対的な証拠を突きつけられ、恋焦がれてきた思い人が、見た覚えもない男と結婚してしまったことを知らされたのだ。まぁ、ムリもない。
 「オルランドゥは死んだ!!」とか、どっかの哲学者みたいなことを叫びながら表へ駆け出し、あの、アンジェリカとメドロのノロケが刻まれた木陰をめちゃめちゃに破壊しつくした後、あえぎながらバッタリ倒れ、そのまま正気を失ってしまったのであった。

 かくてオルランドゥ、女性問題にて発狂せり。
 騎士としての誇りも品格も失い、ただの野生となり果てて、野山を荒らしまわり、人の言葉も知恵も忘れて、クマやオオカミと素手で戦うようになってしまった。

 哀れ・・・・。

 オルランドゥの帰りを待っていた、イサベラとゼルビノは、戻りが遅いし何だか嫌な予感もするので追いかけていって、その惨状を見た。
 鎧はバラバラ、剣は鞘にも入らず地面に放り出され、騎馬ブリリアドロはひとりさまよっている。
 もしかしてオルランドゥは殺されたのか? …だが、それにしては鎧に血はついていない。
 よくよく見ると、破壊された木と洞窟に、アンジェリカの名前が見て取れるではないか。

 オルランドゥから、いとしのアンジェリカの話はイヤってほど聞かされていたイサベラとゼルビノは、だいだいの事情は飲み込めた。
 恋が叶わなかったと知って、キレちゃったんだな…。

 と、そこへタイミング悪くマンドリカルドが戻ってきてしまった!
 遅いよ、アンタ!

 「ふん、オルランドゥがいなくなった、だと? 知るか。どうせオレと戦うのが怖くなって、わざと狂ったフリでもしたんだろう。その剣はもともとオレのものだ。奴がいないなら、奪っていく」
 「そうはさせるか!」
自分の恋路を手伝ってもらった恩義のあるゼルビノは、オルランドゥの剣ドゥリンダナを守ろうとする。だが、腐ってもマンドリカルド、強さは人一倍。
 マンドリカルドの手に渡ったドゥリンダナの一撃をくらって、ゼルビノは致命傷を負ってしまった。
 あわれ、オルランドゥのおかげで結ばれたカップルだったが、オルランドゥのせいで結局引き裂かれてしまうハメに。(ハタ迷惑な男だよな…)

 マンドリカルドは戦利品を手に悠々と立ち去り、ひとり取り残されたイサベラは、悲嘆にくれるのであった。


[全く関係ない他人にまで迷惑をかけだすと、始末に終えないよね…]



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